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いつか小さな声が大きくなったら

いま世の中がとても静かなので
小さな声のテロを仕掛ける。

命についてとは無関係の話なので不謹慎に思わないでほしい。ただ現在の空気感についての率直な気持ち。


ずっと世間が速かった。
少なくとも私にとっては。
いつも情報に急かされていて、目まぐるしい情報の革命が足元を自動的に運んでいて、私はすくんでいた。

しゃがんでいても勝手に運ばれていた。次のゲームステージに。何もクリアしてないのに。

なんちゃら2.0とか、動きながら考えるとか、それは向いてるやつらにしかできない。できないというか熟せない。動くことが誰でもできるのはわかってる、でも上手く自分を乗りこなせない。
それに触発されてできた似たような記事や動画は、見開いた目が煌々と並んでる。どぎつい速度は彩度がすごくて、私にはアクが強すぎた。

こんなのちがう、味がちがう。

もちろん動かないわけでもなかった。好きだなぁと思う人組織に属してみたり、色んな発信活動にも勢を出してみた。でも何かが違う。

そしてまた自分1人に戻る。その繰り返し。

ずっとつらかった。
自分の声が小さすぎることが。
誰にも届いていないことが。

そんな中、小さいウィルスが世の中を止めた。
大きくて速くて誰も止められなかった世の中を一瞬で止めた。

だから、いま、私はとても心地がよいのです。

もう一度言うけど、医療現場が大変なこと、病気で苦しいひと、大切な人と別れて悲しいひと、職を失ってつらい人に対して何も思わないのか?とかそういう話じゃない。そんなの…ねぎらっているし感謝するし、知らない人でもこんなに大量に人間が死んだら悲しいに決まっている。正直滅入ってる。

だけど今はただ、世界の空気感への体感について話している。

鬱陶しいほどに速かった世間がピタっと止まって突然静寂になった。みんなが「生活」にいっしょうけんめいになったから。自分自信への防衛で一人一人がセルに閉じこもっている。静かだ。黒い感情や邪念は全て国とかえらそうな人とかに向いている。

人々の承認欲求に伴ったおびただしい数のプラスやマイナスの感情の音が全然聞こえない。毎日空気がきれいでホッとする。

雑音がない。

今は自分がやりたくて、やるべきことに、淡々と没頭し、集中し、水面下で世間にテロを仕掛けているような、薄気味の良さを感じている。
誰も見ていないけれども、自分はいま凄いことをやっている。ものすごい爆弾を仕掛けている気分になる。

こんなに静かに空気を吸えるというのに、みんな外に出れないストレスでまいってしまっているらしいのだ。それもなんだか「それみたことか!」な気分なのだ。速さに慣れ過ぎると、そんなに退屈かい?と。

私は、ようやくみんないちど止まったのか、とホッとしている。

届くべきところには早く届き、
困っている人にはあたたかい場所が早く手に入ってほしい。

だけど同じくらい、この静寂はもう少しだけ続いていてほしい。雨の日の夜中みたいに静かできれいでゆっくりな時間を味わいたい。

いつか私の小さすぎる声が大きくなったら、すばやくゆったりと、やさしく真剣に現在を楽しめる人が、少しだけ増えますように。

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