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客室乗務員は命を預かる仕事

1月2日に羽田空港で起きた日航機と海保機の衝突事故。
ニュース映像ではエンジン部分から炎を上げながら滑走路を走る機体が映し出され、素人目にも機内の人間が無事脱出できる可能性は低いのではないかと思われた。
実際、海保機に搭乗していた乗員の内5名は即死だったと聞く。
が、それからしばらくして驚くべき速報が出た。

日航機の乗客・乗員合わせて379名全員が脱出。

信じられない。
奇跡だ。

そう思ったのは海外も同じだったようで、ロイター通信やCNNなどの各種海外メディアも「まさに奇跡」と報じた。
ところが事件の詳細が明らかになるにつれ、ネット上では「何故すぐにドアを開けなかったのか」「18分もかかるなんて」といった意見が飛び交うようになる。

こうした状況の中、ひとりの女性が今回の件に関してnote上に記事を書いた。

現役の客室乗務員で、私の友人でもあるCAおとうふさんだ。
まず序文で有料記事とした理由についてこう述べている。

個人が特定される可能性がある為、また様々な意見がある事故だった為一部有料記事にしています。
2024年1月31日までに頂いたサポートは「令和6年能登半島地震 緊急支援募金(Yahoo!基金)」へ寄付する予定です。

記事序文

私は普段有料記事を買わない。
理由についてここでは書かないが「友達だから」というお付き合いで買うこともない。
今回は彼女の志の高さに共感したから購入したのだ。

実際に客室乗務員がどのような訓練を受けているのか、また非常時の対応(すぐにドアを開けられない理由や手荷物の扱いなど)についても丁寧に解説されている。
人の命を預かる立場としての彼女の心情が沁み入るように感じられ、その覚悟が切々と伝わってくる文章だ。

私は記事にコメントを書き始めたものの、あまりにも長文になってしまったこと・個人的な感情が入ってしまったことから、彼女にメールで直接感想を伝えた。
その際に「自分の記事内で紹介しても良いかどうか」を尋ねたところ、快く承諾してくれたのだ。

序文にある「有料記事にした理由」に納得できる方のみで結構ですので、ぜひ多くの人に目を通して欲しいと思い、この記事を書いています。




以前私は「無知は罪ではないが不幸」という記事を書いた。
人は自分の知らないこと・分からないことがあった時、素直に無知を認めることが難しい生き物である。
そして感情的になるとつい冷静さを失って「私はとても怒っている!だから怒りの原因が絶対的に悪いはずだ!」と対象を糾弾してしまう。

先述したように今回の事故に関してはネット上で「もっと早く脱出できたはず」「ペットを見殺しにするなんて酷い」というような意見も見受けられる。
しかし保安業務における作業工程やルールには、それを守らなければならない安全上の理由が必ずあるのだ。

まずは知識を得る。
その上で変えたほうが良いと思うのなら行動すれば良いし、理に適っていたり安全上問題が無ければ変わる可能性もあるだろう。

ただ忘れないでほしい。
全ての客室乗務員は自分よりも乗客の命を最優先に行動しているのだということを。

「奇跡の脱出」は客室乗務員の日頃の訓練に加え、落ち着いて行動できた乗客の協力があったからこそ実現できたこと。
乗客側としても、いざという時には手荷物よりも命を最優先にする心構えが求められる。




私は飛行機が好きだ。
客室乗務員の華やかさと丁寧な応対も大好きだ。
そして彼女達の笑顔の裏には並々ならぬ覚悟があることも知っている。

だから私はこれからも飛行機に乗り続ける。
弛まぬ努力と志を信頼しているから。


彼女の記事を読むことで多くの人が非常時の行動について理解を深め、また安心して飛行機に乗ってほしい。
そう願います。


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