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【いちばんすきな花】第9話:細かすぎるあらすじ&感想

いちばんすきな花
第9話 2023/12/7(木) 22:00~

第9話。え、もう9話?
終わりが見え始めて切ない気持ちになりつつも、かみしめた第9話でした。

公式サイトにあるメインヴィジュアルにも書かれているコピー。
"二人組を求める人生で出会った、4人のひとりたち"
これ、美鳥視点で出会った4人のことでもあるのですね…震える…

本記事では、ドラマ「いちばんすきな花」第8話のあらすじや台詞を、感想や考察を交えながらまとめています。
脚本や台詞が好きすぎて細かすぎるほどに残しているので、長いです!笑

※ネタバレを含みますので、これからご覧になる方はご注意ください。





●「いちばんすきな花」第9話

9-1. 初孫

椿宅にて、椿が大きなダンボールを開封して一冊の本を取り出し、嬉しそうに見つめる。紅葉、出版社の紙袋を持って椿のもとへやってくる。ダンボールを前にした椿に「荷造りですか?」と声をかけると、「見て」と嬉しそうに言う椿。ダンボールの中には、紅葉が表紙イラストを描いた小説「パーティー」が大量に詰められている。
-紅葉「え、あそっか社員だから。すみません、一冊あげようと思って。」
-椿「全部自腹。」
-紅葉「全部自腹?」
-椿「うん。」
-紅葉「え、会社でもらえないの?」
-椿「お金使ってあげたくて。」
-紅葉「…俺のこと初孫だと思ってます?…否定してよ、怖い怖い。」

書店で「パーティー」を手に取る美鳥。イラストを嬉しそうに眺める。まちがいさがしの本を見て待っていたゆくえのもとにやってきた美鳥。
-ゆくえ「ねぇ、間違い探しの答え合わせって、変な日本語じゃない?」
-美鳥「そういうの気にするよね。」
-ゆくえ「気になっちゃうんだよね。間違いを見つけるゲームの答え。間違いが正解…」
-美鳥「ゆくえも変わんないね。」
そう言って笑い、ファミレスへと向かう二人。

もう、椿さん!
初孫の初表紙にニヤつき嬉しそうに大量の本を眺める様子、本当に嬉しそうで可愛かったですね(笑)

紅葉が表紙絵を描いた「パーティー」ですが、書店では恩田陸さんや直木賞作家の本と一緒に並べられていたので、それなりに名の通った作家さんの作品なのではないかなと思います。
これを機に、紅葉のイラストレーターとしての道がまたひとつ拓けていきそうですね。
「パーティー」の帯には、「また、いつか この街で逢えますか?」という文言が描かれていました。
紅葉のイラストは、"パーティー"という華やかなタイトルに対して、カップ麺やペットボトルが並んだ小さなテーブルを囲んだ二人のイラスト。
紅葉のどこかやさしいイラストがきっとマッチする内容の本なんだろうな。
帯の文言が、美鳥やこの物語の4人の今後を暗示しているようで気になりました。

書店でのゆくえの言葉、まだ間違い探しについてこだわっていますね。
何と比べて間違いなのか。どちらが間違いで正解なのか。間違いと正解は真逆のものなのか。
結構引っ張られているテーマなので、さらに深堀りされていくのか、気になります。

9-2. 逃げて正解だよ

-ゆくえモノローグ「美鳥ちゃんも、あの頃と変わらないように見えた。私の知っている頃のみどりちゃんは、いつもにこにこしていて、明るくて、でも、塾のみんなからは嫌われていた。」

ゆくえ、高校時代の回想。塾で模擬試験の結果を眺めて第一志望がB判定だったことに落ち込むゆくえに、「よそはよそ、うちはうち」と声をかける美鳥。
塾関係者に呼び出された美鳥が教室を出ると、クラスの生徒達が、「志木先生は中学の時元ヤンだった」などと噂話を始める。
美鳥は廊下で塾関係者から「夜中に生徒と出歩いているのは本当か。自覚ある行動をしてもらわないと。」と忠告を受けている。

ゆくえと美鳥の帰り道。
-ゆくえ「進路決めた。塾講師。」
-美鳥「へぇ、物好き。ゆくえは学校の先生でもいいと思うけどね。」
-ゆくえ「やだよ。学校は嫌いだから。
-美鳥「学校が嫌いな先生がいたら、ゆくえみたいな子は救われるんじゃない?
-ゆくえ「でも私には無理。他の、学校は嫌いで先生になる人に任す。なんで先生になろうと思ったの?」
-美鳥「高校生の時、親戚の子に"ミドちゃんは教え方が上手だね"って言われて。」
-ゆくえ「ふーん。え、それだけ?」
-美鳥「生まれて初めて誰かに必要とされてるって思えたの。それに、人から教わったものがまた他の人に繋がっていくのって面白いなって。

