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ポンドこそ最もテクニカルが有効に機能すると思う5つの理由

 私はここ数年ポンド(GBPUSD)しか見ていない。殺人通貨とも呼ばれるポンドだが、私はテクニカルでトレードをするならGBPUSDが最も適していると思っている。

 以下その理由を列挙する。


ボラティリティが大きい

 ボラティリティとは価格の変動幅のこと。GBPUSDはボラティリティが非常に高い。一般に円が絡む通貨ペアではボラティリティが低く、ドルやポンドが絡むペアではボラティリティが高い傾向にある。中でもポンドとドルのペアであるGBPUSDは100以上ある通貨ペアの中でも最大のボラティリティを誇ると言ってよいだろう。

 改めて断っておくが、私の考えでは、ボラティリティが大きいことは良いことである。おそらくそうは考えない人もいるだろう。
 「価格の変動幅が大きい=値動きが荒い」ということであり、値動きが荒いということはそれだけリスクが高いことを意味する。リスクとリワードは本質的には同じことなので、これをもって「ポンドは危険」と表現することもできる。ただ個人的には、ボラティリティが大きいからポンドは危ないと信じている人はトレードで勝てないと自白しているようなものだ。ロスカットを入れていたらリスクが高いも低いも関係ないはずである。


相対的なスプレッド(手数料)が低い

 FXをやる以上必ず発生する為替交換手数料、これがスプレッドである。取引する証券会社によってスプレッドに差はあるが、ここで言いたいのは「◯◯証券会社がスプレッドが安いからおすすめ」という話ではない。読者の方がどの証券会社で口座を開設していたとしても、取引する通貨ペアによってスプレッドが低いものと高いものが存在するということである。
 で、私がおすすめするのは当然GBPUSDである。基本的な発想として、取引手数料が安いことは良いことである。株やコモディティと違って何度も繰り返し取引しなければならないFXにおいては少しでも手数料が安いというだけでトレードに向いているペアと言える。

 ここで「スプレッドが一番小さいのはドル円じゃないの?」と思った方もいるだろう。確かに円建てで口座を開設した場合の各通貨ペアのスプレッドを比べると(XM参照)、
USDJPY 1.60pips
EURUSD 1.66pips
EURJPY 2.35pips
GBPUSD 2.43pips
GBPJPY 3.73pips

 確かにドル円が最も安く、ポンド系のペアは高めに感じる。GBPUSDはJPYUSDの約1.5倍のスプレッドということになる。かなり違う。
 しかし、これは「絶対的なスプレッド」に過ぎない。問題はボラティリティと比較した際の「相対的なスプレッド」なのである。以下、同日同時刻のATRでの比較だが、結論としては「USDJPYもGBPUSDも相対的なスプレッドではほぼ差がない」ということになる。

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 図の見方としては、ATRに引いた破線がそれぞれ「1回に費やす往復手数料」である。考え方として、例えばドル円なら、1回エントリーして損切りないし利益確定するのに1.6pipsずつ、往復で3.2pipsスプレッドが発生する。スプレッドは毎回支払う訳だから、「ドル円であれば、最低限ATRが平均でも3.2pipsを上回っていなければ手数料負けしてしまう」という発想である。ちなみに図は5分足で変数n=7である。過去7本分のローソクの値動きが平均して3.2pipsを割っている時間帯は正直取引すべきではない、と私は考える。

対ATR比で相対的なスプレッドがほとんど変わらないなら、ボラティリティが高い通貨ペアの方がトレードには適している。なぜならスプレッドがほぼ同じなら、ボラティリティが大きいポンドの方が相対的なスプレッドは小さくなるからだ。
 「エントリーとイグジットに費やしたスプレッドを回収するのにどれだけの値幅が必要か?」と考えた時、結局ボラティリティが最大級のポンドにはどの通貨ペアも敵わないのである。


流動性が高い

 金融において流動性とは「金融商品や資産の取引量(売りやすさ買いやすさ)」を意味するが、ここでは「市場の参加者が多い」という意味に捉えてほしい。GBPUSDは取引金額量では、EURUSD、USDJPYに次ぐ第3位である。流通量は全為替取引のうち約9〜10%に及ぶ。

