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昔の男を思い出して泣けるのは財産だ


しばらく創作も呟きもしないでいたら、ずいぶん月日も経っていた。最後にセックスしたのは三年くらい前になってしまった。その間、オナニーばかりして生き延びていた。


仕事でちょっと失敗した。別に大したことではなかったが、もっといい言い方をすればよかったといった反省をしただけのことだった。

帰りに脚のリラクを受けながらも、十分リラックスができなかった。歯医者で施術を受けてていても、ネイルサロンで爪を整えてもらっていても、気がつけばいつも仕事のことばかり考える。

仕事が好きだ。私は結局どこに行ってもどんな仕事をしても、仕事にいつも恵まれてしまう。もっとうまくずる賢く稼げたらいいのにと思うが、キャバクラなんかで働いても、ライバーみたいなので投げ銭をもらうようなことをしても、結局は何か自分を貫く仕事というものを持たざるを得ない境遇なんだと思う。諭吉も、生涯を貫く仕事があるのはよいと言っていた。

何かわからないもの、もしくは何もかもがいつも足りなくて、ふらふらと夜遅く帰る。帰り道にビールと生ハムとブルーチーズを買って、家について蜂蜜もどろどろに垂らして口に運ぶが、大したことないどうせ1ヶ月後には忘れているような今日した失敗が頭の中で響く。本当にまずいことではないし忘れていいことなのに、忘れようとすればするほど、離れてくれない。

かえって忘れてないで逆にたくさんたくさん反省してみた。わたしなんて駄目で駄目で駄目で、未だに子どもを持ちたいという夢もちっとも叶えられていないし、支えてくれるか支えたいとも思えるパートナーも見つかっていなさすぎて本当に人生、草でしかないなと思ってみたら、ああそうだこういう時に思いっきり泣けばいいんだと思い出した。

今から映画を2時間再生するのは面倒だし、読書を始めて泣きどころを探すのも寝不足になるし、誰かを死んだ時のことを思い出して泣けるほど身近な人が亡くなったこともないのだが、わたしはこれまで、一生満たされ続けて次に進まなくてもいいと思うほど恋愛をしてきた。たくさんの男と関係を持ってきた。

好きだった男が聴いていた曲と、好きだった男のことが書かれている曲と、『泣きたい時に聴く曲』と検索して表示される曲をSpotifyで再生していく。歌詞を表示する。YouTubeでPVを探していく。

自分が書いたnoteを開く。自分が詠んだ短歌を遡る。自分がしたツイートを振り返る。

大切にされなくて捨てた元彼、プロポーズめいたセリフを言ったのにフッてきた男、告白までしてしまったセフレ、子どもが欲しいとまで思った恋人、とにかくいろいろ思い出してみる。今は全く用事も未練もない男たちを、当時沼にハマったのか本当に好きだったのか判断がつかなかった自分の切なさを思い出してみる。一生懸命誰かを好きだった自分、一生懸命愛していた気持ち。セックスの時、最高に綺麗で可愛いくていじらしかった自分。それを抱いている男の視線。

あぁありがとう、わたしにはこんなに財産がある。
カタルシスをくれる思い出がたくさんある。飽きるほど恋愛してきてよかった。

またいつかどこかで、心から気持ちいいセックスしよう。現実にはいくらでも手を伸ばせるから、できるだけ前向きに生きていればいい。


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