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【 組織内の「父性」の未熟さ 】

「組織」よりも「個人」の方が取り扱いは難しい。
なぜなら、「組織」は嫌だったり合わなければ
最終的にはそこから出れば良いのだけど、
「個人」はそこから出ることは出来ないから。

そんなこんなで、
「個人」を整えるために
細々とですが心理療法を学んでいます。
(by 富士見先生と岸原先生)

で、個人の開発の中で特に
日本人の「〜依存症」と言われる
精神疾患について学んでいくと、

(数が多くてメジャーだから、軽く見えがちですが、
 精神疾患の中で「〜依存症」はかなり重度だそう)

「境界線」と言うキーワードに辿り着きます。

そして、この「境界線」というキーワードこそ、
人の中にある「父性」と「母性」にまつわる部分なんですね。
(これは性差関係なく、人の中にどちらもある性質のこと)

心理療法的な観点での
「父性」は 赤ちゃんを守る「子宮壁」の役割
「母性」は 赤ちゃんを育む「羊水」の役割
そしてこの「父性」こそが
赤ちゃんと羊水を守り保つ「境界線」

私たち人間は、
人との関係性の中で
自分自身や子や次世代を育んでいくわけですが、
この時の「父性」は、秩序とか意味、意義。枠組み。ルール。
これらによって、中を守る。

そして、こういう秩序や意味や意義が、
どういう成り立ちで必要なのか?
背景や文脈を自覚した上で認識する。
そして、その秩序や意義に基づいて
意図的意識的に行動する。というのが「父性」

これがあることで、中の柔らかい母性や育む子を守ることができる。

こう捉えて、
日本の組織を私が長年見ていると、
この中を守る&育むための「父性」が弱いなぁ&未熟だなぁと感じるのです。

それは、
なぜ、この仕事をする必要があるのか?
その意味や意義が示されないまま
闇雲に働いていたり、働かされていたり、
ルールや枠組みの意味や意義を理解したり言語化しないまま、
脊髄反射的にルールや枠組みにただ従う感じ。
もしくは、このルールや秩序がなぜ必要なのかを語れないまま、
従うように強制していく感じ。

秩序や枠組みがないと、
上司は、部下個人の常識や規範をアテにすることになり、
それだとあてが外れたり、期待外れが繰り返し起きて、
結果的に
常に部下を信用できずマイクロマネジメントになってしまう。
部下も部下で、上司から信用されていない、
いつどういうことで怒られたり非難されるかわからないから、
常に気持ちを張っていて、キョロキョロビクビクしている状態...
これじゃぁ、心身ともに疲れてきってしまって、
仕事は続かないですよね。

まさに私もマイクロマネジメントを
してしまっていたことからの反省も大きい。

前職で、スクールの立て直し的な仕事をしていた時があります。
新しいスクールや学校崩壊しちゃったりして混乱しているスクールに
定期的に通って、
そのスクールのどこが混乱のポイントなのか?
何が必要かを観察して、スクールのトップをサポートしていく。

結果的に、そうやってサポートしていく中で、
「だったらあなたがトップをやってくださいよ!」と なり、
いくつかのスクール(学生数500~700人規模のスクール)の
責任者をやったりもした。

その時にやっていたのは、今思えば、まさに枠組み作り。だったな。

この学校内のどこがグズッとなってしまっているのかを観察して、
どんな枠組みがあったら全員が安心なのか?を考える。
学則も見直して作り替えたし、
職員が混乱している時は、
職員の仕事を、みんなで見える化しながら棚卸しをして、
何の目的(意味や意義)で、何を誰がどうする必要があるのか?
やらなくて良い仕事、強化する仕事、追加する仕事、
役割や線引きを変えるものとか、中長期的な視点を
合意形成をとりながら決めていく。
そしてこの枠組みやルール、秩序がなぜ必要なのかを、
彼等の立場に立って職員や学生に「繰り返し」伝えていく。

そうやって、話し合っているうちに、
職員も学生も段々と落ち着いてホッとして来る。

枠組みが出来るからこそ、その中では
安心して伸び伸びと過ごせる。仕事ができる。
見張られているのではなく、
見守られている感覚が生まれ、職場に安心感が漂う。

意味や意義が分かるからこそ、
やり方は自分で工夫したり決められるようになる。
今、自分が何に集中していて良いのかがわかる。
自分で出来ることが実感できてきて、自信が積み上がってくる。


こういうことがなく、
お互いの常識や暗黙の了解でどうにかしようとすればする程、
勝手に相手に期待したりアテにしたりして、それが叶わなかった時に
幻滅して、信用を失いあっていく。。。
そして
「あれ、ひどくない?」「普通、こうするのが常識だよね??」とか、
お互い陰口を叩くことに。。。
これは、お互いに不幸なこと。

関係性を築き直すには、
「母性」と「父性」両方が必要。
父性が無ければ、せっかく母性があっても流れて無くなってしまう。
闇雲に誉めても認めても許しても、一過性で流れてしまう。

蝶々だって、芋虫から蝶になる時、サナギの中は液状で、
あのサナギの殻が無ければ、液は流れ、蝶に再構築はされない。


グラフィックファシリテーションで見える化しながら
全体をホールドし、枠組みをきちんと置きつつ、寛容さや許しを注ぐ。

子宮壁と羊水で赤ちゃんを育むように、人を組織を育む。

そんな風に想いながら、日々耳を傾け、描いています。

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