別の日、塾にて、「赤田帰っちゃったよ」とゆくえに声をかける美鳥。
「赤田と友達っておかしいのかな?」とゆくえ。塾帰りに赤田とコンビニに寄ったら、彼氏?と聞かれ、友達と言ったら好きなの?と聞かれたと話すゆくえ。
-ゆくえ「好きだけどさぁ。好きだけど、多分その子が言ってる"好き"って違うやつでしょ?違う好きで一緒にいちゃダメなの?」
-美鳥「ダメって思う人は、いるよ。」
-ゆくえ「そんなこと言わないでよ。」
-美鳥「ゆくえと赤田の関係がダメってことじゃなくて価値観の話ね。男女が二人でいたら恋愛しかありえないと思う人もいる。それはそれ。でもだからって、二人の関係は恋愛だって決めつけるのは、暴力。みんなもっと他人に無関心で生きたらいいのにね。判定したくて仕方ないんだよね。

-ゆくえモノローグ「美鳥ちゃんはいつも、周りの人から悪い関心を向けられていた。高校生の私には何も出来ず、わざとわがままを言って、塾の外に連れ出すくらいだった。」

夜、ファミレスで勉強するゆくえと、それを見ている美鳥。
窓際には、花瓶に生けられた二輪のオレンジ色のガーベラ。
それを見つめている美鳥に、ゆくえが「どうしたの?」と問いかける。
-美鳥「いちばんすきな花。」
-ゆくえ「へぇ、なんで?」
-美鳥「好きに理由とかないでしょ?
-ゆくえ「ないの?」
-美鳥「ある人もいるだろうけど、なくてもいいんだよ。無理やり理由つけて、好きとか嫌いとか、決めなくていいんだよ。
-ゆくえ「そうだよね。」

-ゆくえモノローグ「そう教えてくれた次の日、美鳥ちゃんは突然バイトを辞めた。」

「志木先生毎日喧嘩していた」「逮捕されたこともある」「生徒とホテルに行っていた」などの噂話をしている生徒達。

-ゆくえモノローグ「逃げて正解だよと思えた。いつか、本当の美鳥ちゃんでいられる場所で、誰かに必要とされててほしいと願うだけだった。」

回想シーンを通じて、現在のゆくえが、美鳥からの影響を大きく受けていることがわかりました。
ゆくえが希子や朔也にかけてあげる言葉なんて、ゆくえが美鳥からもらった言葉そのまんま。
単に受け売りで使っている言葉なのではなく、高校時代のゆくえがもやっとしながらうまく言語化出来なかった想いを、当時の美鳥はゆくえの心にすっと入る言葉にして解釈して伝えてくれた。
それがゆくえ自身の中にすとんと落ちて、自分の軸になっていて、今希子や朔也に与えているんだろうなと感じられます。
まさにこれも、"人から教わったものがまた他の人に繋がっていく"ですよね。
学校の先生や、塾の先生に教わるものって、勉強だけじゃない。
友人、恋人、どんな関係性の中でも、誰かから受け取ったものが、また他の誰かに贈られていって、そうやって循環していくものって、たくさんある。
椿が美鳥に教えた将棋が夜々に伝わったように。
そういう意味では、人って必ず誰かと繋がっていて、一人じゃない。
この物語の4人の主人公の、それぞれのその"繋がり"のどこかに、いつも美鳥がいたんですね。

美鳥が先生になった理由は、幼い夜々の些細な一言でした。
色々立派な理由を掲げてなったわけでも、大きな志を抱いてなったわけでもない。
ただひとつ、美鳥が初めて自分の存在意義を感じた時にかけてもらった言葉が、ずっと美鳥の胸の中にあり、彼女を支えていた。

この物語の視聴者がずっと気になっていたオレンジ色のガーベラ。
どうして美鳥はガーベラが好きなんだろう。
そんな視聴者の関心に対して、理由は特にないと言い放つ脚本。
好きなものや、なりたいもの、ほしいもの。
そこに、明確な理由がなくたっていいし、仮にあっても、別に声を大にして説明しなくたっていい。
理由がなくたって好きなものは好きでいいし、それが誰かに理解はされなくても、否定されるべきものではない。
人の価値観や生き方、性格、関心、趣味嗜好、それを他の誰かが決めつけたり、枠にはめようとしたり、否定するのは、暴力。
ぶん殴る暴力ではなくて、かすり傷をつける暴力。
そういうものに、ちくちくちくちくと傷つけられ、耐えながら生きてきた美鳥は、どこか現実を客観視していて、冷めていて、本質を捉えていて。
美鳥がそんな美鳥になっていった過程を思うと切なくて仕方ないけれど、今現在、少なくとも笑顔を見せながら生きている美鳥と再会出来たからこそ救われます。

