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初任給で買ったのはネクタイではなく。

4/25。お給料日です。今年は4/25が日曜日なので、4/23(金)に新卒にとって初めてのお給料が支給されました。初任給、みなさんはどのようなシーンで受け取りましたか?また、どのように使いましたか?当社では、新卒に「記憶に残る使い方を是非してほしい」という話をしています。家族に感謝の気持ちを伝えたり、お世話になった方へギフトを送ったりと“初任給”への思い入れがあるんですよね。そこで今日は、私の初任給で購入した「バーバリーのネクタイ」についてご紹介しようと思います。


父のコレクション

実家から離れて暮らしていて、誕生日や父の日にギフトを送るということは例年していました。初任給ではまた別で何か形に残る物を渡したいと思い、父のコレクションであるネクタイにすることに。仕事柄、たくさんのネクタイを持っていた父に、改めて社会人になった娘から社会人の先輩である父に選んであげたくなったんですよね。GWの帰省の際に直接渡そうと、初任給を握りしめ私は大宮のそごう(デパート)に出かけました。

ネクタイがない

バーバリーが好きなことを知っていたので、バーバリーのショップへ。緊張していることを店員さんになんとかバレないよう、フラッと見ている雰囲気を出しつつネクタイコーナーへまっしぐら。すかさず感じの良い、いかにもっぽい店員さんが「プレゼントをお探しですか?」を声をかけてくる。「はい、父に。」と返す私。「父の日用でしょうか?」と聞かれ、「いえ、初任給で渡したくて」と伝えたら、にっこり笑って丁寧に接客してくれました。

ただ、ネクタイが無い。厳密には、父が好きそうな・私がイメージしていたようなデザインがなんとなくどれも違って、ウーーーーーン、、、、と、全くしっくりくるネクタイが無い。たくさん出してくれて、本当に申し訳ない気持ちにもなり、この緊張からはやく解き放たれたい気持ちもあり、なんとなくこのあたり?と決めてしまいそうになるものの、いや、やっぱり違う。父にあげたいと思う、そして私が買いたいと思うネクタイがないのです。

ネクタイを売らない

値段じゃなくなにかが違うんだ、という時に何と言って店員さんに断ったらいいか困りますよね。。。本当は値段に尻込みしちゃってるんじゃないかと思われないかなとか、変に考えてしまったり。でも、なにかが違うと伝え、店員さんも察してくれて、変な空気にはなりませんでした。

そして代わりに言われたこの一言。

「同じこのフロアに、そごうさんの紳士用小物コーナーがあります。そちらにも、当ブランドが一部置いておりますのでもしよければそちらをご覧になってみてはいかがでしょうか?」

接客のためにけっこうな時間を使って、そもそも私は買う気満々のお客さん。なのに販売員さんは売ることをしませんでした。しかも他の売り上げになる提案をしてきたのです。わたしは、「えっ」と思いながらもその提案にありがたく乗らせていただきました。
様々なブランドが置いてある紳士用の小物売り場の一角にある、ネクタイコーナー。そこにたしかにバーバリーのものもあり、違うラインナップの商品が置いてあります。そして、ピンとくる一本に出会いました。薄いピンク地にブルーのバーバリーマークが細かくプリントされているさわやかな一本。「これだ。」わたしは購入することにしました。

買ったのは間違いなくバーバリーだった

当たり前なのですが、もう少し細かく書くと「バーバリーの購買体験」を買った、ということでしょうか。そごうでバーバリーの商品が売れた際のバーバリーに入る売り上げの比率はわかりませんが、きっと自分の店舗で売った方が販売員さん自身の成績や店舗の売り上げになるはずです。ただ、販売員さんはそれをしなかった。それでも私は、バーバリーというブランドで買い物をした体験を十数年経った今でも鮮明に覚えています。
そごうのレジでお会計を済ませ、バーバリーのショップに戻り、購入できたことを報告したときのあの販売員さんの表情。バーバリーから買ったというこの経験を私は一生忘れないと思います。

GWで実家に帰省し、父にネクタイをプレゼント。とても喜び、その場でシャツに着替えてネクタイを締めてくれました。そして二人で写真を撮り、父にもこの買い物の一連の話をしました。父は「へー!」と興味深く聞きながら、セールスの仕事を始めた私に「そういう接客や提案ができるようになっていくんだなおまえも」と言ってくれました。

その言葉はずっと胸にあって、セールス時代に意識していたのは言うまでもありません。売りたいという気持ちよりも、心の底から満足してほしいというお客様に寄り添った気持ち。その想いは今では新卒へも受け継がれます。

初任給という節目

初任給の使い道は、自分へのご褒美でももちろんそれぞれの価値観でいいと思います。ただ、人生に一度きりの初任給。プロとしての節目になったあのころの自分のチャレンジや失敗、できなかったことができるようになったあの瞬間を忘れたくない。そんな頃の想いがなんだか強く残っています。

当社には、新卒が最初に配属される育成の専門部署があります。まだ稼ぐことのできない新卒にこれから何を期待しているのか、未来への投資なのだと話して初任給を渡しています。なにも申し訳なく思う必要はなく、十数年前の私もそうでしたし、そうやって先輩からバトンがつながって、未来の新卒のためにまた今年の新卒も成長していく。そしていつか部下ができたとき、いつか子どもができたときにこの節目を一緒に振り返る。こんなシーンが初任給には込められているのではないかなと。


新卒にこのネクタイの話はまだしていないのですが、「販売する」ということに迷ったときにいつか話してあげたいなと思いながら書いていました。
あの販売員さんは元気だろうか。売る、買うというのがあまりに簡単にオンラインで完結できてしまうこの時代に、なぜ私たち人間が介在するのかを改めて考えさせられる、忘れたくない買い物のお話でした。

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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