順風満帆なフリーランスから、4年ぶりに会社員に戻った
今月から、ハッカズークというスタートアップの社員になった。
もともと業務委託で同社が運営しているオウンドメディア「アルムナビ 」の編集長をやらせてもらっていて、そのまま社員化という流れ。
「8割正社員」なのでフリーランスの仕事も続けるけれど、2015年末に前職のキャリアデザインセンターを辞めて以来、会社員になるのは約4年ぶり。
2017年秋にフリーランスになって、そこからの立ち上がりはかなり順調で、ありがたいことにコロナの影響を受けることもなく、会社員時代の倍以上稼いでもいた。
ただ、実はフリーランスになって1年くらい経った頃から、「会社員の方が合っているかも」と考えるようにもなった。
そこからいよいよ就職を考え始めたのは今年8月あたりから。1カ月くらいモヤモヤ考えた頃のある木曜の夜、シャワーを浴びながら「就職だ!」と急に思い立ち、翌日訪問予定だったハッカズーク代表の鈴木さんに時間をもらい、1時間ほど話した末に入社を決めた。詳しい話はインタビューしてもらったので、よろしければこちらの記事を。
(余談だが、フリーランスをやっていた理由の一つが「面接が嫌」だったので、同じ悩みがある人には副業や業務委託からの入社を全力でオススメしたい)
フリーランスを辞めるか否かを考えた1カ月は、改めてフリーランスと会社員の特性、良し悪しなどを考えるいい機会になった。せっかくなので「なぜ会社員に戻ることに決めたのか」、理由をまとめてみる。
「自由」の旨みがなくなった
もともと飽き性なところがあるので、同じような日々をずっと続けると鬱屈してしまう(それゆえに引っ越しが大好き)。
だから、「フリーランス=自由な働き方」のイメージ通り、自分で働く時間や頻度、業務量をコントロールできるのがめちゃくちゃ気に入っていた。
Sexy Zoneにどはまりした直後に仕事を減らしてセクシー漬けの1カ月を過ごしたのは本当に幸せな時間の使い方だったし、そこまで極端なことをせずとも仕事を調整してなんだかんだ月1は国内外に旅行をしていた。
ところがコロナにより移動がしずらくなった今、フリーランスの自由度を発揮できる場面が極端に減った。そうなった時に、フリーランスでいる理由が見出せなくなってしまった。
※これに関してはコロナが収束したら解決する可能性が高く、あくまで一過性の気持ちでは?というのが最大の懸念だったけど、「VCから資金調達をしているため、数年内に何かしらの形でのエグジットという区切りがある」とを聞いてまじで条件ぴったりだった。その後続けるか辞めるかはその時に考えるにして、一度一区切りがあるのはありがたい
報酬と業務量のバランスへの葛藤
アルムナビというメディアの編集長を任せてもらって、ありがたいことに相当自由にやらせてもらえる環境があった。私個人としては金額うんぬんよりも、編集長という役割でサイトを良くしていく経験に価値があると思っていたから、気持ち的には全力投球したかった。
ただ、フリーランスとして複数の会社と付き合っていく以上、アルムナビより高い金額をお支払い頂いている会社により多くの時間を割くべきであり、自分のやりたいことや熱意と案件の金額が食い違う場面が出てきた。
※記事制作5本で月いくら、みたいな契約だったらこの葛藤はなかったかもしれないが、継続的にお付き合いのある会社は基本的に「月いくらでいろいろやって!」みたいな契約だった
「ゼネラリスト志向のフリーランス」の限界を感じた
もともとゼネラリスト志向で、編集やライティングのスキルを突き詰めるというよりは、もっと広くサイト全体を見たり他事業と連携したりといったところに関心があった。
会社全体の戦略の中でどうメディアを運営するのか。その上で「どんな記事を作るのか、編集をするのか」を考えることがしたかった。(より良い記事を作りたい、原稿を書きたい気持ちももちろんある)
フリーランスという言葉から想像されるよりは、かなり各社に入り込んで仕事をしていたと思うけど、それでも「編集部」や「プロジェクト」を超えた提案ができないことに歯痒さを感じる場面も。
正確には提案自体はできるけど、そこから実行に移すまでの面倒な調整業務は先方にお任せで、しかもうまくいかなかったときに責任を取るのは私じゃない。そんな無責任な状態で「やりましょうよ!」なんて言えるわけもなく、外部の編集者として関われば関わるほど、一部の部分にしか携われないことに物足りなさを感じていた。
外部の人間がオウンドメディアを運営する矛盾
