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クリスマスプレゼント 【ショートショート】

「ねぇ、今年のクリスマスプレゼントは僕が考えてもいいのー?」

12月23日、6歳になる息子から提案があった。

すでに怪獣のオモチャと地球儀のパズル、イブには高級ホテルのディナーも予約してある。

「え。。うん。もちろん!でも、早めに何が欲しいかママに教えてくれる?サンタさんにも伝えなきゃいけないしさ。」
「ううん。ママは何もしなくて大丈夫なんだよ。このことはパパにも言っといてね!」
「え?パパにも?」
「うん。パパにも!発表は明日だからね。」
「はーい。パパにも伝えるね。でも、もしかしたらさ。サンタさんは忙しいから。プレゼントはちょっと遅れちゃうかもしれないよ?」
「うん。大丈夫だよ。サンタさんも困らないよ。」
「そう?」
「あ。パパとママはクリスマスイブとクリスマス、おしごとお休みなんだよね?」
「そうだよ。」
「分かったー!!!」

夜、ママはパパに話した。

「考えるって言っても、もうクリスマスイブは明日だけど。。」
「うんー。自分で考えたいんだって。」
「まぁー・・・。一旦待ってみよう。イブならお店も遅くまでやってると思うんだよ。多分。僕が買いに行くから大丈夫。」
「うん。ありがとう。」

翌朝。

「おはよう!ママ、ハサミとガムテープを使ってもいい?あと!僕の部屋には入らないでね。ぜったいに!ヒミツだから。」
「いいけど。夕方には出かける準備するからね。ゲームもほどほどにね?」
「クリスマスプレゼントだからゲームはしないよー。またねー!」
「はいはい。」

2時間後、パパとママを呼ぶ声が聞こえた。

「パパー!ママー!できたよー!!!目を瞑って部屋に入ってきてねー!クリスマスプレゼントがあるからー!」
「プレゼントがあるから???」

パパとママは顔を見合わせ、言われた通り、目を閉じて息子の部屋に入った。

「パパ、ママ。ゆっくり目を開けていいよ。はい!」
「じゃぁ、目を開けるね。」
「今年のクリスマスプレゼントでーす!」
「・・・これは?ダンボールを繋げて大きな入れ物?箱?を作ったの?」
「うん。大きな入れ物を作ったんだよ。」
「すごい!・・・けど、これがクリスマスプレゼント?」
「うん。そう。じゃぁ、今から僕が言うものを持ってきてこの箱に入れてくださーい!おとなのケータイ。おしごとのパソコン。おとなのべんきょうの本。あとね、あとね。」

パパとママは息子が欲しいクリスマスプレゼントを理解し、微笑んだ。

「分かった!じゃぁ、ママはねー。テレビのリモコンも入れちゃおっかな!」
「パパは今読んでる漫画とタブレットもこの箱に入れちゃおうかな〜!」

手作りのおおきな箱に、次々に大切なものが入れられ、最高のクリスマスプレゼントが完成した。

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