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https://www.oanda.jp/lab-education/beginners/aboutfx/trading_volume/

金融の世界において、流動性が高いということは良いことである。自分が売りたい買いたいと思った価格で売買ができる。別の言い方をすれば、「ギャップが生じない=値が滑らないで約定する」ということである。これはテクニカルトレードをする上では最も重要な要素の一つである。
 思い出してほしいのだが、日本株の個別銘柄のチャートを見た時、かなりの頻度で「ギャップ」つまり、昨日の終値と今日の始値が開いていることがなかっただろうか?あの「空白」こそがテクニカルを機能させない最大の足枷なのである。ギャップの生じる原因は、要するに薄商い。売り手に対して買い手が過剰に少ない場合、またはその逆で買い手が過剰にいるのに売り手がつかない場合など。こういう閑散とした相場に機関投資家のような大口の注文が入ると、価格が一気に高騰したり暴落したりする。

ギャップ

 この薄商い状態がほぼ生じないのがGBPUSDの素晴らしい点である。ちなみに取引量ではポンドを上回るドル円は、5分足でも結構頻繁にギャップが生じている(上図)。取引量が多くても閑散としている時間帯があれば不意に価格が急変するリスクがあるということだ。突発的な急騰急落は基本的に裁量テクニカルトレードでは対応できない。
 勘違いしている人が多いが、ポンドには予想外の高騰や急落(いわゆる「ショック」)はあまりない。(単に小規模なレンジブレイクがロスカットを誘発して「負けた」と記憶されやすいのだ。その原因は往々にしてボラティリティの把握を怠っている場合がほとんどである。)通貨ペアの性質上、ボラティリティが大きくて流動性が高いメジャー通貨において、日本株の小型銘柄のようなストップ高みたいなことが起こるはずがないのだ。


短期筋が好んで使う通貨ペア

 そもそもポンドは国際的な決済には使用されない通貨である。(基軸通貨と呼ばれるのは米ドル、ユーロ圏においては主にユーロ、アジア圏では円)ポンドを他の通貨に交換する目的は基本的にトレードのためという場合が多い。つまりポンド自体がFXのためだけに取引される「投資通貨」であると言える。逆に言えば、ドルやユーロに比べ企業の国際送金などの実需には左右されにくい通貨であるとも言える。(これを踏まえて取引量第3位という事実を改めて考えてみてほしい。)
 そのためGBPUSDは短期筋(ヘッジファンド)によって取引されている。つまり本質的には最もファンダメンダルズの影響を受けにくく、テクニカルが効きやすいのがGBPUSDと言えるのだ。

 外部サイトで、pips計算ツールというものがあるので、最大リスクや証拠金維持率を自分で計算することもできる。


波動が波打つ=利益機会が多い

 テクニカルだけで取引するなら利益機会が多い通貨ペアこそが正義である。GBPUSDは例えばEURUSDと比べても一つひとつの動きがやや過大で、日中足の中で波動が波打つ(悪く言えば値動きが荒い)癖がある。
 値動きが荒いと聞くとどうしても嫌厭されてしまうが、トレードの本質として「値幅の変動こそが利益の源泉である」ということを踏まえれば、波動が荒いというのは、”安全”という皮を被った「凪」より遥かに優れている。
 利益はトレンドでしか生まれない。沖合のサーフィンを思い浮かべてほしい。トレンドが発生しない相場は凪の海と同じである。

 同じことだが、GBPUSDはレンジが少ない。レンジでもあくまでも高いボラティリティを保つため、「レンジ構成」が形成されるのでレンジなりの勝負になる。(この辺は別記事にするが、)強いトレンドはスラスト(陽線の連続)として現れ、ヒゲが少ない。いやEURUSDやUSDJPYのヒゲの連発する不明なチャートと比べてみてほしい。

 以上が私がGBPUSDを推奨する理由である。テクニカルトレードに自信があるなら、ぜひGBPUSDの戦場で一緒に戦おう、友よ


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