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クリスマスはボランティアを〜異国の地でホームレスと向き合って考えたこと。

12月25日と26日にロンドンでホームレスのボランティアをやってきた。日本にいたらクリスマスは恋人か友達と遊んで楽しく終わるものだっただろう。でも今年は異国の地で、しかも交通も止まり、お店も閉まるロンドンで過ごす。だからこそ、普通のクリスマスを送りたくなかった。他の留学生のように、旅行をするか迷ったけれど、旅行はいつでもできる。クリスマスを通して、普通じゃ会えない人たち、普段じゃ目を背けがちの人々と関わってみたかった。

イギリスでは、クリスマスは家族で過ごすものだ。家族揃って団欒の時を過ごす。日本の正月と同じと言った方がわかりやすいかもしれない。だから、独り身にとっては辛い期間でもある。特に、ホームレスにとっては。想像して欲しい。多くの人々が温かい家の中で、温かい家族とともに美味しい料理を食べるクリスマス。一方、ホームレスは寒い路上で、周りの冷たい目にさらされ、一人ぼっちでいつもと変わらない日常を過ごす。なんて社会は不平等なんだろう。 

今回のボランティアは、そんなホームレスがクリスマスを過ごすための場を提供するものだった。美味しい料理やレクリエーション、ヘルスケアまで様々なことをホームレスにする。そのような活動を、我々ボランティアは色んな形で支える。もちろん、こんなことをやったってホームレス問題は解決しない。だから、最初のオリエンテーションでチーフが言った言葉は「こんなことをするよりハウジングに従事すべきだ」だった。このボランティアは問題解決の場ではなく、問題を民衆に提示し、考える機会を持たせる場なのではと思う。今の世の中は、自分中心に物事を考えている狭い人が多い。でも、社会は自分だけのものじゃない。そういうことに気づくきっかけが"ボランティア"なのだと思う。一見、これはホームレスへの奉仕に見えるがそれは本当は参加者自身への奉仕でもあるのだ。

ボランティアの正直な感想を言うと、疲れた。その三文字に尽きる。2日間計15時間の活動だった。普通の日本の大学生だったら、こんなことをするよりお金を稼ぐバイトの方を選ぶだろう。でも、留学しているのだから、お金を稼ぐというよりも「経験」を稼ぐことだと私は思う。お金じゃ代えられない人との関係、社会問題の中に入って「自分事化すること」を得ることができる。ボランティアは、お金を稼ぐ行為じゃなくて、様々な人と関わり、消費と生産の経済圏の外にある「社会」の中で動く貴重な機会。ホームレスと関わるだけじゃなくて、同じメンバーと関わる場。様々な国籍、職業、年齢と色んなバックボーンの人がいて、それでも「ホームレスと向き合いたい」という同じ思いで活動する。そんな尊い時間だった。

そして、英語にかなり悩まされた。ホームレスの国籍は様々だったから、色んな英語に触れた。ゲストの英語が聞き取りづらい時もあったし、自分の日本人寄りの英語が彼らの尺に触ってキレられたりすることもあった。だからこそ、行動と笑顔で示そうと頑張った。今まで日本やイギリスでなんだかんだ色んなボランティアをやってきた中で、臨機応変に動く力、他の人が気付きにくいところに気づく力をつけてきた。それを発揮する機会となった。"Japanese"であることは、ヨーロッパの中ではマイノリティ。だけど、かえってそれはオリジナリティになる。中には日本が好きなホームレスもいて、"Natsu!!”と声をかけてくれたり、「ホームレスになる前は空手を習っていたんだ。」と英語で言ってくれた後に「こんにちは、ありがとう😊」と伝えてくれた時はとても心が温かくなった。日本ではホームレスは自己責任と言われることが多いけど、実際はそうじゃない。社会の変化が彼らを普通の生活から追い出してしまっているのだ。ということを多くのホームレスと接して改めて感じた。

20歳、日本人、女子は他のメンバーにはいなかった。かなりチャレンジングだったと思う。それでも日本じゃ味わえない「マイノリティ」の体験ができたし、英語へのモチベーションが上がったし、言葉では表現しづらい"heartwarming"なひとときを過ごせた。決して楽しいことばかりじゃなかったけれど、有意義だったこの思い出を大切にとっておこうと思う。

#長期留学 #女子大生 #クリスマス #ボランティア

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