最後のゆくえのモノローグの「逃げて正解だよ」の言葉がとても好きです。
そうやって暴力を向けてくる人たちがいる世界、自分の居場所ではない世界に、いつまでもこだわって居続ける必要なんてない。
居場所を選ぶために、居場所を見つけるために、その場から去ることは、ネガティブな意味の"逃げる"とはまったく違う。
美鳥がその場所を自ら去ったのか、去らざるを得なかったのかは分かりませんが、私もゆくえと同じように、美鳥を願ってしまいました。

語り過ぎました!まだオープニング!!(笑)


9-3. カラオケ

ファミレスにて、ゆくえと美鳥。「またこっちに逃げようかなぁって」という美鳥を真っ直ぐ見つめ、「うん、正しい」とはっきり言うゆくえ。
北海道に戻った途端、昔の生徒からたくさん連絡があり、帰りたくなったと話す美鳥に、「おかえりなさい」とゆくえが笑う。

こっちにいるうちに会いたい人がいて…と言う美鳥。少ししてファミレスにやってきたのは赤田。最近のいろいろは既にゆくえが美鳥に話しており、美鳥は赤田をいじりつつ、仲良さそうに談笑する3人。
-ゆくえ「…大丈夫?奥さん。」
-赤田「うん。説明してある。いいよ~って。別にあれだからね、なんでもかんでもダメって、そういう人じゃないから。」

「美鳥ちゃんさ、カラオケ好き?」というゆくえの一言から、「最近のカラオケは飯が旨い」と乗ってくる赤田。二人に行きたい場所を聞かれ、強制的に「カラオケ」と言わされる美鳥。3人立ち上がり、カラオケへと向かう。

夜、紅葉のバイト先のコンビニにやってきた美鳥。
紅葉がその姿を見つけ、微笑む。

ゆくえの真っすぐな「正しい」は、この前のシーンでのゆくえのモノローグにある通り、美鳥ちゃんが美鳥ちゃんでいられる場所へ行くならすべて正しいという、変わらない想いが感じられる言葉でした。

「親だからって理由で好きでいる必要ない」の言葉も、好きや嫌いに理由はいらないというメッセージに繋がりますね。

昔美鳥から受け取った考え方や言葉が、今はゆくえの物になり、ゆくえが美鳥に渡して、美鳥が救われる。
巡り巡って自分にかえってくることも、あるんだな。
「美鳥」の「帰りたくなった」の言葉も、さらっと出ましたが、ずっと帰りたくなる場所がほしかった美鳥がこの言葉を言ったと思うと、愛おしいです。

ファミレスでの3人のシーンは、久々の再会のほんの一瞬のぎこちなさから、すぐにいつもの前みたいな雰囲気に変わって、私も一緒にカラオケ行きそうになるくらい嬉しかったです(笑)
ゆくえと赤田は二人きりでの密室カラオケがNGだからね。
美鳥がいれば、二人きりの密室を回避できるから。
久々にたくさんはしゃいだんだろうな。
山盛りポテト、3人で分けたんでしょ?カラオケシーンください!(笑)

赤田妻の峰子について、「なんでもかんでもダメって人じゃない」。
前回8話の感想で書いた部分ですが、この言葉を赤田の口から聞けてよかったです。
そういうのがわかってるから、赤田と峰子の二人組はちゃんとうまくいってるんだよね。
こういうところをちゃんと回収してくれる脚本やキャラ設定が好きです。


9-4. またおいで

紅葉のバイト終わり、二人で缶ビールを飲みながら歩く美鳥と紅葉。
-紅葉「そっちはなんか、すごい変わりましたね、冗談とか言わない人だったのに。」
-美鳥「あの頃が変わってたんだよ。佐藤くんが知ってた頃が、変わってた時なんだよ。

紅葉、高校時代の回想。イライラしたような表情と口調で採点したテストを生徒に返していく美鳥。

-紅葉モノローグ「確かに変わってる人だった。俺の知っている頃の先生は、いつもイライラしていて、不機嫌で、みんなから嫌われていた。」

数学の補修。教室には美鳥と紅葉の二人。友達がカラオケに行っており合流したくない、学校にいれば行けない理由になるからと、問題を解きながら時間を稼ごうとする紅葉に、舌打ちをする美鳥。
-美鳥「友達いないでしょ。佐藤くん、友達いないでしょ。」
-紅葉「いますよ。今カラオケにいます。」
-美鳥「今カラオケにいるのはただのクラスメイトでしょ。」
-紅葉「友達です。昨日のドラマの話とかするし、好きな子の話とかするし。」
-美鳥「あっそ。好きでもない流行ってる歌うたって、話し合わせるために興味ないドラマ見て、ちょうどいい女の子好きってことにしてるんだ。友達と友達するために。他人の噂話で盛り上がって、何が本当で何が嘘かには興味なくて、その場しのぎの会話ばっかり。好きじゃない人と好きじゃない話して、楽しくないのにへらへら笑って、虚しくないの?

