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大学医局やめて、常勤医になるか?非常勤医になるか?

現在フリーランスをしてる40代の女医
なつです。

専門医指導医とってママ女医続けていく中で
大学医局を辞めたいな、と考え出した頃

もし辞めたら、その後は勤務医として
常勤として働くか非常勤として働くか
に悩みました。
常勤から非常勤か、、
どうやって決めたら良いでしょう。

今回考えてみました。


(ワーママ女医の私が医局を辞めるに至った理由はこちらです↓)

https://note.com/natsujoi/n/n4916022dad49

今回の内容は
開業される方は当てはまらないですが、

医局辞めた後も勤務医として働きたい人、
常勤か非常勤か悩んでる人
の参考になればと思います。


勤務医として、どんな仕事、働き方がしたいのか。

キャリアの話と一緒ですね。
大学医局を辞めて自分が医師として
どう働きたいのか、何がしたいのか。
その希望に合うのが常勤なのか非常勤なのか。
これがとても大事だと思います。

外来診療がしたいですか?
病棟管理もしたいですか?
簡単な外来処置がしたいですか?
「手術」や、「入院加療が必要な侵襲的専門的な処置」がしたいですか?

ある程度の規模の病院を選べば
常勤医は上記全て叶えられますよね。

ただ、常勤の条件として
週4日や週4.5日以上で当直かオンコール有
などが項目に入って来ると思います。

常勤はどうしても拘束時間が多いです。
また病院の中での責任も伴いますし
病院の管理職(医療安全、感染症、倫理委員会など)としての仕事や
常勤としての書類雑務も増えそうです。

また、ママ女医で
当直オンコールしたくなかったら
その分が減額された年収の契約が多いです。

私が大学勤務時代に
顔を出していた市中病院でも
ママ女医の先輩に常勤当直オンコールなしの
給与をざっくり教えてもらったら、
一般的な年収相場からけっこうな額が減額されていてびっくりしました。

時間外勤務免除ですからね、しょうがないかもしれません。


一方、非常勤の働き方はどうでしょう。

内科だったら外来や
外来で完結できる処置メインで、
外科系でも手術バイトはネームバリューある選ばれた人のみで、外来診療が多いんではないでしょうか。
とくにスポットや週1回の場合は。

(眼科形成外科マイナー外科はバイト手術もありそう?麻酔科、放射線科、病理などはスポット非常勤やりやすそうですね。)

非常勤の働く時間ですが、
拘束時間は契約時間通り
ですね。


もし契約時間を越せば、残業代がきっちり出ますし、病院経営側は残業代を出したくないので常勤医に代わらせて非常勤医を早く返すようにすることが多いです。
手術や処置が早く終わったり外来患者が少なければ、
ラッキーなことに早く帰れることもあるかもしれません。

常勤医にはないメリットですね。

スポット勤務は、その場その日だけの仕事が多くスタッフとは常勤のようには馴染みにくいですし(これは医師の性格にもよりそうですが)

自分が診ていた患者さんの転帰を最後まで診ることや、責任を持つことは難しいかもしれませんね。
科によって人によっては、
やりがいが感じられないかもしれません。

週3の定期非常勤にすれば
常勤と非常勤の良いとこどりができそうですね。
外来で診た患者さんを
自分で責任持って入院治療して
また自分の外来に返して、、、

と、診療を最初から最後まで
自分で完結でき
やりがいモチベーションにも
つながりそうです。

ちょっと勤務日数が少ないほぼ常勤」
のような診療ができます。
スタッフとも慣れるし
勤務日数が多い分診療もやりやすくなるでしょうね。
(週3定期非常勤に関しては病院側が契約してくれるハードルは高めですが)

常勤
定期非常勤週3勤務(かなり常勤っぽい)
定期非常勤週1や、スポットのみ

非常勤としての働き方は、
この3つから選ぶか
この3つの中からの組み合わせ
になりそうです。


社会保険の話

常勤非常勤の比較を語る上で必ず出てくる
社会保険です。

社会保険の仕組み、みなさんわかります?
その前に給与明細の内容、ひとつひとつの控除や税金の項目理解できてますか?

