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大阪のおっちゃんは中学生男子みたい

仕事で大阪へ行った。大阪出身の友達に一人で飲み歩くのにオススメのお店をいくつか聞いて、仕事を済ませていざ出陣。

1軒目はくわ焼きと串揚げのお店。串は2本からの注文だったけれど、「1本にします?」と聞いてくれた。紹介してくれた友達に「オレが一人で行っても絶対2本出されんのに」と驚かれた。カウンターが中心のお店で、一人客はほとんどおらず、さらに9割が男性。一人の女性は珍しかったんだと思う。

お店のおっちゃんは忙しそうで、ものすごく話しかけにくかったけど、「オランダ」っていう鳥メンチの串揚げの名前の由来がどうしても気になって、勇気を出して聞いてみたら、「オランダのかりんとうみたいなお菓子に形が似てるから」とニコニコしながら教えてくれた。お会計して帰るときも「おおきに!また来てね」とニコニコしてくれた。

2軒目のおでんのお店も、おでんの入れ物を囲んだカウンター形式。

おっちゃんはぶっきらぼうな感じで、店じまいに向けてトレイにおでんを並べていた。これまたものすごく話しかけにくい雰囲気だったけど、おでんをきれいに並べたトレイの端にお皿を噛ませて斜めにしていて、どうして斜めにするのかがどうしても気になって、熱燗でぽやーっとした勢いで話しかけてみた。

「こうすると斜めにした下側に空気が通るから、早く冷めんねん」。常連っぽいおっちゃんが「嘘やろ」と笑った。「ほんまやで!夏はさらに扇風機に当てんねん」とおっちゃん。「カピカピにならんのですか?」やや関西弁に引っ張られて聞いてみたら、「ならん」とのこと。

そのあとも隙をみて、「おでんは何が人気なんですか?」と聞いたら、「大根やね」と教えてくれた。さらにおっちゃんが一番好きなおでんを聞いたら「生のひら天」と、まさかの煮込む前の原材料だった。「おでんちゃうやん」と先ほどの常連らしきおっちゃんがすかさずつっこんでいた。なんでも小さい頃におやつに食べていた生のひら天がおいしくて、その思い出もあって好きらしい。お店のおっちゃんの歴史が垣間見える、とてもいい話だと思う。

おあいそして(大阪では「お会計」って言わないの?)、ホテルへの帰り道でふと目に入ったお店で買ったたい焼きを片手に、なんだか大阪のおっちゃんは中学生男子みたいだなと思った。

ぶっきらぼうな振る舞いだけど、話しかけるとうれしそうに答えてくれる。そのあとに常連のおっちゃんと照れ隠しのようにキャイキャイしてる感じも、女子としゃべりたい中学生男子みたいだ。

わたしもかつては男子と話したいのに話せない女子だったのに、一人で飲みに行っておっちゃんに話しかけて「中学生男子みたい」だなんて、ずいぶん大人になったもんだ。次に大阪に行くときも、勇気を出して話しかけてみよう。大人は本当に楽しい。

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