【パラリンピック】北京2022 大会8日目・お茶の間観戦記
もう11年。
早いですね。
こういう日、アスリートは周囲から色々なものを背負わされがちです。
そんな複雑な気持ちも抱いた一日でした。
スノーボード男子・バンクドスラローム
「バンク」と呼ばれるカーブが多数設置されたコースをスノーボードで走り抜け、そのタイムを競います。
パラリンピック競技として採用されていますが、障害の有無や年齢に関係なく楽しめる競技として、スノボ界では近年人気のスポーツです。
自国開催のパラリンピックに向けて強化してきたこともあり、中国勢がメダルラッシュ!
3種目で4つのメダルを取るという活躍ぶりでした。
日本から出場した6人の内、小栗大地選手が7位、市川貴仁選手が8位入賞。
チーム内の雰囲気が良かっただけに、メダルに届かなかったのは残念です…。
しかしパラ・スノーボードは何よりも「楽しむこと」が大切。
例え足を失っても、腕が動かなくても、スノボができる喜びを感じている彼らの笑顔がそれを物語っています。
バイアスロン12.5km・立位
男子の佐藤圭一選手が7位入賞!
女子の阿部友里香選手は射撃を20発中8発外すというミスの多さが響いてしまい、13位。
今日の阿部選手には、おそらく大きなプレッシャーがかかっていたのだと思います。
3.11の被災者という、特別視される立場。
「被災地のために自分が頑張らなければ」という気負いもあったのでしょう。
アスリートにとって、それが追い風になることもあれば向かい風になることもあります。
改めて応援の難しさを考えさせられる試合でした。
女子アルペンスキー大回転・座位
ここまで金メダル2つ・銀メダル1つの村岡桃佳選手。
一番得意な種目「大回転」で、1回目に2位に着けました。
大回転は1回目と2回目のタイムの合計で競います。
直前に行われた立位のクラスで7位入賞となった本堂杏実選手が、滑り終えてすぐ、チームスタッフへ雪のコンディションを伝えていました。
後に滑る村岡選手に少しでも多く情報を提供するためです。
そして始まった2回目。
彼女にしかできないと言われている、身体を75度近く倒した攻めのターンで旗門をすり抜け、見事にトップのタイムで優勝!
金メダルが決まった瞬間の涙に、私ももらい泣きです…。
アルペンスキーに限らず、日本チームは各選手間でコースのクセや滑りやすさの情報を共有しています。
村岡選手の素晴らしい技術+チームの力で勝ち取った金メダルです。
今日の注目 阿部友里香選手
岩手県山田町出身の26歳で、生まれる時の事故で肩の神経が傷つき、左腕に障害を負っています。
「岩手県山田町」と聞いて、ハッとされる方もいらっしゃるかもしれません。
東日本大震災で19mの津波を受け、人口の約4%を失った町です。
震災当時の彼女は、すでにスキー選手として頭角を現しつつある中学生でした。
学校で被災して高台に逃げ、家族も避難して無事だったものの、自宅は津波に流され跡形もない状態。
周囲からの支援でスキー競技を続けた阿部選手は2014年のソチ大会に出場し、「被災地の希望」と呼ばれました。
しかし彼女はそう呼ばれることに違和感を覚えます。
友達の中には、両親を失った人もいる。
私は恵まれているほうなのに、被災地代表なんて顔をしていいのだろうか。
その悩みに、友人たちが応えてくれました。
「障害に負けず、誰よりも努力する姿をずっと見てきた。友里香が頑張っているから、自分たちも頑張れたんだよ」
その言葉を胸に、阿部選手はこの北京大会でも力を尽くしました。
応援してくれる人のため、被災地のため、何より自分自身のために。
思い描いた結果ではなかったかもしれません。
しかし被災地代表として見せた懸命な姿は、多くの人の心に残ったはずです。
大会9日目(3月12日)の予定
ここに来てまさかの中継無し…。
ちょっとどうしようかなって思っちゃいますね。
明日はレポお休みの可能性が出てきました。
私事ですが、夜は「スナック凛」オープンのためしゃべくりに徹します。
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