登山初心者 霧ヶ峰高原で途中リタイヤ②
登山経験が少ないのに冬真っ只中に霧ヶ峰高原に向かった私の反省記録。
①はこちらから
スタート地点には「ころぼっくるひゅって」という山小屋カフェがあった。
宿泊していたであろう団体客たちが次々とお店に入っていくのが見える。
あったかそうな佇まい…ここに戻ってきたら行こう!と決めていざ出発!
歩き始めてすぐに、白い木々に魅了されてしばらく写真を撮り続けた。
一面の白い世界を地図を見ながら進んでいくのだけれど…全く足跡がない!
誰もここ歩いてないんだ…ということは、この先に進んでも誰もいないんだ。そう考えるとちょっと怖くなってきた。
ただ、見渡せる範囲が広く、山と違って視界を遮るものがほとんどない。その光景は私を少し安心させた。遭難することはないだろう。
そう言い聞かせて誰も踏み入れていないまっさらな雪の上に足跡を残しながら進む。
進み始めておよそ10分、くだりの道が目の前に現れた。積雪がなければ何の問題もない緩やかなくだり道。
だけど、転ばない自信がなかった。絶対怪我するやつだ。
そしてもちろん誰も歩いていない新雪ルート。
パワーと勢いで押し通せるほど甘くないから、まずはここでルート変更。高原をぐるっと周回するコースだったので、ここは帰りに登り坂として歩くことを決めて、これまで来た道をUターンした。
再び「ころぼっくるひゅって」前に戻り、今度は逆側に進む。雪はあるが湿原の真ん中を這う木の板の上を進むので歩きやすい。
ルート変更してよかった。これなら大丈夫そう。
途中1組の男女とすれ違ったが、それ以外は誰もいなかった。
木の板で整備された道。凍結で滑ることもあったけど、慎重に前に進んでいった。とにかく景色が最高。
そして、風を遮るものが全くないので、全身を冷たい風が突き抜けていくのは結構辛かった。標高1925m。風は強くて一瞬で全身が縮むような感覚。
歩くペースを変えずに進んでいると、遠くの山の方から賑やかな声が…霧ヶ峰高原にあるスキー場からだった。
スキー場あるんだなぁ、滑れるのうらやましいなぁ!(私はスキーもスノボもできない。体幹とバランス感覚が皆無!)なんて思いながら歩いているのだけど、私はその楽しそうな声にどんどんと近づいていく。
そして私の登山ルートの目の前に、スキー場のコースが現れた。
「え、なぜ?」
自分で立てた登山計画によると、私はこのスキーコースを突っ切らなければいけないことになっていた。
んなわけないだろう!と何度もルートを確認したけれど、やっぱり私の進む先はこのスキーコースを横切ったところを示していた。
目の前にはひっきりなしに通過するたくさんのスキーヤー。
すごいスピードで滑っていく人たち。
いや絶対おかしいやん。ここ横切るのは無理だって!
悩んで右往左往しているうちに体はどんどん冷えてきて、埒が明かなくなった私は再びUターン。来た道を戻ることにした。
「なんで?どういうこと?」
軽くパニック。登山計画を立てた時にはしっかり示されていたルート。
だけど、どう考えてもスキーコースにぶつかるのはおかしいし、奇跡的に高速スキーヤーを縫ってその先に進んでも、明らかに道は途絶えていた(スキーヤー転落防止ネットが張り巡らされていた)。
ここからどうしようと考えているうちに、これまでにないくらいの強風が吹いてきた。一瞬で顔と手足が凍る極寒冷風。
この日、私が被っていたのは日差し防止のキャップ。耳も顔も全開だったので、全方向から耳がちぎれるくらいの風を全身に受け続けた。
ひとりごともつぶやけないくらい顔全体が凍りつき、持っていた温かいお茶を飲もうにも唇が動かない。体の震えが止まらない。
ファーストエイドで持っていた不織布マスクを付けて、辛うじて風を遮ろうにも、耳に当たる紐が痛すぎて断念。
泣きそうだ。これはダメなやつだ。もう、どうしようもない。
そして結局、ここで霧ヶ峰高原周回を断念。諦めることにした。
スキーコースにぶつかったところで心にヒビが入り、強風が吹いたところでポキっと折れた。
きっと私にはまだ早かった。
もっとしっかり準備して、登山計画もしっかり立てて挑むべきだった。
でも本格的な雪山登山でこうならなくてよかった。
そしてブルブル震えながら「ころぼっくるひゅって」前に戻ってきた時には、温かいものを食べたい意欲はすっかり失せていて、早々に車に戻った。
無謀なことはしちゃダメだ。チャレンジするにも安全に。
帰りの車ではとにかく落ち込みと反省でいっぱいだったけど、また必ず春に来ようと決めた。
唯一の収穫は、綺麗な景色をたくさん拝めたこと。これはしっかりと記憶に刻んでおこう。
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