そう言って、「全然出来てない、間違いばっかり」と採点したテストを返す美鳥。教室を出る間際、「また来ます」と言う紅葉に、「え、なんで?」と美鳥。教室を出て、嬉しそうな表情で駆け出す紅葉。

-紅葉モノローグ「みんながそうしていることは、それが正解だと思っていたけど、違ってていいらしい。この間違いがわかっただけで、どうしようもなく救われた。自分自身は何も変えられなかったけど、嫌いな自分を否定してもらうことで、自分の気持ちを肯定してもらった。」

別日、また補習中。美大を目指そうとしたが自分には無理だと思って、と話す紅葉に、「ふーん」とのみ返す美鳥。
-紅葉「やってみなきゃわかんないよ!とか言ってくれないんですか?」
-美鳥「わかるでしょ。無理って思うなら無理でしょ。他人の言葉で受験の合否が決まるわけないでしょ。」

-紅葉モノローグ「どうしていつもこんなに不機嫌なのか気になったけど、でも、むしろこの距離感がちょうどよく、心地よかった。」

紅葉のテストを採点中の美鳥。廊下を通りかかった篠宮が紅葉に手を振り、手を振り返る紅葉。
-美鳥「友達?」
-紅葉「1年の時一緒にいたやつと、2年の時一緒にいたやつです。」
-美鳥「それは友達じゃないの?」
-紅葉「一人になりたくなくて一緒にいただけだから。二人も一人だったから、ちょうどよかっただけ。」
-美鳥「中学の時、学校のやつみんな死ねって思っていつも一人でいたんだけど。教室じゃ静かなくせに二人になるとすごい喋る変なやつがいて、やりたくもないゲームのルール勝手に教え込まれて相手させられて。しかもそいいつんちで。私が一人でいたから、ちょうどよかったのかな。一緒にいたの嬉しかったけど、ちょうどよかったってだけなのかな。

採点中のテストの裏に、紅葉のイラストを見つけた美鳥。「すみません、落書き…ごめんなさい」と謝る紅葉。ペンを取り、満開の桜の木のイラストを書き足す美鳥。
採点が終わり、「おじゃましました」と言って教室を出ようとする紅葉に、「うん、またおいで」と思わず返した美鳥。嬉しそうな紅葉。

-紅葉モノローグ「不覚にも数学の成績が上がってしまって、わからない問題を必死に探すようになっていた。」

別日、補修中、「18時までには行かないと」と慌てて教室を出ようとする美鳥。「家。買い物して、18時には着かないと」と言う美鳥に、「先生結婚してますよね?」と聞く紅葉。美鳥は慌てて教室を出て行く。

-紅葉モノローグ「なんで帰るって言わないんですかって聞こうと思ったけど、帰りたくないってことかと思って、やめた。」

卒業式の日、生徒達が記念撮影などで盛り上がる中、険しい表情で一人立っている美鳥。遠くから会釈だけして、笑って友人の輪に混じっていく紅葉。

-紅葉モノローグ「不機嫌なわけじゃなくて、感情を殺してただけかもしれない。俺が友達の前で笑うしかないみたいに、怒るしかなかったのかもしれない。自分の知らないところでいいから、いつか先生に、帰りたい場所が出来ることを願うしかなかった。

現在、缶ビール片手の帰り道、別れ際、「塾始まったら遊びに行っていいですか?」と紅葉。「やだよ。週3で泊まられるの普通に嫌。」と冗談を言い、「またね」と帰っていく美鳥。

高校教師時代の美鳥、ずっと眉間にシワが寄ってるんですよね。
本当にどこかずっと不機嫌そうで、怒った感じ。
今の美鳥とはまったく違う顔なのに、別の人間じゃなく、一人の人間の別の顔と思わせる説得力がある口調や間の取り方、言葉の温度。
田中麗奈さんのお芝居ってちゃんと見たことがなかったのですが、さすがな女優さんだなと思いました。

