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iDeCoよりお得な企業型確定拠出年金DC

2017年1月より個人型確定拠出年金が公務員や専業主婦にまで加入者が拡大されて、愛称もiDECo(イデコ)となり注目を浴びている。

2001年10月から企業年金の確定拠出型としてスタートした日本版401kが個人でも年金の上乗せで加入できる制度として進化してきたiDeCo。

元々バブル時代の企業年金として適格退職年金を採用していたところが多かったのだが、当時は無謀な5.5%の運用予定利率で設定した。国のお墨付きだったので退職金準備を適格退職年金で準備している企業も少なくなかった。

国のお墨付きだった適格退職年金の崩壊

バブル期は運用利率は5.5%を超えていたので、これからもこの運用が続くと見込んでいたのだろう。しかし、1997年以降は運用利率が5.5%を下回り徐々に悪化して、2002年にはついに廃止となり厚生年金基金・確定給付年金・ 確定拠出年金 に移行した。

バブルが崩壊し、予定していた5.5%の運用は夢のような話となり、運用悪化で企業は予定していた退職金の資金不足が多発した。既に従業員には規約の中で退職金規定通りに支払う約束をしていたので、企業は資金繰りに追われることとなった。

2002年より確定給付年金に移行するものの、運用は悪化の一途で資金不足解消とは程遠く、準備金不足で企業のリスクも高まった。

確定拠出年金(DC)の誕生

ここで登場したのが確定拠出年金。企業型と個人型。
企業型は毎月の前払い退職金として一定額を積立するが、運用の指示は従業員が行う。なので、運用成果によって将来の退職金(年金)が増減するしくみとなっている。

従業員に運用を委ねるので、企業は退職金の資金不足から解消される。
また、従業員は運用を上手に行えば、退職金を増やすこともできる。
企業も積立金は全額損金で処理できますから税制上も優遇される。

だた、運用もしっかりと行わないとせっかくの将来の退職金(年金)を増やすことは出来ない。なので従業員には最低限の投資教育が必要となる。

企業型確定拠出年金(DC)をフル活用

この企業型確定拠出年金 は、事業主が従業員の退職金(年金)を積立していくのだが、従業員も給与から天引きして上乗せして積立てることが出来る。
マッチング拠出と呼ばれている方法だが、事業主の拠出額が少ないと同額以下しか拠出できないので効果が限定される。

そこであまり知られていない拠出方法で、加入選択制DCを使うとその効果は大きい。

加入選択制DCとは、従業員が任意に設定した金額を給与から控除して確定拠出年金として積立てることが出来る。
その金額も事業主拠出額と合計で月に55,000円まで拠出できる。
事業主が拠出するかしないかは自由で、従業員も拠出するかしないかも自由である。

仮に事業主が拠出しない場合は個人として55,000円まで拠出できるので、積立可能額はiDeCoの23,000円の拠出額の倍以上になる。

更にここからがiDeCoよりお得で最も大きな効果がある。

もちろん、基本給から積立分を差し行くので給与の支給額が下がります。しかし、その分は確定拠出年金で別枠で積み立てをすることとなる。

これが、どんな効果をもたらすかというと、給与をもらうと所得税と住民税が引かれる。そこで、企業型確定拠出年金で給与の一部から積立てると、税金がかかる前に積立てられること。

例えば、
20,000円を給与支給から積立てたら、所得税(10%)・住民税(10%)だった場合は、20,000円から4,000円の税金を差引いた16,000円しか運用することが出来ない。

しかし、企業型確定拠出年金は基本給から差し引いて積立てるので20,000円をフルに運用することが出来る。
給与をもらってから、保険会社の個人年金や生命保険、財形貯蓄、積立貯金などは税金を払った残りで積立てるので、運用率が悪くなる。

言い換えれば、企業型確定拠出年金は払った税金も含めて運用すると考えられる。これが、10年、20年と積み重なれば大きな差となり、運用利率よりも効果が高いかもしれない。

iDeCoと比べたら?

iDeCoも、一旦所得税や住民税を払った残りで積立を行い運用に回す。のちに年末調整や確定申告で税金の還付はありますが、健康保険税や厚生年金保険料・介護年金保険料の基準になる標準報酬月額を下げることは出来ない。

また、iDeCoは毎月手数料を管理機関である国民年金基金連合会や金融機関に支払わなければいけない。ランニングコストがかかってしまう。
しかし企業型確定拠出年金は運用にかかるランニングコストは全て企業が負担するので、その分もフルに運用に回すことが出来る。

iDeCoは自分で金融機関に手続きをして、自分の口座から引き落としをするなど開設や変更は手間がかかりるが、企業型確定拠出年金は会社が全て行ってくれて、導入の時や定期的に説明会を開催してくれる。

企業側のメリットが大きい

ここまでは従業員の目線でメリットをお伝えしたが、
企業側にはこれ以上の効果がある。

その効果とは節税である。
企業の節税対策としていろいろなやり方があるが、必要でもない設備投資や生命保険に加入して損金処理をするのもいいだろう。

しかし、従業員はあまり満足しないだろう。
それよりも従業員が満足できる節税のやり方が社員満足につながる。

その節税効果は社会保険料の減額である。
この効果は非常に大きい。

社会保険料は事業主と従業員の折半で払っている。
確定拠出年金を基本給から積立てることで従業員の社会保険が安くなる効果は、同じくらい事業主にもメリットとなる。
その金額は従業員が多いと効果も絶大だ。
年間にすると数百万になるかもしれない。

それだけの金額の利益を出すためにどれだけの売上げを上げればいいのか計算すれば、その効果の凄さがわかるだろう。

これは企業の究極の福利厚生で、最強の節税対策だと思う。

ただし、デメリットも当然ある。
そのデメリットは基本給が下がるので厚生年金の受取るときの計算で年金額が下がるかもしれない。
ただ、それをカバーするだけの運用をすればいい。

まとめ

iDeCoばかりに捉われずに、自社に企業型拠出年金制度があるのであればフル活用した方がいい。

もし自社で導入していなければ会社に導入を要望してみてはいかがかと思う。

中にはよく理解してなく導入している企業も多いので、運用ファンドの中身や規約も微妙なものも多い。

やはり企業型確定拠出年金を導入や見直す場合は適当な金融機関やお付き合いではなく専門家に相談するのが望ましいと思う。

これだけお得な制度を知らずにiDeCoだけで判断するのは本当にもったいないことに気づいてほしい。

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