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この夏の一時帰国の際に感じた日本の美しさ

この夏、日本に一時帰国した際、日本の山の緑が濃いことがとても美しいと思いました。日本の夏は非常に蒸し暑く、また台風などによる集中豪雨も多いのですが、ヨーロッパの夏は乾燥していて、森林では山火事が起こり、飛行機から見える大地は緑ではなく黄土色の箇所が多いのです。

日本では 、古来より巨樹や古木には「神が宿る」と言われてきました。今でも神社の境内に注連縄の巻かれたご神木をよく見かけます。

世界中でも多くの古代人が、この世界の中央に一本の大きな木があって、天を支え、天界と地上、さらに根や幹を通して地下世界に通じていると考えていました。世界樹と呼ばれています。さらに、太陽がその枝を伝って東から昇り、西へと移っていくと考え、そして、世界樹によって神が出現すると。

1847年に出版されたスノッリのエッダの英語訳版の挿絵
Oluf Bagge - From Northern Antiquities., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=576714による


ヨーロッパでも、ケルト人やゲルマン人をはじめ、ギリシャ人やラテン人も樹木を神聖視していました。しかし、12-13世紀「自然を征服する」というキリスト教の使命によって、森は切り開かれ、樹木は木材として使われました。異教の神々が住む森は、文明化の名のもとに破壊されたのです。

ただ、キリスト教にも樹木信仰の名残りがあります。キリストは十字架にかけられて聖化をとげますが、これもキリスト教以前にゲルマン人たちが信じていた、世界樹にぶらさがることによって神になるという信仰に合わせてできあがった物語だと中西進氏は言います。

Orvietoの聖ジョヴェナーレ教会に残る14世紀の「生命の木」(作者不詳)。
十二枝はキリストの生誕、受難、賛美をめぐる神秘をあらわしています。

キリスト教が布教の範囲を広げていく過程で、いわゆる、邪教を取り入れることが有効だったわけですが、それほどに世界樹が神の誕生を語る上で、欠くことができないものだったとも。

森林は、二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献しています。(もちろん、酸素の生産もしてくれるのですが、酸素が足りなくなる前に、二酸化炭素の割合が多くなりすぎることにより、生命を維持できなくなるそうです。)

あらゆる自然破壊を食い止めるために、古来からの樹木信仰を今もなお続けている日本で生まれた者として、ヨーロッパにおいて、森への、自然への畏敬の念を取り戻すために何かできることはないことかと考えながら。


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