中学の時の椿のことを話す美鳥。
変なやつがいて~と話す美鳥の表情はとても穏やかで、椿と一緒に家で過ごした時間を"嬉しかった"と言った言葉に、椿に救われていたんだなということがわかってほっとしました。
桜のイラストは、今現在の美鳥が紅葉に電話をした時にも描いていましたね。
紅葉がテストの裏に描いていたのは、階段で男子生徒二人が座って談笑しているようなイラスト。
二人でいられる友達が欲しかった紅葉の心情が現れているようで、そこに描き足された満開の桜が、綺麗でした。

紅葉が美鳥先生を好きだったのは、モノローグにもあった通り、自分が嫌いだった自分をビシっと否定してくれたから。
ずっと引っ張られている"間違い探し"のテーマですが、"正解"が分かることではなく、"間違い"が間違いだと分かること、それだけで救われることも、あるんだよね。

自分がおかしいなと思うこと、どこか違和感を感じること、でも、多数派の価値観とは違うから、自分がズレているのかなと思って、黙っていようとしたこと。
"その自分が正しい"ということではなくて、”自分が違うと思っていたことを誰かも違うと肯定してくれること"。それだけで、救われる。

テストの採点だったら、満点がゴールなら、×より○の方が絶対良くて、○が正解で×が間違いだけれど。当たり前なんだけど。
でも、×印さえつけてもらえなかった答案が、採点してもらえて、×印をつけてもらえること。あ、これ間違いだったんだって、そうだよねこれやっぱり間違いだよねってわかること、間違いですよって言ってもらえること。
どうしたら○になるのかはわからなくても、×印のままでも、赤点のままでも、採点してもらえて、その答案を戻してもらえること。
それだけに救われることって、あるから。
紅葉はすごく救われたんだろうな。

間違い探しのテーマと、この紅葉のストーリー、ゆくえの塾まわりで度々出てくる採点の話と、このシーンでの美鳥と紅葉の採点のシーン。
繋がり方と回収が見事でした。

9-5. いつか

夜々の数年前の回想シーン。コンビニ前で恋人と電話中の夜々、「来るなって言われてもアパート引き払っちゃったんだよ?え?たっくん?!」と叫び、電話が切れ、蹲る夜々。偶然そのコンビニから出て来た美鳥が夜々を見つける。「ミドちゃん…帰る場所ない…」と泣きつく夜々。

美鳥の家に入れてもらった夜々。美鳥は椿の母から教わったロールキャベツを作っている。「男見る目ないの一緒。去年離婚したの。」という美鳥の言葉に驚く夜々。
-夜々「大変だったね。」
-美鳥「大変だった~。人ってこんな感情失うんだってびっくりした。あ、今はもう大丈夫。取り戻した。仕事も普通に出来てるし。」
-夜々「高校の先生だよね?」
-美鳥「今は塾の先生。」
-夜々「その方がいいよ。学校嫌い。」
-美鳥「私も嫌いだったよ~。だから最初は、学校の先生になったの。」
-夜々「ん?どういうこと?」
-美鳥「学校が嫌いって気持ちがわかる先生がいたら、救われる子はいるって思ったから。」
-夜々「ほんと優しいねぇ。」
-美鳥「大学の時バイトしてた塾の生徒が、そういう先生いてほしいって。自分は無理だから塾の講師目指すって言ってたけどね。」
-夜々「何そいつ、すごい他人任せじゃん。」
-美鳥「中学の友達から将棋教わったんだけどね、その友達のお母さんが料理も教えてくれたの。」
-夜々「へぇ~。私その友達から恩恵もらいすぎだね。」

-夜々モノローグ「ミドちゃんは相変わらずだった。色々あったみたいだけど、あの頃と同じ、ぽわぽわとあたたかくて、優しいミドちゃんのままだった。」

美容師を目指していると話す夜々に、「お母さんになれって言われたの?」と聞く美鳥。自分の意志だと言う夜々に、安心する美鳥。夜々が美鳥の子供のころの夢を聞くと、「家が欲しかった。理想のおうちみたいなのがあって、そういう家で自分の塾やるのが今でも一番の夢。」と美鳥。
「やりなよ」という夜々に、だんだん出来る気がしてくる美鳥。
-美鳥「今は無理だけど…いつかは無理じゃないか。」
-夜々「いつかって意外とちゃんとくるよ。いつかまたミドちゃんに会えたらなぁって思ってたし。」
-美鳥「じゃぁいつかは出来るか。なんか出来る気がしてきた。」

-夜々モノローグ「このままここに住んじゃおうかなぁなんて呑気にしていたら、居候していることがママにばれた。」

「おじゃましました」と家を出る夜々に、「じゃまじゃなかったよ」と声をかけて送り出す美鳥。涙をこらえて「またね」と夜々。
学習塾開校についてパソコンで調べる美鳥。

夜々の「帰る場所ない」の言い方が可愛すぎました。
うちに来ませんか?(怖)
たっくん!!!なんてひどい男なんだ!!!!
夜々って結構恋愛体質なんですね。でも見る目がないんだな。