私は子供産んでお金の勉強するまで恥ずかしながら
給与明細の項目全然理解できてませんでした。汗
そんなお医者さん多いと思うんですよね。
医学で精一杯だし。

そして義務教育から高校大学の間、
アラフォーの私たちの頃は
税金の授業など1回もありませんでしたよね?(言い訳)
医師のための節税授業とかやっておいて欲しかったよ、、、。

愚痴は置いておいて、
常勤勤務をやめて非常勤医師・フリーランスになる時は社会保険はどうなるでしょう?
私はこれが漠然と不安だったので

今後の働き方を常勤か非常勤か決める前に
社会保険一般の勉強をしました。
社会保険の細かい仕組みについては
いつか記事にしたいと思います。

(簡単に社会保険について前提知識置いておきます。)
社会保険とは広義の意味は
健康保険・介護保険・年金・雇用保険などを指します。

狭義の社会保険とは、
雇用主が労働者に適用する健康保険・厚生年金・雇用保険を指します。

常勤勤務医は通常病院側から上記社会保険を適用してもらえます。
(保険料は病院側が半分折半してくれることになります。)

上記の
常勤勤務をやめて非常勤医師・フリーランスになる時は社会保険はどうなるでしょう?
の答えは、

非常勤医として
同一施設で定期週3日以上、20時間以上勤務
だと、
非常勤先の病院から社会保険適用してもらえます。

一方、
スポット勤務のみであったり、
定期でも同一施設で週3日未満
20時間未満の勤務
の場合は、
病院側は社会保険適用する義務がなく

自分で国民健康保険、国民年金を申請し納付することになります。
残念ながら厚生年金や雇用保険はなくなります。

自分で申請?国民健康保険を?
どうやるの?
厚生年金や雇用保険がなくなっても大丈夫なの??

不安が募りますよね。
申請は役所の言うとおりにしたらすぐできます。
なくなっても大丈夫なの?と言われると
大丈夫は大丈夫です。

ただ、なくなるという事実を認識して
なくなる保障の代わりになるものを対策する必要はあると思います。

個人的には雇用保険がなくなるのがデメリットだと思います。

厚生年金含めた社会保険に関しては、
病院側が折半してくれるとはいえ
保険料が高いことが多いですし、
社会保険の健康保険料も国民健康保険料も保険料の額は
所得や月収など、人によって違い、複雑なので
どちらがお得とは一概に言えないと思います。

非常勤医の社会保険のまとめ
同一施設週3日以上勤務は、常勤医と同様の社会保険。
上記以外の非常勤医師は国民健康保険を個人で申請納付し、厚生年金・雇用保険は適用されません。

雇用保険とは病気や怪我、産休育休で働けなくなった時の休業補償の保険ね。一応、、。


給与の話

大事な収入の話です。
医者って不思議な職業ですよね。

常勤非常勤が同じ日数働いたと仮定して、
常勤より非常勤勤務の方が収入が多くなったりする現象が
起きるのがザラにありますよね。
(特に大学常勤医は)
しかも給与収入で。
こんな職業他にはあまりないのかもしれません。
(他の業界のフリーランスは報酬・事業収入になることが多い。)

ワーママ女医界でも
週3日勤のみの非常勤が
常勤時短勤務の収入を上回る
なんて
よくあることだと思います。

なので、常勤の場合・非常勤の場合の収入を
よく計算した方が良いと思います。

私のように非常勤を考える時に
もう若いわけでもなく
何か学ばせてもらうわけでもなく、
教育を受けるわけでもない、
ただただ働く場合は、
同じ日数・時間働くなら
そりゃ収入が高い方が良いと思います。

しかし注意は必要です。
私は現在フリーランスですが、
非常勤勤務の給与相場は昇給することが
基本的にはありません。


同じ仕事内容を同じ場所で何年続けようと
いくら経験値を積もうと
非常勤である限り単価は一緒です。
(その人しかできない治療があるなら別ですが、、)
(また患者さんがついていて交渉次第ではアップできるかもしれませんが、、どちらにせよ一握りでしょう、、、)

