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2024年はこんな年にしたい。

真冬の凍てつく冷たい風を一身に浴びながら、一日が始まる予感なんてまったく感じないほど真っ暗な朝5時、自転車で駆けて市場に行った。初めて自分の好みで、自分のために花を仕入れた。パンパンに籠に花を詰めて外に出ると、卵の黄身が溶けたような橙色の朝焼けが広がっていた。この光景を見たとき、花屋になったんだなと静かに実感した。

初めて花が売れたとき、少し身体が震えた。ピンク色で、花びらの先が白いレースのようにヒラヒラとしているチューリップ。市場で真っ先に一目惚れした花だった。ラッピングをするときは緊張したけど、嬉しかったなあ。

花屋として色んな地域を旅することにした。目的地に到着したときに最初に行うのは、キャリーバッグに詰めた花瓶の安否確認。はじめは梱包が甘くてたくさん割れてしまって、破片を回収するのが大変だったっけ。

ビリヤードみたいな時間だった。球を打てば、別の球に当たって、その球がさらに別の球に当たる。未来を予見できなかった。ある地域に行って、ある人に出会ったことが次の展開を生む。その繰り返し。気づけば花屋としてこれからもやっていくんだ、と決心がついていて、少なくとも20代のうちは頑張ってみようかなと思えるようになった。何かにチャレンジすることは腰も重いし怖いけど、花に関することだけは、少しの勇気だけで良いみたいだ。

2023年の自分にお疲れ様と言いたい。
そして、応援してくれる人に改めてありがとうございますと言いたい。

何かを手放して、そして手に入れる。
そんな繰り返しかな?

と、YUIはTOKYOという歌でこの言葉を綴った。小学生のときにまだ実感はなかったけど心に残っていた一文。今なら分かるよ。手放したものも多い。けど、手に入れたものも多いよ。

来年はこんな年にしたい。どうせ変わるけど。

1.日本の季節を感じる

旅をしていろんな地域に行くと、同じ日本なのにこんなにも違うのかと思う場面が多々あった。
特に、気候や湿度の違いは面白かった。目的地に着いて、飛行機や電車を降りた瞬間にブワッと感じる風が好き。「うわ、思ったより暑い」「ジトジトしてるなあ」「寒っ!!!」「あー、涼しい」。そして、各地で感じた風を比較する。「東京は暑かったけど北海道はカラッとしてるなあ」とか、「京都は寒かったけど香川は暖かいなあ」とか。

トルコキキョウという花がある。冠婚葬祭でよく使われる品種なので、シーズンを通して市場でお目にかかれる。北海道のトルコキキョウ農家さんを訪ねたとき、「ここは本州と比べて涼しいから僕たちは夏担当なんだよね」と言っていた。冬が近づくと、今度は九州産のトルコキキョウが市場に出荷され始めるらしい。

季節、というものに本当に頓着が無かった。
野菜の旬なんてわからない。冬に茄子を食べるし、夏に大根を食べることは普通だった。でも花屋になって、旅をして、各地で季節を感じた。それも「四季」のような大きく区切ったものではなくて、もっと鮮明に細かい季節。市場には春の花の代名詞、ラナンキュラスが並び始めている。ということは、この花をみつけた場所よりも少し暖かい農地があって、そこはひと足先に春が訪れる場所かもしれない。

いま、この日、この瞬間を感じられることはとても豊かなことであることを知った。夏に食べる茄子は風味豊かで、冬に食べる大根は甘い。そして、故郷や大切な人がいる場所は今どんな風が吹いているのだろうと想う。暖かいかな、寒いかな、ジトジト?カラカラ?どんな花が咲くのだろう。この感覚を大切にしたいし、自他共にその感覚を感じられるような取り組みをしたい。

2.ベトナムに行く

海外に行きたいという漠然な思いは、「海外で見た、感じたものを吸収して花に活かしたい」と言う明確な思いへと変貌した。前までは海外に行くことが目的だったけど、今は自分の人生のためになることが目的だ。となると、気になる国がある。それはベトナム。東南アジアの、時にエキゾチックで、時に猟奇的な様を見せる植物への興味と、花文化が盛んな国に行きたいと
いう思いが、この国への興味を駆り立てた。お金もそこまでかからないだろうし、行ってみたい。そして、旅先で一つ、花を束ねてみたいと思っている。

3.エッセイを連載する

文章を書くと言うことは時間も労力もかかる。でもそれ以上に必要なのは湧き上がる感情。書こうと思うと筆が止まらない。でも、ここ数ヶ月はそのモチベーションを無くしていた。安定で緩やかな生活をしていると、文章を書くことへの必要性を無くしてしまった。だけど、それは良くない。言葉を紡げると言うことは元気な証拠だからだ。ちょっと悩み事やモヤモヤすることが多すぎたようだ。だからこそ、無理やりで良いから文章を書く。最初はきついけど、きっとランニングハイになって気持ち良くなるはずだから、それを期待して重い手を動かそうと思うよ。

2024年はどんな年になるだろうか。
ここに書いたことの何割が実現できるだろうか。
楽しみだな。今年もよろしくお願いします。

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