ゆくえ、椿、夜々、紅葉。それぞれの口から語られたそれぞれにとっての美鳥はまるで別人のようでしたが、こうして美鳥を軸に描かれると、まるで別人のような美鳥も、美鳥のひとときの顔に過ぎなくて、ぜんぶ美鳥だったんだということがわかりますね。
人は人のことを、ほんの一部しか知らない。
ほんの一部でしかない知っている顔を記憶して、その人はそんな人だと語ってしまう。
そんなことにも気付かされます。

4人が美鳥から影響を受けたように、美鳥も、4人から影響を受けていましたね。
夜々やゆくえがぽろっと言った言葉をきっかけに学校教師を志して、夜々の一言から学習塾開校を具体的な夢として描き始めた。
最初、夜々に夢を聞かれた時、「家が欲しかった」と過去形で答えた美鳥でしたが、夜々と話すうちに、今は無理だけどいつかならと、考えるようになった。
結果、家を買って学習塾を開いたわけですが、人が踏み出すきっかけって、ドラマチックな出来事とかでなくとも、誰かのささいな一言だったりするんですよね。
知らず知らずのうちに、みんな誰かに影響を与えて、影響を受けて、生きてる。
出来れば自分も、誰かにとって悪い記憶とならず、やさしい記憶の一部になれていたらいいなと考えさせられます。


9-6. おじゃましました

数年経ったある日、「みどり学習塾」のチラシに塾長として書かれた"志木美鳥"の名前に気付いたゆくえ、学習塾に電話をかけると、美鳥に繋がる。

-ゆくえモノローグ「美鳥ちゃんは相変わらずだった。明るくて、よく笑って、塾の先生をしている憧れの人だった。」
-紅葉モノローグ「先生は相変わらずだった。卒業してから毎年、年賀状のやりとりをするだけだった。イラストのこんな仕事をしましたと報告しても、明けましておめでとうございますとだけ返事が来る。文字だけなんだか不機嫌に見えた。」

ある日の回想。現在の椿宅に住んでいた美鳥は、苛々しながら「今東京の家出るとこ」と電話をしながら家を出てくる。門の前で「おじゃましました」と呟き、悔しそうに家に背を向けて歩いて行く。
しばらくして、その家を内見に訪れた椿と純恋。家の外観を見た椿は、「いいね、ここにしようか」と呟く。「中見てから決めようよ」と笑う純恋。椿は少し外観を眺めた後、「おじゃまします」と呟いて中に入っていく。

一方、札幌の実家にいる美鳥。食材や介護用品を抱えて買い物から戻った美鳥は、介護ベッドに寝ている親を見つめる。電話がなり、出ると、ゆくえ。「おうち桜新町だったよね?今多分すごい近くで…」とゆくえ。
-美鳥「引っ越す前連絡すればよかったね、ごめん。また帰ることあったら…会えたらいいね。」
-ゆくえ「いつでも会えるって思ってちゃダメだね。今度遊びに行くね。」

美鳥の人生って、キツイなぁ。
子どものころは親から暴力を受けて、親戚中の家をたらいまわしにされる。
塾講師のバイトを経て、新潟で高校教師になり、結婚するが離婚。
教師を辞めて、東京に出てきて、家を買い、個人で学習塾を開業。
しかしその矢先、親の介護のため、家を手放し、塾を閉め、北海道に戻る。

これだけの出来事があって、一時は感情をなくすほどに追い詰められたこともあって、それでも食いしばって生きてきた。
その道のりのすべてを知っているのは、美鳥本人以外にはいなくて。
その途中で出会ってきた人たちは、出会った時間の中での自分を記憶していて、久々に会っても、「相変わらずだね」と言う。
色々なことがあったけど、「変わらないね」って言ってもらえるくらい、今普通にいられることは、ある意味で救いだけれど。
でも、色々なことがあったのに、「変わらないね」って人は簡単に言うんだなって、ちょっとドライに受け止めるとひんやりするな。

紅葉だけは、高校時代の美鳥先生と今の美鳥との雰囲気にはギャップがあって、「なんか変わりましたね」って言っている。
なんか変わったけど、今の美鳥先生をすんなり紅葉が受け止めたのは、そして変わらず好きだなって思えたのは、高校時代の紅葉が変な先入観で"みんな"と同じように美鳥を決めつけずに接して、美鳥の"いつか"を願えた子だったからですよね。
変わった自分を、変わらず受け入れてくれる人がいるというのも、救われますね。

