子供との距離感が掴めない
まず最初に言っておきます。
私には子供がいません。
ですから自分の子供ではなく、周囲にいるよその子供との距離感の話です。
私は若い頃子供が嫌いだった。
うるさいしすぐどこかへ行くし、そのくせひとりでは何も出来ない存在にイライラしていた。
しかし妹に子供が産まれ、その可愛さに感動し、「子供はなんて素晴らしい存在なんだ!」と、すぐさま子供教に宗旨変えしたのだ。
それでも、未だに子供との適切な距離感を測りかねている。
私がオバサンになっても
妹の長男、つまり私にとっての甥っ子・レンが、まだ保育園に通っていた頃のことだ。
たまたま実家に行くと、レンが家に帰ってきており「凛ちゃん遊ぼ!遊ぼ!」と言ってきた。
ここで真面目な方は「甥っ子に自分のことを名前で呼ばせるとは何事か」とお怒りになるだろう。
しかしこれは私の妹・セリちゃんからの指示なのである。
「あんた達、凛ちゃんのことを『オバサン』なんて呼んだらお年玉も誕生日プレゼントも貰えなくなっちゃうんだからね。ちゃんと『凛ちゃん』って呼ばなきゃダメだよ!」
母の的確かつ厳しい教育により、甥っ子と姪っ子は私のことを「凛ちゃん」と呼ぶ。
決して私が無理矢理呼ばせているわけではないんですよ。
わかって頂けましたよね?(圧)
甥っ子とのふれあい
さてレンと何をして遊ぼうかとアンパンマンのおもちゃを眺めていた私に、彼は「見て見て!」と言ってきた。
梅田みか著「愛された娘」の中にこんな一文がある。
この文章を覚えていた私は、子供が「見て!」と言ったら絶対に見なければならない、と肝に銘じていた。
「なになに?」
笑顔で振り返ると、レンは手でピストルの形を作り、私に「バーン!」と言ってきた。
まず、この場合の正しいお手本を紹介する。
抜群のお笑いセンスで抱腹絶倒の記事を書き続けている、関西のお母さん・なちこさんのこの記事に、マニュアルが載っています。
しかし、当時この難問の答えを知らなかった私は固まってしまった。
何しろ東京生まれ東京育ちのガチガチの江戸っ子である。
ついでに言えばレンも同じく江戸っ子だ。
一体どうしちゃったの?
確かにあんたには父親から栃木の血は流れているけど、江戸っ子のはずでしょ?
なんで突然そんな関西の挨拶をブチ込んでくるの?
保育園で流行ってるの?
あぁ、どうしたら良いの…。
混乱した私は咄嗟に最悪の対応をしてしまった。
最低の伯母
「バーン!」と言ってきたレンと対峙した私は、おもむろに立ち上がった。
「この私に銃口向けるたぁ良い度胸だ。かかってこいよ。相手してやっからよ」
私なりの、精一杯のギャグのつもりだった。
所詮江戸っ子には蕎麦と寿司を早く食うこと、いち早く火事を見物しに行くことぐらいしか出来ないのである。
レンは怯えた目をし、震え始めた。
「うわーーーーん!!ごめっ、なさっ、ヒック、ごめんなしゃ、うわああああ!!」
甥っ子を詰めてギャン泣きさせてしまった。
最悪だ。
すぐさまキッチンで夕食の支度をしていたセリちゃんが飛んでくる。
「え!なに?どうしたの?」
私も半泣きになりながら、オロオロして事情を説明した。
するとセリちゃんは爆笑したのだ。
「保育園に大阪の子がいてさ、なんかその子が面白いから真似したがってるだけだよw全然大丈夫だからw」
レンに誠心誠意謝り、当時欲しがっていた妖怪ウォッチのカードをプレゼントしたことで、なんとか事なきを得た。
子供とどう接していいかわからない
私は身の回りのすべての子供にやさしい大人でありたいと思っているが、自分が「子供扱いされることを不快に思う子供」だったので、未だに対応に困ることがある。
同じ目線に立ってあげるのが大事だとは思うのだが、自分が思う「この年の子はこうだろう」という予想が結構外れていることもあるのだ。
数年前に姪っ子・アミと「かわいいモノしりとり」をしていた時もそうだった。
私の「ふわふわスリッパ」を受けて、アミはすぐ回答する。
「パーマ!」
「『ま』かー、ま、ま、えーと…」
何故か私の頭には「マル・マル・モリ・モリ」が浮かんでいたが、当時6歳の彼女が生まれていない時代の曲を知っているとは思えなかったので、頭の隅に追いやった。
「凛ちゃん、ヒントいる?」
上目遣いで言うアミに「いる!」というと、私の耳元でこっそり囁いてくれた。
「あいみょん」
え、あいみょん知ってんの…?
「ま、マリーゴールドだ!」
「正解!あいみょんは、かわいい!」
まだまだ勉強中の私ですが、甥っ子・姪っ子の反抗期が来るまでは仲良くしていきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?