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チャート分類大全④~不明~

 この記事におけるチャート形状の呼び名や分類法は私が勝手に使っているだけの個人的なものなので、ネットの情報や書籍の表現とは大きく異なっていると思われる。
 したがって巷で語られているチャートパターンとも違うし、当然ながら書籍やネット記事には載っているフォーメーションや波動論などとも異なっている。
 特に今回は「不明」についての類型なので、おそらくどこを探しても見つからないものをまとめたつもりである。(この世に「不明」のパターンをまとめたものなど存在しないから私が書いたのだ。)

 そしてチャート分類上、他の類型に当てはまらないものを「不明」と呼んでいるため、一見パターン化の基準がわかりにくいものもあると思う。(「不明を類型化する」というのがまず矛盾した表現な気がする…)おそらくこれまでの分類なような視覚的にわかりやすいものばかりではないと思われる。そのため類型化の意味を柔軟に捉え、それぞれのチャートの共通要素を探し、抽象的に理解してほしい。





①規則性のある不明

 動きとしては不明だが、後から振り返ると、単に節目まで進行しただけだったというパターン。レンジを構成していたり、水平線をサポレジとした動きになっていることが多い。


レンジ構成線の内部

 節目となる水平線が強めのサポレジとして機能しレンジが構成されている相場において、そのレンジの中を方向性を欠いて漂っている状態。方向性はないが、最大振幅(下限と上限)だけはわかるという意味で規則性がある。




結局100%戻しとなる場合

 トレンドが急騰急落によって突如として終わり、結局トレンドによる上昇(下落)分をすべて打ち消すような形。節目のサポレジで止まる。
 「レンジ構成線の内部」の動きと考え方は同じである。こちらはサポレジがどちらか一方しかないケースと理解するといいかもしれない。



H型(H波動)

「急落→横ばい→急騰」或いは「急騰→横ばい→急落」の動きによってアルファベットの「H」のような形が現れたもの。

 ブレイクダウンしたが、追従する新規玉が少なかったせいで、直後に再びブレイク前水準まで戻るが、その後はよく分からない動きとなることが多い。
 ブレイク的な動き自体が材料によるショックで、その後(大抵は「市場予想通り」の無難な結果に終わった場合など)何事もなかったかのように元の価格に戻ることがある。




②低ボラティリティーによる不明


低ボラティリティー

 ボラティリティーが低い場合は、基本的に意味不明な動きとなりやすい。取引すべきではないタイミングである。
 特定の価格帯で相場が膠着状態になることで突発的に発生する。また原因不明の低ボラティリティーも存在する。




材料を控えた低ボラ

 雇用統計、FOMC、消費者物価指数など重要な経済指標の発表前には市場参加者が様子見に回るため、ボラティリティーの低い相場になりやすい。

FOMCを控えた低ボラ
FOMCを控えた低ボラ②
翌日に材料を控えた相場

 
 上図は11月2日(木)のGOLD(5分足)であるが、前日にFOMC(日本時間では当日の未明)、翌3日(金)に米国雇用統計を控えた、つまり重要経済指標に挟まれた営業日であった。
 この日の日中足を見ると、ジリ上げのように頻繁にローソクがMAに絡むクソ相場、下落に転換してもヒゲが連発し、トレンドが伸びないまま、結局レンジ中央値に戻ってきてしまうという最近の(イスラエル有事下)GOLDにしては明らかにおとなしい値動きであった。

GOLD日足

 上図(日足)を見ても分かる通り、基本的に重要な経済指標の発表の前営業日はボラティリティーが小さくなる。ローソク自体が小さくなるだけでなく、いわゆる「コマ」が出現し、レンジを構成していることがわかる。




凪(低ボラの時間帯)

 主に相場の取引量が少なくなる時間帯、つまり市場参加者が少ない早朝や深夜に現れる。市場参加者の総数が少ないため、大口の注文がマーケットに及ぼす影響が相対的に強くなり、テクニカル分析のセオリーが通用しなくなる。
 これは時間帯によって毎日起きる現象なので、意識的に避けることが可能であるとも言える。

早朝の凪相場




ホウキの束

 ほとんどトレンドが形成されず、レンジ中央値を軸に推移する。不自然なほどヒゲが連発する相場。

 レンジとの違いは、レンジ域が定まっておらず不規則に振幅が拡大し、ストップ狩りが発生したような異常な値動きになる点である。
 不規則に連発するヒゲが毛先の整っていない竹箒のように見えることから、この名がついた。




③乱高下

 ボラティリティーが大き過ぎても値動きが予測不能となる。1本1本のローソクが非常に長く、頻繁に移動平均線を跨ぐ動きを見せる。


材料発表の直後

米CPI

 21:30に米国の消費者物価指数が発表された際の値動き。方向性はなく、ただボラティリティーだけが急増した不明。



取引量が低下することでボラが拡大する不明

 閑散とした相場であっても、値動きのレンジは大きい場合もある。



ヒステリシス

 移動平均線を跨ぐような1本の長いローソクによって、それまでのトレンドが一変してしまうような現象。

 命名に深い意味はない。突然に現れる狂ったような値動きに対して、相場がヒステリーを起こしたかのように感じられることに由来する造語である。

 上図を見てもらうとヒステリシスが登場する。
 しばらく続いたレンジを割って下落を開始した後、底固めをして上昇転換するかに思えたところで、突如としてMAを割り込む大陰線(ヒステリシス)が現れ、以降急速にボラが拡大し、不明相場に突入してしまった。