美鳥と接して、椿が、ゆくえが、夜々が、紅葉が願った"いつか"が、美鳥にちゃんと訪れた。
夜々の「いつか」の台詞もちゃんと回収されますね。

でも、その美鳥の夢だった、帰りたい家。
それが今は4人の居場所になってしまっている。
そのことが物語をどう展開させていくのか、気になるところです。


9-7. ここに帰ってきたい

椿宅にて間取りの採寸をしている椿と美鳥。明日北海道に戻ると話す美鳥。
「この前4人でゲームセンター行って、すごい楽しかった。」と、先日の出来事を話す椿。「楽しかった。だから大丈夫。塾いつから?」と椿。
-美鳥「まだ決めてない。今住んでる人がいつ出るか決まってないんだもん。決められないよ。」
-椿「だよね。いつまでに出てほしい?」
-美鳥「一応ね、他にも物件探してんの。ここ高くない?こんな広くなくていいかなって。」
-椿「うん、わかる。ここ高い。こんなに広くなくていい。だから出ようと思って、今他に物件探してる。同じ場所の方が、前にいた生徒さんも通いやすいもんね。ここが、あれでしょ?初めて帰りたいって思った家でしょ?
-美鳥「(椿から目を逸らして)…うん。帰りたい。」
-椿「(頷いて)  変な日本語。今いるのに。」
二人、笑う。
-美鳥「(まっすぐに椿を見て) ここに、帰ってきたい。
-椿「(黙って頷いて) 出れる日決まったら教えるね。」
-美鳥「ありがとう。」

「これからみんな来るけどどうする?夜々ちゃんがごはん作ってほしいって」と美鳥に言う椿。スマホで地図を見て、スーパー出来たんだと呟く美鳥。
-美鳥「みんな何時に来るの?」
-椿「夕方とか夜とか暇になった人からぱらぱらと。」
-美鳥「いつもそんな感じ?集まる約束する時。」
-椿「約束とかしないんだよね。誰かが、行っていい?いいよ。行っていい?いいよ。って。」
-美鳥「気付いたら集まってんだ。」
-椿「そう。」
-美鳥「いいね。」
-椿「うん。いい。」

帰り支度をする美鳥を見て、ドアを開ける椿。
「何食べたい?」と笑う美鳥。

椿と美鳥のシーンって、なんだか泣けてしまいます…
前回の再会の「もう怪我してない?」のシーンも、今回のここの「帰りたいって思った家でしょ?」のシーンも、椿さんの台詞の言い方とじんわり目に溜まってくる涙、それを受けた美鳥の息の飲み方と涙をこらえる感じ、このお芝居合戦が素晴らしすぎて泣けてしまいます。
椿と美鳥の二人の過去なんて、ほんの数分しか覗いていないのに、実際の二人もそんなに多くの言葉を交わしたわけではなかっただろうに、お互い分かり合えていたこと、美鳥にとって椿は救いで、椿にとって美鳥はずっと願っていた人だったこと、それがものすごく伝わってきて、泣けてしまうんですよね。
役者さんの力ですね。

4人に遠慮して美鳥がこの家を諦めないように、家以外のゲームセンターでも楽しかったから大丈夫、前の生徒さんのためにもここがいい、自分にはこの家は広すぎる、と、先回りして伝えてあげる椿さんの優しさ。好きです。

4人への遠慮もあっただろうけれど、ちゃんと、「ここに帰ってきたい」と言えた美鳥。その言葉を聞きたかった椿。
あーーーーーーーーー泣ける。みなさんここ泣きますよね?

約束とかしないで集まる場所、もうこの家が4人にとって本当に居場所じゃん。
そんなことをひしひし感じる美鳥ですが、"4人"と会う決心をしました。
会ってみて、決めようとしたのかな。


9-8. 四人の帰る家

スーパーから帰って来た美鳥。玄関に並ぶ4人分の靴。ドアの向こうから聞こえてくる4人の声。少し立ち止まって、笑顔を作って、ドアを開けてリビングに入る美鳥。
それぞれ「おかえり」と美鳥を迎える4人。「ただいま」と笑う美鳥。

夕飯の準備中。美鳥がキッチンペーパーがないことに気付くと、「持ってくるよ」と2階のストック置き場へ向かう夜々。
冷蔵庫の牛乳の残りが少ないことに気付いた紅葉、次はゆくえが買ってくる番だと話す紅葉、椿、ゆくえ。
出来上がった料理をソファーの方へ運ぶ4人。
-美鳥「こっちで4人で食べていいよ?」
-ゆくえ「いいのいいのそっちだと席足りないから。」
-夜々「こっちでちっちゃくなって食べよ~。」

