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ライセンス移管のすゝめ

はじめに

多分きっとおそらくMaybe新米情シスなっちです
Saasを使っていると現場が情シスに相談せず契約しているケースがよくあると思います。
今回はその現場管理のライセンスを情シス管理へと移管しました。
めったにできないことだったので経験を下に
■移管に向けての流れ
■なぜ現場管理のライセンスは引き取ったほうが良いのか
の2本立てで解説・持論を展開していきます。

おすすめの方

・現場管轄のライセンスを情シス管轄へ移動したい方

移管前の状況

■状況
管理部署:現場部署
使用部署:バックオフィス以外のすべて
使用本数:社員の1/3
ログイン方法:ID + Password (IDP統合なし)
ユーザー管理の手法:Excel台帳 手動での追加・削除・ライセンス付与
契約状況:数ライセンス数事に契約Noが存在する 30-50契約ほどあり 複数年一括支払いの契約
更新年月の状況:契約No・契約管理者・テナントバラバラ 月半ば終了のライセンス多数あり

■当時の課題
①Excelの台帳管理が非常に煩雑
 理由→契約Noがバラバラなため、どの部署の分かを把握するため、契約No、使用ユーザー部署、ライセンス更新日等の情報を記載。部署異動のたびに台帳を更新する必要あり、台帳更新に1日稼働を取られる場合も多々あり
②契約更新忘れが発生
 理由→契約更新日が契約ごとにすべてバラバラのため、ベンダー管理者ともに忘れてしまう
③Password忘れた等の問い合わせが負担
④経理上の処理が煩雑
 理由→複数年一括支払いの関係上単年で終わらないため「短期・長期前払費用」で処理する必要がある。契約No事に使用部署と開始日終了日が違う。部署異動をすると経費計上部署が変わってしまう。経理での前払費用台帳の更新が必要
⑤ユーザー削除忘れ

移管に向けての流れ

ざっくりすると以下のような流れでやっています。

①【現状把握】課題とリスクを洗い出す

【今回の場合】
台帳管理が煩雑で現場の稼働が取られているが一番の要素でした。

②【提案】調査を踏まえて、ライセンス管理引取への提案を行う

ここで役員を巻き込めるだけの親密ゲージがあるとベストです。
私の場合は、ご飯を一緒にするレベルの仲だったのですぐに巻き込めました。もちろん直属の上司・ベンダーに事前の根回しは済ませる必要があります。
【考えること】
安易に現状のまま引き取らず、現場も情シスもWinWinになるような提案を考える。
※このときに将来の管理手法についても説明しています。
【今回の場合】
#現場のWIN
・ライセンス管理がなくなること
・予算編成や前払費用会計の処理がしやすくなること
・ライセンス数のか不足が瞬時にわかること
#情シスのWIN
・ユーザー削除忘れによる不正アクセスを防止する
・Passwordを撤廃する
・ライセンス違反になるようなリスクを排除する
【実際に提案したこと】
・新管理手法の説明
・契約終了日を会社の年度末にすべて揃え予算編成を容易にする
【現場にお願いしたこと】
・費用が発生する場合会社への承認を取ってもらう

【余談:管理手法の解説】
・部署ごとに最大使用できる本数のみをExcel管理
・Saasのユーザーグループの参加人数がExcelでの記載数量を超えないようにする。Saas管理サービスを導入したほうがええやんというツッコミは心にしまってください。
※今回のSaasはユーザーグループに参加すると割り当てられたライセンスが付与されるものです。

③【費用算出】ベンダーと打ち合わせ

この際に会社への説得材料も用意します。
役員が会社に説明できるくらいまでPDCAを回して頑張ります。
【今回の場合】
一番最長の契約更新日を起点にし既存契約を追加更新をする手法を採用
支払いは一括で行う。費用は数千万単位でした。
【交渉材料の用意】
現場への負担が軽くなるという部分では数千万の費用承認は難しいです。
今回は値上げが直近にある予定を利用し、前後の価格差を算出。
承認への補強として利用しています。

④【社内決済】お祈りタイム

費用と案の提出後はお祈りです。自分にできることは、もはやありません。
現場役員が会社の承認を取ってくるのを待ちます。

⑤【発注処理】承認後発注

ベンダーへの発注手続きをします。
クラウドサイン未対応のベンダーだったため、永遠と紙に押印をしていました。クラウドサインって楽ちんだなと感じた瞬間です。

⑥【統合】各種統合

発注が終わればやること盛りだくさんです。
順番にこなしていきます。
【今回やったこと】
1.全テナントの管理者の取得
2.テナント統合・契約管理者の統合
3.複数テナントが立たないようにDNSレコードの登録
4.IDPへの認証統合・ユーザーへログイン方法変更告知

⑦【合意形成】細かい運用案の説明・協議→実運用へ

骨組みを作成をし、各部署へ合意形成を取る作業です。
事前に大まかに話をするとこの辺がイージーモードになります。
という感じで細かい部分は残っていますが、大枠としては完了です。

⑧【残作業】経理処理用資料を作業

経理への処理手法の相談と資料作成をしていかないといけません。
今回の契約は、契約によってはかなり先の費用を支払うことになるので経理と相談しながら費用処理をします。
契約月がバラバラなのもあり、いつにどの部署に費用が落ちるかという部分を情シスサイドで作成しました。

通常の複数年契約でも前払い費用という処理をされるので、いつからいつまでの使用分です。と経理に渡すと処理しやすいかと思います。
前払いについてはいつもお世話になっているMoney Forwardさんが丁寧に解説してくれていますのでそちらをご参照ください。

なぜ現場管理のライセンスは引き取ったほうが良いのか

情シスの役割から考える

最初に記載しますが、あくまで役割については持論です。
私は情シスは「ITという武器を用い、現場が提供する価値を最大化する」ことが役割だと考えています。
そのために現場がライセンス管理する必要はあるでしょうか?
私は不要と考えます。
さらに普段からライセンス管理をしている情シスが管理することで処理が圧倒的早いと考えています。
情シスとしての仕事は増えますが、会社としての業務量は減りますので結果会社としてはWINです。

情シス側のメリットから考える

■自分のやりたいことを後押ししてくれる存在ができる
好感度の積み重ねにより、自分がなにかしたい場合に置いて、現場の要望とフィットすれば進める後押しをしてくれます。
■現場を自主的に巻き込んだ整理が可能
押し付けられる前に巻き取ることで、ある程度現場を自主的に巻き込んでスムーズに管理下におけます。
■シャドーITの是正につながる
ライセンスを管理下においていくことによって現場より、あれもこれもと言われます。一気に刈り取るチャンスが生まれます。更にはライセンス購入前に相談をしてくれるなど情シスが介入し易い雰囲気を作れます。

つまりライセンス管理を移管することで、情シスの仕事は増えますが後々物事をスムーズに運べたりすると考えます。

さいごに

調査も含めると数ヶ月単位で稼働が取られていきましたが、意外と楽しくできました。文字数もかなり多くなりましたのでこのあたりで終わりとさせていただきます。
ご清覧いただきありがとうございました!

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