明らかに異常なローソクがある

 また、ヒステリシスの登場によって、相場が急変することもある。
(下図参照)ジリ下げ相場が突然高騰波に変わり、ブレイクアウトに繋がってしまう。





④V波動

 そもそもV波動というのは謎である。N波動(トレンドは継続する)という相場のセオリーと真っ向から対立する概念が普通に併存していることが矛盾しているように思えるのだが・・・

V波動(行って来い)

 l波動→100%調整という謎の動き。



V字を超過する調整(125%戻し)

 「戻り」の動きの際にサポレジで止まらず、ちょっと節目を割り込む動き。ダマシ、フェイクとも呼ばれる。





⑤不完全形

 書籍などに書いてある特定のチャートパターンがセオリーであるとすると、そのセオリーが崩れた場合には意味不明な動きが登場する。
 ネットでもコピペのようにエリオット波動や数々のパターンフォーメーションがまとめられているが、実際の相場ではそれら特定のパターンが「完全体」として登場することはむしろ稀で、我々は無数の不完全形を観測しながら、相場にキレ散らかすことになるのである。


N波動不成立

 例えば、上昇→調整→上昇のような動き(上昇トレンド)の後に「来るべき上昇」が来ず、一回目の調整の下値を割り込んでしまったような形。

 上昇→調整→上昇(N1回3波動)の後、急落が来たことで、不明な動きに突入している。
 上図に限って言うと、ジグザクを引いた箇所だけを見れば、小規模なヘッド&ショルダーと考えてもいいが、だとするとその後の急騰が意味不明であり、やはりこの部分を「不明」として別個の動きだと考える方がよい。




エリオット波動完成後の不明

 エリオット推進波が順調に5波動まで進行した後、そのままセオリー通りにエリオット修正波には移行せず、現実には不明に陥ることが多い。

 え?エリオット波動がわからない?

 エリオット波動については自分で調べてほしいが、私の理解だと、エリオット推進波(上昇5波動)は以下のようになる。
 そしてエリオット修正波(下落3波動)まで定義通りに完成しているものは非常に少なく、だいたい修正波は不明になることが多い。

 また、こんなパターンも。

 エリオット波動は役に立たないと言われるが、個人的には半分正解で半分は間違いであると思っている。少なくとも「エリオット推進波から修正波まで完全に揃って現れることは非常に稀」と認識すれば、エリオット推進波だけを探すことが可能になり、そうなるとエリオット波動は頻出していることがわかる。(近々別記事を書く予定)




転換しそこなったインバーテッド

 下落トレンドが一旦はトレンド転換をしようという動きを見せる(MAを越える)ものの、結果としてトレンド転換には至らなかった場合、図のような意味不明な動きとなる。




反対運動の条件が揃うことでセオリーと異なる動きになる場合

 テクニカル分析のセオリーと異なる動きが登場することによって不明に陥る場合がある。
 リアルタイムで相場と向き合っていると、テクニカルのセオリー通りにチャートが動かない場面によく出くわす。しかしながら、確実にテクニカル分析を行えば、一応納得の行く説明がつけられることもあるという例である。

 下図の黄色の枠内の動きがそれである。

 下落トレンドからMAを超えて上昇トレンドに転換しそうな場面であったが、少し上昇しただけで逆V字を描いて急落し、よくわからない動きになってしまった。「N波動不成立」のクソ相場と片付けてもよさそうな典型的な「不明」である。

 が、きちんとテクニカル分析を行うと、トレンド転換に失敗した理由が見えてくる。

 上昇波動が落とされた黄色の丸印をつけた箇所に注目すると、

 ・サポートライン(ブレイクダウン前水準)
 ・移動平均線(n=200)
 ・ボリンジャーバンド3σ
 ・RSI 70超え

 黄色の丸印をつけた位置がかなり多くの抵抗帯が重なり合った場所であったことがわかる。
 これにより、短期的には一旦下落する箇所(少なくとも調整が入って然るべき位置)だった訳であり、この下落要因の重複が突発的な急落に繋がったと考えられる。





⑥その他


ネコ耳型

 V字(逆V字)→横ばい→V字のような動き。レンジ構成線の内部の動きにも似ているが、何がしたいのか分からない動きで負けやすい。遠くから見るとネコの耳のように見えてかわいい。




キツネ型

 急騰→急落(倍落)→100%戻しのような形。
 上昇を急落で打ち消し、さらに-100%下落(フェイク的な動き)し、短時間に急騰し、先程の動きを帳消しにする動き。意味不明過ぎる。キツネのように見えてかわいい。

 いわゆるフォールスブレイクダウンの一種だが、あまりの性急さに、市場が動揺して、萎縮してしまったような形だと思われる。




以上

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