上記に関連するところで、「フリーランスとしてオウンドメディアの編集長をやる」ことの矛盾を感じるようにもなった。オウンドメディアを運営するのは、やっぱり社員がふさわしいと思う。
オウンドメディアは「会社のサービスおよび事業の認知を広げる/売り上げを上げたるためのメディア」であり、オウンドメディアだけで完結するものではない。
そう考えたときに、会社全体の事情を知らない、一部の部署、業務にだけ携わる人間がオウンドメディアの運営をしても、結局はオウンドメディア本来の役割は果たせないのでは?という疑問を抱くようになった。
(取引先をかなり絞って編集長業務をがっつりやるというのも考えたが、それもそれで中途半端というか、パワーを分散して成果を出せるほどの経験・実力があるとも思えなかったのが正直なところ)
チームで仕事がしたかった
振り返ってみれば、会社や学校に行きたくないと思ったことがほとんどなく、仮病で学校をサボろうとするちびまるこちゃんの気持ちがずっとわからない。
今日ダルいな〜と思うことは当然あるし、会社も学校もいつも超楽しい!というわけではないけれど、それでも「知っている人がいるコミュニティー」が好きなんだと思う。
そういうタイプだから、フリーランスになった直後、単発の案件を受けまくっていた頃の孤独感がすごかった。
そこからチームで動く継続案件を中心にしていくことで孤独感はだいぶ薄れたものの、やはり私が外部の人間であるのは間違いなく、どうしても超えられない一線があるのを感じていた。「これ天野さんに頼んでいいのかな?」と悩ませてしまう場面もあったと思う。
自分の性格を考えても、考えるのは得意だけど腰は重いタイプ。もともとお姉さん気質だし、適性診断結果はどう考えてもチーム向き。
仕組みや相手の適性を考えながら仕事を割り振ったり、アウトプットにフィードバックしたりしつつ、時に「チームみんなでやるぞー!」の勢いを借りながら仕事を進める方が無理がないと感じていた。
また、会社員に戻るかどうか考えているときに、信頼している前職の同僚から「チームの中で調和とるのが上手」と言ってもらったのも後押しになった。私は「あなたが信頼している他人が言う「あなたの得意なこと」は、世間で高い値がつくもの」というジェーン・スーさんの言葉を信じている。
30代でマネジメントを経験しておきたかった
ゼネラリスト志向に通じる部分だが、自分の適性や今後のキャリアを考えたときに、30代でマネジメントを経験しておきたかったのもある。
前職の後輩の原稿や企画のチェックをする中でも、「この人にはこういうアプローチをした方が伸びそう」「仕事の任せ方はこうした方がいいのでは」など、頼まれてもいないのに成長プランをめちゃめちゃ考えていた。
もちろん所感はマネジャーに伝えるし、時には一緒に話し合ったりもしていたけど、結局自分がそこに責任を持つわけではないわけで、なんだかな〜と思う場面も多々あった。
まとめ
ここまで書いてみて、「物足りない」「自分が責任を取るわけじゃない」といった文言が目立つことに気付いた。思っていたよりフリーランスとして仕事をすることに閉塞感を覚えていたのかもしれない。
ただ、フリーランスを経験したことで得たものはすごく大きかった。自分に合った仕事の仕方や適性など、自分自身の理解を深められたし、「自分にとって会社で働く良さとは何か」もよくわかった。何より、「いざとなったらフリーランスでどうにでも生きていける」自信を得たことは大きい。
私にとって会社員の良さは、会社としての大きな目標に向かって、いろんな役割を持った人たちと一緒に連携しながら進めていけるところなのだと思う。これからは存分に会社員の良さを享受して、違うかたちで頑張っていきたいと思う。
最後に余談だが、今回フリーランスから社員に戻るかどうかを考える中で、過去に取材した記事にもずいぶん助けられた。時を経て自分が書いた記事に自分がグッとくるというのは、なんともお手軽というか、自画自賛というか、改めていい仕事だなと思う。笑
せっかくなので、背中を押されたり考えをまとめたりする上で助けてもらった記事をいくつか貼っておく。同じように悩んでいる人の何か役に立てば幸いです。
ついでにキャリア系のお気に入りの記事も貼っちゃう。
Woman typeでコラムも書きました!
2021年に再びフリーランスに戻りました!
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