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残念ながら、あなたといると私は幸せなんです

「好きなドラマは何?」と聞かれると、ドラマ好きとしては困ってしまう。でも、最初に思い浮かぶのは、やっぱりこのドラマで、このセリフ。

貧乏が大っ嫌いな美しい女性が、ちょっとした勘違いで借金を抱えた魚屋の男と恋をする。彼女にはお金持ちの男がたくさん周りにいるけれど、魚屋との時間を過ごして、“お金にはかえられない大切なもの”に気づいていくお話。

“おとぎ話”のようなドラマだった

このドラマがどこか“おとぎ話”のように感じるのは、私だけだろうか。女性が夢見る素敵な恋がこのドラマには詰まっている。お金しか愛せない合コンに明け暮れる女性が主人公なのに。不思議。

振り返ると、このドラマには“付き合う”という概念がなかったように思う。彼女には頻繁にデートする男性がいたけれど、彼らは“彼氏”ではない。お金持ちの婚約者は登場するけれど、彼女は婚約者のことも、“彼氏”とは思っていなかったのではないか。
おとぎ話と同じ。シンデレラも白雪姫も、王子様と付き合ったりしない。恋に落ち、その運命の人と幸せになる。そのシンプルさが、このドラマを神秘的にしているのではないだろうか。

もうひとつ、このドラマを彩っていたのは音楽だと思う。主題歌は今も愛され続けている名曲だが、ここでは劇中歌についてお話したい。メインテーマの『You are the one』は聴けばすぐこのドラマの世界に入れるし、『Lovers』を聴けば切ない気持ちになる。『Blindness Rich』を聴けばクスッと笑えるシーンが思い出される。サントラをちゃんと聞いたことがなくても、ドラマを見ていた人なら懐かしい気持ちになる。

主人公の“お金しか愛せない”という振り切った性格やラブコメっぽさが表現されている曲と、“綺麗で少し切ない恋”を表現した曲。使い分けが絶妙で、このドラマに欠かせない要素だったと思える。

主人公が“いい子”じゃない

“お金しか愛せない”なんて、普通人に言えない。もちろん主人公は男性にはそんなことは言わないが、友達や打ち解けた人には価値観を隠さず話す。決して性格がいい主人公ではない。朝ドラなら絶対主人公じゃない。でも、まっすぐと言えばまっすぐで、嫌いになれない。

でも、みんなそんなものだと思う。本音を言えば、お金は大切なものだし。だから主人公に共感する。でも、主人公は異常なほどお金に執着があって、それ以外の定規を持っていない。男に好かれるテクニックは持っているのに、恋を全くわかってない。そんな不器用なところが愛される。私は、そんな桜子が大好きだ。

『名作』だから

ここまで読んでくださった方は、このドラマが好きな人だと思う(読んでいただきありがとうございます)。2000年放送で決して最近のドラマではない。でも、ここまで読んだ方の心には、確実に残っていたと思う。

ただ“好きなドラマ”じゃない。“名作”と言えるには、たくさんの人に長く愛される、そしてひとりの人の心に深く刻まれ根づいていくようなドラマでなければならない。『やまとなでしこ』はそういう力を持ったドラマだと思う。

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