1分短編 #26 「待ち合わせ」

#26 「待ち合わせ」

目の前のメリーゴーランドが回っている。誰も乗せていない白馬たちは、私を嘲笑うようにこちらを見ている。2時間も待っている私に、現実を見ろと訴える。信じたくなくて認めたくなくて首を振る。

メリーゴーランドは私を乗せて回り続ける。ぐんぐんと速度を上げる。回り疲れた。それでも止まらない。回り続けて息が切れる。息が止まる。それでも君には辿り着かない。君はずっとずっと遠くに行っていて、私は前に進めない。

君にとって私は何だった?その笑顔でその優しさで私を捕らえた君は、ここにはいない。振り返らない君を待つ私はどう見えている?この関係が変わって終わってしまうのが怖くて私の息は止まりそう。

待ち合わせは2時間前。もう待つのは終わりにしよう。君の思うままに動く回転木馬に仲間入り。


100本ノック26本目。
待ち合わせ、ってお題を見た瞬間にからくりピエロしか思いつかないくて、小説というより書き殴りみたいになりました。40mPさんありがとうございます。

私の言葉のテンポ、世界観が好きって言ってくれたそばからあまり良くないものを出すのも違うかなと思うけれど、これはこれで私っぽい。

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