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遺書No.200 惰眠の悦楽。

※この記事は、私がかつて(2004年7月6日から2009年7月5までの5年間)、cgiboyというサービスのブログで毎日投稿していた「遺書」の中から、とある1日を抜粋して転載したものです。
※最後に、久々に読み返しての一言メモを追記しています。

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2005.1.22
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今日は一日中外にいた。寒かった。
新橋と、汐留の2箇所で街頭配布を行っていた。

しかし、寒さからか?
突然急激な眠気に襲われ、
意識朦朧としてしまった。

頭の中では、
名作『北の国から』で吾郎さんが吹雪の中で、
崩れた雪と荷の下敷きになる名シーンが浮かんだ。

…死にそうになり薄れ行く吾郎さんの意識の中で、

石田あゆみ演ずる奥さんが、
『寝ちゃダメ!』と語りかけるシーン。

いや、状況は全く違うのだが。。


そういや以前にも触れたが、
なんでこう睡魔に襲われた時の眠りってのは、
夜の眠りと違ってあそこまで気持ち良いのか?

いわゆる、『惰眠の悦楽』だ。

普通の睡眠ではなく、惰眠。

ここがポイントなんだよね。
普通の睡眠も気持ちいことは気持ちいいのだが、
金メダルとった直後の某北島氏ばりに
『超気持ちィィイイイイイイイイ!!』
と叫びたくなる程の、
惰眠がもたらすソレとはもう一線を画す。

睡眠と惰眠の気持ちよさとは、
もはや比ぶべくもなく、
惰眠が圧倒的に気持ち良いのである。

では、一体何がそこまで両者をわかつのだろうか?

まず、睡眠とは眠る行為の事である。
これは難しくいっても眠る行為である。
それ以外の何物でもなぃ。

一方の惰眠は、
眠るの前に「惰」という字がくっついている。

要するに、普通の眠りを通り越して、
もはや「惰」的に眠る行為をさす。

そのままだけど、そうなのだ。

つまり「惰」的な行為である以上は、
なんらかの『後めたさ』が、
そこに存在するのではなかろうか?

そう考えると、いい感じだよね、
論理的な答えを導き出す事ができたといえやう。

つまりこういう事。

惰眠の本質とは。

本当ならもう起きて仕事せなあかん時間やけど・・・。
むぅ~~~~~~~あと10分!
いや・・・5分だけでいい・・
俺を寝かせてくれ・・
みんな、不甲斐ない俺を許してくれぃ・・・

てな事を朦朧とした意識の中で考えつつ、
うつらうつらと微睡み(まどろみ)をさまよう。

これがいわゆる『惰眠』である。
もちろん仕事中に寝てしまうのも同様だ。

本来なら、その時点で起床して、
あるい眠気に抵抗し、
成すべき用件があるはずなのに、
それを放棄して眠ってしまう。

つまり、『許されぬ眠り』である。

だからこそ、
それを貪る喜びもまた格別なのではないか?

長くなったが、これが俺なりの惰眠の悦楽の考察である。


まぁ、ダラダラと駄文を並べたけど、
も一つだけついでに思う事がある。

皆さんの中にも経験がある方は多いと思うが、
「あと5分!」と言って惰眠を貪った後に、
あっという間にその5分が過ぎ、
すると再び「あと3分!」などと、
追加で惰眠を貪ってしまう。

挙句の果てに、
さらに追加で惰眠をとったら、
既に取り返しのつかない時間になっている…


・・・そんな経験、ありません?

涙ぐましい程に小刻みに惰眠を貪ろうとする、
あの瞬間。

惰眠と覚醒の間を行ったり来たりしながら、
人は一生の針路よりも一瞬の惰眠に負ける瞬間がある。

キング・オブ・ダミン。

ちなみに、惰眠に負け、
大事な責任を放棄してしまった事を自覚した時、
焦ってその責任を取り返そうとするのでなく、
開き直って

えぇぃ!このまま惰眠に身を委ねてしまぇぃ!!

と大胆に割り切った時。

この時の惰眠の悦楽こそ、
この世のものとは思えない程の、
最高に気持ちいい瞬間でもある。

まさに、
キング・オブ・ダミン
といえるだろう。

・・・何とも意志薄弱な生き物だろうか。

そんな人間である事が、まだ救いでもぁる。
「ふっ。おもろいとこあるやんけ。」と、
普段は偽善的で且つ欺瞞と傲慢に満ちた人間が、
言い訳の出来ぬ堕落した姿を見せる瞬間を、
皮肉たっぷりに褒めたくもなる私です。

惰眠て、いいよね。

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2021.9.30
毎日遺書を書き始めた当時200日目の投稿内容。
最近、惰眠に縁遠くなったなぁ。


過去のボクは昭和の固定観念や慣習に縛られ、自分や家族を苦しめていた事に気付きました。今は、同じ想いや苦しみを感じる人が少しでも減るように、拙い言葉ではありますが微力ながら、経験を通じた想いを社会に伝えていけたらと思っていますので、応援して頂けましたら嬉しいです。