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Incognito INTO YOU

 日曜の夜。高崎芸術劇場スタジオシアターにて、Incognito JAPAN TOUR 2024 "INTO YOU"を。BLUE NOTE×高崎芸術劇場のコラボレーションシリーズ。
 間に合うギリギリの時間まですっかり日付を勘違いしていて、これまでライブに足を運んでいた時との自分の感覚のズレにちょっと悲しくなるも、何とか10分と少し前に到着。

 2022年末に同じこの劇場で、BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRAとのライブを観て以来のブルーイ。ここに住み着いているわけではないけれど、なんだかお帰りなさいといった気持ち。

 ブルーイの「TAKASAKI ! 」が満面の笑顔で、前回ライブの一体感を思い出す。1曲目、まさかの1stから「Parisienne Girl」で幕を開けると、繰り出される至高のグルーヴで観客が次々とスタンドアップ。
 「Nothing Makes Me Feel Better」からお馴染みの名曲カバー「Don't You Worry 'Bout a Thing」へと続き、ぐんぐんヒートアップしていく。代表曲を織り交ぜながら、少しツウな選曲と言えるかもしれない。
 流石はUK最高峰かつ世界を股に掛けたジャズファンク・ソウルバンド。ブルーイによる「はじめての人は?」にはかなり多くの手が上がったようで尋ねた本人も驚いていたが、煽りもあって気付けばほぼ総立ちの大盛り上がり。
 パーカッションのRichie SweetとドラムスのFrancesco Mendoliaによる熱い掛け合いには、大きな歓声が飛び場内が沸き上がった。胸が高鳴る。そして「Colibri」の格好良さに心が躍る。「早朝3時」からはじまるあの曲フリMCには、笑みがこぼれるのを感じた。
 周りは殆ど年上だろうか大人ばかりで落ち着いているのに、それでいて音には気持ち良くはじけていて。隣席にいた初対面の方に少し話し掛けられて言葉を交わした。
 ピースフル。

 ラスト、MCでブルーイが
 「日本にいると安心を感じる。高崎は平和な街で、子どもたちが遊んでいる。ただ、世界でそれは当たり前のことではない。頭ではなくハートで感じよう。こっちではなくここで。お互いを思いやってよりよく生きよう。子どもたちのため、その子どもたちの子どもたちのためにも。(うろ覚え意訳)」
 音楽はそのためにあるはずだ。争いのためでも、分断や冷笑のためでもない。
 「One Love」のシンガロングの中での退場、まさに愛溢れるライブ。

 終演後、ブルーイにサインを貰いながら少し話せた。ひとりひとりに丁寧に言葉を返す彼の手も、眼差しもあたたかかった。
 素晴らしい音楽とメッセージに感謝を。

 ブルーイが治安が良く平和で安心できると讃えてくれたこの国が、いつまでもより良くあるといい。そして世界もきっと。
 会場併設カフェに並べられていた絵本の数々も、平和を願うものだった。芸術の名を冠するこの場に呼応する祈りを胸に、会場を後にした。

 今年はライブに回す気力や体力がなかなかなくて、でもチケットが手元にある公演だけはせめてなんとかならないかと思っていた。
 行けて良かったと思う、それを許してくれた周りにも感謝したい。


【set list】
Parisienne Girl
Nothing Makes Me Feel Better
Don't You Worry 'Bout a Thing
Keep Me In The Dark
When The Sun Comes Down
Into You
Still A Friend Of Mine
Shade Of Blue
Colibri
Bass/Supersonic Lord Sumo 
1993
Labour Of Love 
Talkin' Loud 
Roots 
As
Always There

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」