途切れた糸


あなたから
私の面影
全て消して欲しくて
こう言った
「私のものは全て手離して」

だけど 今日
気付いてしまったの
画面に映る 写真の中
あなたがテーブルに挟んでた
南国からの私の絵葉書
もうどこにもないことに

部屋の壁のドライフラワーも
きっともう片付けたでしょ
それが私の 願いだったから

私 どうかしてる
どうしてこんな気分になるの
自分が望んだことじゃない
あなたはただそれに
従っただけ

ああ
忘れられない記憶が
今も尚 私を苦しめる
あなたを断ち切りたくて
放った棘だらけの言葉
心とは裏腹に
嫌われるように仕向けた

これでいいの
そう思うはずじゃなかった?

私 どうかしてる
何故こんなに 胸苦しいの?
もう戻れない過去を引き摺っても
どうしようもないことなのに

ああ
あの頃の出来事は
すべて
いつかは忘却の彼方へと
沈めるはずだった

時は戻らない
時は戻らない

自分に言い聞かせて
今夜も眠りにつく
現実を手放して

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?