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カンボジアで安いのは、米とビールとタバコと〇〇費

3年前にカンボジアに入国して以降、最も驚いたのは、思いもかけなかった物価の高さです。“経済”に弱い私は、いまだにこの謎が解けません。

まずは、IMFの統計による世界の一人当たり名目GDPというのを見てみると、2021年度の統計で、カンボジアは世界の158位-1,650米ドルです。日本はというと、世界28位-39,340米ドル。つまりカンボジアは日本のおよそ1/24ということになります。

ところが、私がいつも行くアンコール・マーケット(客層は主に在留外国人と中華系カンボジア人)に並んでいる商品というのは、生鮮商品を除くと、ほぼ日本と同じかあるいは日本よりも高いものが多いのです。それはほとんど総てが輸入品だからで、日本製の調味料やだしの素、マヨネーズ、カレールーなどはだたい2倍かそれ以上、キッコーマン醤油の1リットルが1000円ほどします。

その他、缶詰とかコーヒー、乳製品、お菓子、また、シャンプーやコスメ系なども輸入品で、モノによっては日本で買うより高いことが多いのです。

輸入元としては、タイ、ベトナム、中国、韓国、シンガポール、マレーシア、日本などのアジア圏が最も多く、元宗主国フランス製のワインと瓶詰系、イタリアのパスタ・オリーブオイル系、オーストラリアの缶詰などもあります。ニュージーランドのミネラルウォーターにはさすがにびっくりしました。

アンコール・マーケットは中華資本の店で、他より特に高いというほどではありませんが、フツーの小店舗で扱っているような低価格の商品をそもそも置いていません。レジの女性が全員英語を話し、支払いもスマホででき、何より品揃えがあるので、私もついついここに行ってしまいます。開店した頃はほとんどカンボジア人のお客さんを見かけませんでしたが、最近はよく見るようになりました。だいたいが Toyota か Ford の車でやって来る富裕層で、“土地成金”も多いようです。

肉を食べない私は、ツナ缶をしょっちゅう買うのですが、これは日本よりずっと種類が豊富で、タイ、シンガポール、韓国製などがありますが、だいたい2~4ドル程度。私は栄養補給のため(?)にやや高めの JOHN WEST というオーストラリア製をよく買います。

さすがに生鮮食品はずっと安く、私は野菜はオールドマーケットに行って買いますが、日本の半額以下。ただ、卵は10個で1.5$くらいします。鶏卵は高いので、あひるの卵を買っている人も多いようです。肉・魚類は安いです。

最もこれらはシェムリアップ価格で、そもそも少し離れた村落部では、日本製品はおろか、ツナ缶なども売っていないでしょう。GDPが日本の1/24という国の農民たちの生活水準というのは、まさに桁違いだと想像するのですが、残念ながら私はまだそういった地域で生活したことはないので、正確なことはわかりません。

その上に、電気代は日本よりも高いのです。輸入品だからです。ちなみにガソリン代は以前はリッター4000リエル(≒1$)ほどでしたが、現在は5250リエルに高騰しました。農機具などに使うディーゼルはもっと高くて農民たちは困っています。

中国黄土高原に暮らしていた頃は、電気代は月に300円払うことはなかったのですが(部屋に電化製品がほとんどなかったので)、今はその20倍(!)くらい払っています(居候がクーラーがんがん使うから)。食料・日用品も中国の方が安く暮らせました。しかし、中国の一人当たりGDPは世界65位、カンボジアの7倍弱あります。いったい当地の農民、一般市民たちはどうやって暮らしているのか、とても不思議なのです。

もちろん安いものもあります。まずは米です。私はオーガニック米を購入していますが、1キロ1$、いうまでもなくこれは高値です。

しかし、これこそが大きな問題で、カンボジアの主産品である米がこんなに安いということは、農民たちの所得が少ないということです。隣国に輸出してもいるのですが、いったいいくらで出しているのか?私のシロウト考えからいうと、米価に国が介入して、農民たちの所得を増やす必要があると思うのですが、そう事は簡単にはいかないのでしょうね。

シェムリアップの近郊では野菜栽培もけっこう盛んですが、野菜もほんとうに安くて、短期密集栽培しなければお金にならないので、化学肥料を使い、そもそも昆虫が多い(私のミニ菜園でも虫害にやられます)ので農薬も使わざるを得ず、その費用がますます収入を圧迫してくるという悪循環に陥っているのです。

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そして安いのは、ビール(ビール以外のアルコールは輸入品なので高い)とタバコ。ビールもタイ、ベトナム、シンガポール、ドイツ、アメリカ、日本製と様々ですが、国産品もあります。価格は缶ビールのショートサイズで1本50円ほど。中でも最近発売された HANUMAN というビールがおいしくて、私はもっぱらこれを愛飲していますが、ANGKOR や CAMBODIA と比べるとちょっとだけ高いです。つい先日スーパーでキャンペーンをやっていたので、一箱(24本入り)買ったのですが、13.5$+6本のおまけが付きました。

(-。-)y-゜゜゜は、私は韓国製の ESSE スリムサイズを吸っていますが、1箱3000リエル(つまり100円しない)、日本製 MEVIUS スリムサイズは4000リエル、私がタバコを止められない最大の理由はここにあります。

しかししかし、カンボジアで最も安いものは他にあるのです。それは「人件費」。以前、市場の中にある美容室(美容コーナー)で髪を切ってもらい、1$といわれて3回聞き直したという話を書きましたが、街中でも相場は2$です。日本人や韓国人がやっている店は10$くらいしますが、私はもちろんそんな所へは行きません。

ところでつい一昨日、車の後輪がパンクしたので、通りがかった小さな修理工場に入れました。

ビスが1本刺さっていたようで、高校生くらいにしか見えない少年が、ほんの15分ほどで手際よく修理してくれました。そして料金を聞くと、5000リエル、つまり現円安レートで換算しても150円だというのです。これまた私は2回聞き直しました。以前自転車のパンクを修理してもらったことがあるのですが、確か50円くらいだったと記憶しています。

コロナ渦で収入が途絶えてしまった私には、正直いって100円でも安い方がありがたいのですが、帰りがけに渡した2000リエルのチップにほんとうに嬉しそうに表情を崩した少年の顔が忘れられません。

カンボジアのモノの価格がなぜこんなにもイビツなのか、解き明かしてくれる電子版書籍があったら、どなたかご紹介ください。

*トップ写真はシンガポール製のツナ缶。マヨネーズ、チリソース、トマト、オリーブオイル、オメガ3など、何種類かあります。味は、はごろもよりおいしいです!


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