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低空日記

【10時】

夫が「朝ご飯食べる?」と起こしに来る。
「いらない」と答えたら「じゃあ先に食べれば良かった」とプリプリしながら寝室を出て行った。
オカンか。

ノロノロと起き出し、一服してから自分の分のコーヒーを淹れる。
ダイニングでゴルフのトーナメント中継を見ながら目玉焼きとトーストを食べている夫の真向かいに座った。

実は昨日私はミスをした。
夫から個人的な、ごく小規模の社内懇親会の店の選定・予約を頼まれていたのだが、報連相にズレがあったせいで夫の意向に沿わない内容で予約してしまったのだ。

昨夜それが発覚した際、夫にちょっと嫌なことを言われた。
別に私を責める気はなかったのだろう。
言葉の綾というやつだ。

しかし私はブチ切れ、自分の作った料理を捨てた。
これは食事が終わった後のことなので、夫に夕食を食べさせなかったわけではない。
ただ、鳥手羽元が安かったので多めに作って保存しておこうと思っていた「さっぱり煮」の残りを全部捨てた。

私はストレスが溜まると自分の作ったものを破壊したくなる衝動がある。
人の作ったものを壊すのは申し訳ないけれど、自分の作ったものならいいか、という気持ちからかもしれない。

しかし一夜明け、お互いに冷静になっているはずだと踏んで懇親会の話を切り出した。

夫に最終確認をしなかった私が悪い。
だから詳細をきちんと話してくれれば希望通りの条件で予約を取り直すと。

もぐもぐしながら提示する夫の条件をメモし、検索して別の店を照会し、電話で問い合わせる。
条件に一致していることを夫に確認してから予約完了。
時々こういう作業が憂鬱になる。


【12時】

夫が散髪とゴルフの練習に出掛けたので、掃除や家の整理などを黙々とこなしていた時に甥っ子のレンからLINE。


北海道には美味しいお土産が無数にあるが、私は「きのとや」のラララ・クッキーを推したい。
クッキーというお菓子の美味しさを極限まで追求した逸品だ。

レンが修学旅行を楽しめること、そしてラララ・クッキーを無事に買えることを祈りながら雑事を終えた。


【14時】

ドレスが家に届く。
懇親会の後に会社の大規模パーティーがあり、一応社長夫人として社内・社外の方にご挨拶しなければならないので新調したのだ。

派手すぎても地味すぎてもいけないと思ったので、紺のレース素材にした。
試着してみた感じでは地味かなと思ったけど、後で夫に見せたら「派手じゃない?」と言われる。
マジか…。
まあいいや。


【17時】

帰ってきた夫に夕食のリクエストを尋ねると「餃子にビール」。
今から餃子を手作りするのは時間が掛かりすぎるな、と考えながら買い物へ行く。

メインは冷凍餃子に任せるとして、トマトと卵の中華炒め、きゅうりとハムの春雨サラダを作ることに決めて食材を買った。

帰ってから調理。
茅乃舎の海老だしを炒め物に、鶏だしをサラダに使ったら数倍美味しくなった。
茅乃舎神すぎる。

でも餃子をお皿に移す時に失敗して見栄えが悪くなってしまう。
まだどんよりモードから抜けきれていないので写真は撮らなかった。
すごく美味しかったから箸で整えて写真撮れば良かった、とちょっと後悔。


【23時】

静岡で出会ったエレベさんから突然「お久しぶりです。どうしてももう一度会いたいです」とLINEが来る。
彼とは色々あって連絡を絶っていたのだが、その辺の詳細はこちらで。

「また約束してもお仕事でキャンセルになるなら無理です」
「もうそんなことはしない。約束します!」

私は好きな人に連絡をしたくてもできなくなった身なので、反省していると言って連絡してくる人を断ち切ることは残酷だなと感じてしまうのだ。
だから迷ったけれど会うことにした。
予定を合わせ、11月に会おうということで話がまとまった。

エレベさんは独身貴族でお金にも困っていないため、面倒なことを言ってこない。
何より体の相性が良いので正直私も「惜しいなぁ」と思っていたのだ。

セフレとしては好条件。
でも本当は、恋ができる人を求めているのだけど。

まぁ低空でも、墜落しない内が華なのでしょう。


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