私とドラッカー

出会い

今から１０年前に初めてドラッカーと出会った。
出会ったというよりも知ったといった方が正しいかも。
その時既にドラッカーはこの世にはいなかった。

当時の私は脱サラして３年目でした。
勢いと過信で独立はしたものの、理想と現実の大きな違いに悩んでいました。
ハッキリ言って経営をナメていました。
全てが上手くいかず、行動すれば裏目に出ることばかりでした。

そんな時にあるビジネスセミナーがあったので参加してみた。
その内容はドラッカーのマネジメントの講演でした。
ドラッカー？マネジメント？なんとなく聞いたことあったのだが、この初めて聞くフレーズに興味を持った。

よく考えたら経営とは何かを理解していなかった。
われわれの事業とは何か？
顧客は誰なのか？
顧客の価値は何なのか？
その時の講座の内容で今までのなんちゃって経営してきたことが急に恥ずかしくなった。

もっとドラッカーのことを知りたい！
もっとマネジメントを学びたい！
こんな思いが強くなりました。

講座終了後に講師である後に私の師匠となられたT氏に相談しました。
「もっとドラッカーについて知りたいです。もっとマネジメントについて勉強したいです。」こう質問すると、T氏は教えてくれました。

「読書会をやったらどうですか？」

読書会？なんだそれ？って感じでした。
皆で本読んで何が学べるの？
そんなのはひとりで読めばいいじゃん。みんなで一緒に読む必要なんてあるの？

こんな風に思っていました。
今考えると本当に浅はかですね。
それだけ無知な経営者だったのです。

読書会スタート

読書会とは、事前に課題図書を指定し、課題範囲を読んでその中で気づいたところ、感銘を受けたところ、疑問に思ったところ、共感したところなどに線を引いておいて、のちに読書会でその部分を各自発表して参加者で意見を出し合うのが読書会だと知りました。

半信半疑でいましたが、私が読書会を開催しようと周りに呼びかけ佐賀でのドラッカー読書会がスタートしました。2010年のころだったお思います。

読書会は毎月1回行いました。
ファシリテーターとして師匠のT氏をお迎えしてドラッカーについて、またマネジメントの本質について本だけでは分からないことを教えていただきました。

そして参加者も多彩でした。
経営者ももちろんのこと、公務員、会社員、団体職員、学生、主婦まで幅広い方が参加されました。

そこで発言されるコメントの内容や感じているところなどが新鮮でした。
自分には無い感覚の意見や考え方、また体験談などがとてつもなく参考になりました。

やはり業界や組織の中にいると周りがわからなくなるものです。
井の中の蛙のようなものですね。
そんな状態で経営をしていると顧客の価値など考えずに、自分の利益だけを考えて行動を起こしてしまいます。

私に必要なのはイノベーションでした。
そのためにマーケッティングが不可欠だと気づきました。

そこから自社の経営にマネジメントを取り入れるようになったのです。
ただ、そんなに簡単に理解できるものでもなく、直ぐに絶大なる効果を出すものでもありません。

実際に理解しだしたのは読書会を始めて１年ぐらい経ってからでした。
それまでは全くチンプンカンプンで他の参加者の凄さが羨ましかったのを記憶しています。
嬉しいことの、その方々が居られたから挫けず続けられたと思います。
これがひとりではとっくに断念して学びを止めていたと思います。
読書会の良さはここかもしれませんね。

再出発

読書会は４年ほど続きました。
その間に本は４冊ほど学びました。
最後の方はマンネリ化も出てきて参加者も少なくなりついに完結となりました。今から６年前のことです。

その６年間の間に我が社もいろんなことが起こりました。
脱サラして立ち上げた会社も事情より畳むこととなりました。
その後の決断ミスで本来の志から離れていっているのが気づき始めたのです。

私はこのままでいいのだろうか？
私の志とは何だったのだろうか？
私がやりたい仕事とは何だったのだろうか？
こんな思いが私の頭の中を占領していったのです。

もう一度やり直そう！
そして納得できる仕事をして現役を終えよう！
この一念発起で新たな会社を３年前に立ち上げました。

ここで我が社のコアとなる経営方針を考えるうえで最も影響を受けたのがドラッカーのマネジメントでした。
あの４年間に読書会で学んだマネジメントがいま生かされているのです。
そしてそれが私の志に近づく大きな糧となっているのです。

今こそイノベーション！

そして2020年は新型コロナのパンデミックで歴史に残る大変革の分岐点となりました。
「今こそ、イノベーション！」
このフレーズが2021年キーワードになることは間違いないと確信しています。

われわれの事業は何なのか？
われわれは何をなすべきなのか？
顧客を創造しているのか？
顧客の価値を理解しているのか？

企業だけでなく、公共の団体、学校、組織など全てにおいて今マネジメントが求められています。

私がドラッカーと出会っていなければ今の私の事業は存在しません。
そして読書会のメンバーと出会っていなければ今の私はいません。

ドラッカーとの出会いに感謝しています。