むしろ近年は医者の数が増え
都心など医師数が飽和している場所は
非常勤勤務の給与相場が低くなりつつある印象です。

年齢を経る毎に昇給を期待したい場合は
常勤医が最善だと思います。


結局、私の場合は、、、


私は、上記の
希望の仕事・働き方、社会保険、収入を考えに考えて、、
大学を辞めた後に常勤にはならず

週2同一施設で定期非常勤

週1他施設で非常勤

という働き方で、
病院からの社会保険が適用されない
厚生年金や雇用保険のない
非常勤医師、フリーランスになりました。

理由は、
厚生年金・雇用保険を捨てても尚、
下記のメリットが勝りました。

ワンオペワーママ女医が渇望していた
週3日勤務で週休4日という
「時間」の獲得

週4常勤(当直オンコールなし)より
上記の非常勤の契約条件の方が

収入が同じくらいか、むしろ高かった

ここが変だよ医者賃金.com

あとは我が家は共働きで夫が今後も
常勤・正社員の働き方をしてくれていることも
私が非常勤に踏み切れる安心材料だったと思います。
(子供が夫の社会保険の扶養に入れる!!)

また非常勤同一施設で3日にしなかった理由は
複数の施設で自分の医局以外の
色んな先生の考え方ややり方を見たかった

というのが、実はあります。

出産後、長く大学にいてしまったので、
医局のお作法(どこもありますよね)以外のやり方
色々見てみたかったんです。

これは後から考えてみると当たりで、
この後私にとっては新鮮な様々な先生の診療の仕方や考えに
触れる機会が増えて
新たな経験値を積むことができたように思います。

くだらない御作法はくそくらえ.com

勤務医として、どの働き方が良いかは人による

キャリアを考える時と同じ
毎度のことでつまらなくて申し訳ないですが、

大学やめてから、常勤になるか非常勤になるか
どっちがいいかは人によります。

一番に考えるのはやはり
どんな仕事どんな働き方をしたいかでしょう。

次に家族構成
単身なのか、子供がいるのか
共働きなのか大黒柱なのか。
当直オンコールができるのか
社会保障がどの程度必要なのか。

ここまでで
常勤非常勤が決まることも多いですよね。

まだ常勤非常勤を迷う余地がある場合は、
社会保険(いわゆる福利厚生ですね)と収入を
ざっくりでも計算してみる
といいと思います。

保険料や税金、給与計算苦手、、、
という人はファイナンシャルプランナーに無料相談ではなく
有料で頼むのも良いと思いますよ。

(医者の社会保険料や収入の計算は
無料相談などではやってもらえないと思います、
無料相談は要らない詐欺まがいの保険勧誘してくるし。
有料の方がちゃんとしたプロが出てくる。
タダほど高いものはない、の精神でお願いします。)

あ、あと私の読者さんは
女医さんが多いと思っているのですが、、、
雇用保険は注意が必要です。

もしこの職場を変えた後で、
これから結婚・出産したいと思ってる場合は
病院からの社会保険がないと
育休手当は出ないと覚えておいてください。

出産一時金、産休手当はでます。(健康保険からだから)
何人も産みたいし、育休手当もちろん欲しい!
という方は是非常勤をお勧めします。

また、男女に限らず自分が一家の大黒柱という方は
雇用保険がない場合はかなり不安になりますよね。
自分が病に倒れたら雇用保険からの傷病手当がなく
収入が途絶え家族が困ってしまいます。

そのデメリットを乗り越えても
雇用保険がない働き方をしたければ、
生活防衛資金の現金をある程度貯めておくか、
収入保障保険など検討してみてもいいかもしれませんね。
保険料は高いですけど必要かもしれません。


最後に

この記事をここまで読んでくれた方は
大なり小なり今後の働き方で
常勤にするか非常勤にするか悩んでる方だと思います。

希望の仕事、働き方、社会保険、収入
医者じゃなくても、生きて働いていくには
皆自分に合う条件を
一生懸命考えて選択する必要がありますよね。

今までは医局が多少テンプレ通りに
世話をしてくれたかもしれませんが、
特に退局後は
「自分で」考えた方が良いと思います。
各々頑張ってください。

この記事を読んで
すぐ解決!!
という人はいないでしょうけど

医師として自分らしく働く
参考になれば嬉しいです。
健闘を祈ります。


社会保険適応される、週3非常勤の話はこちらです。

それではまた。


(私が退局前にねちねち計算してた
常勤非常勤の社会保険、年間の手取りを
同じ額面収入をもとに比較計算する記事など、、
需要あるかな、、、気力あったら書きます)


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