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A avô veio trabalhar(ア・アヴォー・ヴェイウ・トラバリャール)・訳・おばあちゃんは働きに行く!

こんにちは!

夏子です。

今日は、ポルトガルのおしゃれな社会貢献プロジェクト、A avô veio trabalhar(ア・アヴォー・ヴェイウ・トラバリャール)(おばあちゃんは働きに行く)の話をしたいと思います。

A avô veio trabalharを知るきっかけ。

コロナ以前にゲストハウスをしていたバイシャ・シアド地区に、こじんまりとした、おしゃれでカラフルなお店があって、中でいつも数人のおばあちゃんたちが何かを作っていました。

現在はArroiosにお引越ししています。

なんのお店なんだろう? と気になりつつも、入る勇気が持てず…。

パンデミックを経て、昨年8月に1ヶ月滞在した際、ポルトガルのサステナブルな取り組みについて調べる機会があり、そこでA avo veio trabalhar の活動内容をちゃんと知ることに。

どんな社会貢献プロジェクト?

手前がカラフルでおしゃれなスザナ。奥はいつも真っ黒で統一しているアンジェロ。

デザイナーのスザナというの女性と、心理学者のアンジェロという男性の2人で、2014年に立ち上げたプロジェクト。

スザナは、小さい頃から祖母の刺繍や手仕事を見て育ち、イタリアのミラノの大学にデザインの勉強へ。

ミラノの大学を卒業後、ファッション業界の流行やトレンドといったものが、常に新しいものへとシフトしていくこと、消費を促すことなどに疑問を持ち、ポルトガルへ戻り、昔からずっと頭にあったアイディア、「Old is beautiful」(老いは美しさ)のもと、高齢者や障害者、移民などのコミュニティと協力して商品の開発やデザインをしてきたそう。

2014年に心理学者のアンジェロと出会い、ポルトガルのおばあちゃんたちに、もっと自分たちに自信を持って欲しい、という思いからAvo veio trabalharのプロジェクトをスタートさせます。


笑顔が素敵なおばあちゃん。

ポルトガルは高齢化社会?

ポルトガルは、ヨーロッパの中でも最も高齢化率の高い国のひとつです。

1974年の独立革命まで続いたサラザールの独裁政権時代は、女性は家庭を守ることが仕事と考えられていて、女性が自由に仕事に就くことや、投票権も、平等に与えられていませんでした。

そんな時代を生き抜いた女性たちは、専業主婦としての家庭での仕事が中心となり、そのひとつとして、刺繍や裁縫がとっても上手なのです。

特に刺繍は、17世紀ごろから北部のミーニョ地方で、「Lenços dos namorados(恋人たちのハンカチ)」といって、女性たちが恋人に想いをつづった刺繍を施したハンカチを送るという習慣があったり、ほかにもレース編みや機織りなど、素敵な女性の手仕事がたくさんあります。

そんな素晴らしい技術を持っていても、専業主婦として生きてきた彼女たちは、その技術は当たり前すぎて、他の人に伝えることや、仕事として活かすというアイディアさえなかったのかもしれません。

現在のポルトガルには、一人暮らしの老人、一日中家から一歩もでない、うつ状態の高齢者がたくさん。

スザナは、高齢者施設の中で、そんな彼女たちに、刺繍や手仕事を、彼女たちの仕事として与える活動を行なっていました。

そして、仕事を与えられたことによって、やる気が出て、自分に自信を取り戻して元気になっていく姿をたくさん目の当たりにします。

そこから、人と人との繋がり、コミュニティ、自分も社会から必要とされている、と思うことの大切さ、また、老いに対するネガティブなイメージを払拭して、「老いることは美しい!!」と社会にアピールしていくために、このプロジェクトを始めたのよ、とスザナは話してくれました。

信念をしっかりと持った女性、スザナ。

心理学的なアプローチもとても大切で、元気がない、自分に自信がないおばあちゃんたちに「あなたは美しい!!」と100回言い続けると、彼女たちの表情は明るくなっていくんだそう。

心理学者とデザイナー、そして手先がとても器用なおばあちゃんたち。

最強の組み合わせで生まれる商品が、またとってもおしゃれでかわいくて!!

どんなミラクルが生まれているのかは、次の記事で紹介したいと思います。


写真をおしゃれに飾り付け。私もこんなおばあちゃんになりたい。

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