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据え膳を食えない男

今日読んでいた記事の中に「据え膳」という言葉を発見した。

ウラノさんのちょっと大人な記事です。

これを読んでいて、ある人を思い出した。
そういえば据え膳を食えない男がいたな…。



据え膳を用意するのは女

「据え膳食わぬは男の恥」という言葉をことわざ辞典で調べるとこう書いてある。

女の方から言い寄ってきたら、男が誘いに応じるのは当然であるというたとえ。

ちなみに据え膳とは「すぐ食べられるように用意した膳」のことだが、現代ではもっぱら性的な意味で使われる。

「言い寄る」と言っても、自分からハッキリと「ホテル行こう!」などと言い出す女性は少ない。
あくまでもそれとなく、男性側が誘いやすいような空気を作る。

レベル1「なんか酔ってきちゃった」
酔ってますアピール。
酔ってるから、ちょっと大胆な気持ちになってるよ、と発信しています。

レベル2「まだ帰りたくないなー」
帰りたくないアピール。
あなたと一緒にいるのが楽しい。ほらほら、誘ったら?という発信です。

レベル3「あ、終電逃しちゃった…」
勝ち確です。
終電を逃したせいであって、決して私から誘ったわけじゃないんだからね。という余白を残します。

様々なサインを汲み取った上で「今日は帰るわ」と言えるウラノさんのような男は、あえて据え膳を「食わない」男だ。

こうした男は膳を自分で用意できるので、がっつかない。
だからモテる。

しかし世の中には、どんなにサインを発信しても全く気付かない、据え膳を「食えない」男がいるのだ。



ボンヤリ男子

以前の記事にもちょろっと出てきたマサキというホストが「据え膳を食えない男代表」だ。

↑※アダルト指定されている記事なので閲覧にはご注意ください。

彼は非常に人懐っこいので周囲に好かれる性格だが、女性に対してはとことん奥手だった。

そんな性格でよくホストになろうとしたもんだ、と私は呆れたものだ。
結局1年程で歌舞伎町を去り、その後いくつかの職を転々としていた。

マサキはいわゆるイケメンではあったので、据え膳が目の前に出される機会も度々訪れる。

しかし彼は自分で箸を動かさない。

見かねた女性が箸でおかずを持ち上げ、「はい、あーん」としてもらって初めて「あ、今食べていいんだ!!」とようやく気付く。

究極の鈍感なのだ。

その後も彼は据え膳を食べ損ね続ける。



食べてもらえない悲しみ

マサキが25歳の時、地元にいた頃付き合っていた元カノが突然「しばらく泊めてほしい」と上京してきた。

ひとり暮らしで彼女もいなかった彼に拒否する理由もなく、元カノを部屋に泊めてあげることになった。

彼女は大きなスーツケースをゴロゴロ言わせながら現れたが、その左手の薬指には細い指輪が光っている。

「ちょっと、色々あって。東京にお姉ちゃんも住んでるんだけど、マサキにも久し振りに会いたかったし」

恋愛の機微に鈍感なマサキではあったが、フラットな人間関係における察しは良かったので、深く聞くこともなく彼女に寝床を用意した。

と言っても狭いワンルーム。
シングルベッドを彼女に譲り、自分はソファーで横になった。

その晩、電気を消してそれぞれの寝床に横になった2人だったが、ウトウトしていたマサキの耳に、シクシク泣く声が聞こえてくる。

「どうしたの?」
「…ううん、なんでもない」
「そっか、おやすみ」
「うん…」

(゚Д゚)ハァ?

おやすみ、じゃねーよタコ!!

抱けよ!
男なら!!

なに紳士気取ってんだてめぇ…。

大体身内が東京にいるのにわざわざ元カレの家に泊まりに来るような女だぞ!

目的はひとつ!
真実はひとつ!

いつ抱くの?
今でしょ!
古い!!

ちなみに私は過去、マサキの腹にボディーブローを打ち込んだことがある。

多分なんかイライラしてた。



据え膳は残さず食べよう

そこそこいい歳になったマサキだが、現在も彼は独身だ。

相変わらず据え膳に気付かずスルーし続けているため、年上のグイグイ来るお姉さま達にしか構ってもらえないらしい。

「なんで手が出せないの?」
「だってさ、勘違いかもしれないじゃん。俺がイケるって思っても、全然そういう意味じゃなかったら申し訳ないし…」
「その時は謝ればいいじゃん」
「うーん、まあ、そうなんだけど…」
「けど、なに?」
「やっぱ恥ずかしいじゃん…」

恋愛にもYES・NO枕があったらいいのかもしれない。
いや、枕に到達する前の話だから、ピアスとかネックレスとか、そういうアクセサリーが無難か。

でもサインが見える化されたら、それはそれでつまらないのではないだろうか。
攻略本を見ながらゲームをするようなもので、単なる作業になってしまう。

だからやっぱり、男女でサインを探り合う方がきっと面白い

というわけで、男性陣は据え膳を見つけたらとりあえず箸を取ってみてください。

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