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乗りこなす、泳ぎ続ける

 サカナクションの15周年記念オンラインスタジオライブを3日通しで見る、そのうち2日までが終了した。
 アーカイヴで見る人もいるだろうから内容には触れないが、素晴らしすぎて「3日間通しアーカイヴつき3800円」が夢か誤解だったのではないかと心配になってくる。
 音楽の海を泳ぎ続けるサカナの、しなやかな強さと確かなスキル。ゲストがまた「花を添える」などという軽い言葉では間に合わない、渾身のパフォーマンスで息をのんだ。

 体調不良から病気による療養期間、そして感染症禍がシームレスに続いたため、少なくともこの4年ほどあまり遠出をしてこなかった。世の中は久々に規制のないゴールデンウイークを迎えていたが、わたしも最終日にようやくそこそこ距離のある外出をした。
 とはいえ移動時間のそうかからない関東近県、しかも移動は人任せという状況なのは変わらない。わたしは到着まで、音楽に揺れながら車窓の景色を楽しめばいいという若干申し訳ない段取り。

花が美しく咲いていた。眼福。

 やりたいこと、行きたいところ、見たいものもそれなりにある。人相応よりは欲求が少なめかもしれないが、だからといって感じるところが何もないわけでもない。
 ただ、花見すら出来なかった時期を乗りこなして、より多角的な楽しみ方を覚えたような気は、ほんの少ししないでもない。
 乗りこなしてきた人たちの曲を、乗りこなしながら聴く。車内で、帰り着いた部屋で。いいGWだったと思う。

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」