5人で食事をしながら、美鳥に将棋を教えたのは椿だと知り驚く夜々。
いつもの調子で椿をいじったりしながら楽しそうに会話する4人。
その様子を少し眺めて、おかずを取りに席を立つ美鳥は、ダイニングテーブルに並ぶ4つのお揃いのマグカップに気付く。
そんな美鳥の様子を気に掛けて見つめているゆくえ。

食事を終えて、片付け中、ゴミ袋の場所を美鳥が聞くと、ここだよと一斉に場所を教えるゆくえ、紅葉、夜々。
-美鳥「いいね、みんな。ゴミ袋の場所までわかるって。ゴミ袋どこにあるかわかるって暮らしてるってことだよ。帰る場所ってことでしょ。よかった。みんなに帰る家、あって。

少し黙る4人。微笑んで、歩き出す椿。ゴミ袋の引き出しを開けて美鳥に見せる。
-椿「ここね。ここ。」
-美鳥「うん。わかった。覚えとく。」
-椿「うん。」

洗い終わった4つのお揃いマグカップと、1つの来客用マグカップ。

前提として、美鳥は一度この家を手放しているので、当然なんですけど。
でも、美鳥にとって初めて思えた帰りたい場所、初めて手に入れた自分の居場所が、今は4人の居場所になっている。
それは当然なんだけれど、その様子を目の当たりにした美鳥の、どこか切なそうな、なんともいえない表情が気になるシーンでした。
4人に対する嫉妬とか、そういうネガティブな気持ちではなくて、自分が改めて手に入れようとしている家が、別の誰かにとって大切な居場所になっているという事実。
しかもその誰かが、美鳥にとっても大切な一人と一人と一人と一人の四人で、大好きな四人の居場所を自分が奪うことに、躊躇いが生じてしまっているのでしょうか。

そんな様子をおそらく感じ取っているゆくえと椿。
椿は、ゴミ袋の場所を教えてあげました。
これは、「志木さんも仲間だよ、五人だよ」ではなくて、「ここは志木さんの家だよ」と伝えるための行為だったと私は解釈しています。

椿がこの家を手放す理由は、次の住人が美鳥だからっていうことだけが理由ではないし、美鳥がこの家に住んだって、この四人が解散するわけではないのだから、美鳥にはこのままこの家を手に入れてもらいたいって思います。
でも、いざ自分の居場所が誰かの居場所になっていることを知るって、嬉しい気持ちもありつつ、寂しい気持ちもありますよね。

「よかった。みんなに帰る家、あって。」

美鳥ちゃんにも、帰りたい家に、帰ってほしいよ。

どうなるかな~。


9-9. 五人と一人

美鳥が北海道へ帰る日。空港に見送りに来たゆくえ。出発までの時間、二人でベンチに座り話す。
-美鳥「私ね、二人って好きなんだよね。」
-ゆくえ「え、ほんとに?」
-美鳥「本当。二人組、安心する。自分のためだけに相手がいるって感じが、安心する。
-ゆくえ「へぇ…。多分話してなかったけど、私達四人ね、初めて集まった時、最初に話したのが二人組作るの苦手って話。」
-美鳥「はは。ごめん、笑っちゃった。想像出来すぎる。」
-ゆくえ「でしょ?それだけが共通点で。」
-美鳥「だから四人で仲良くなったんだね。」
-ゆくえ「うん。どうだろ。」
-美鳥「私はね、四人みんなのこと好きだけど、それぞれと二人でいる時間が好きだったし、二人ずつで会ってみて、今も好きだなぁって思った。五人は、違うの…かも。あ、五人はね、楽しかったよ。楽しかったし、嬉しかった。みんなで会えてよかった。」
-ゆくえ「みんなも楽しかったと思うよ。」
-美鳥「でも、五人じゃ、なかった。四人と、自分一人。子供のころ、転校ばっかしてたから交換ノートをね、途中から参加したことがあって、自分が入る前のページ読み返しても、やっぱり自分がいたことにはならないんだよね。一学期盛り上がってたあの男の子の話題しなくなったな、誰か失恋したのかな、とか。夏休み明けみんな言ってるこの牛乳事件ってなんのことだろうとか、考え過ぎて気遣って当たり障りのない事ばっか書いてた。」
-ゆくえ「そうなんだ。」
-美鳥「私はみんなと二人ずつで出会ったから。それはそのまま変わらなくていいの。仲間に入れなくていいし、むしろ、よかった。
-ゆくえ「よかった?」
-美鳥「この四人が出会えたって思うと、今まであったこと全部、意味があったって思える。よかったって思える。それくらい四人が仲いいんだもん。」
-ゆくえ「椿さんちが、また美鳥ちゃんの塾になったら、時々一人で遊びに行ってもいい?」
-美鳥「うん!来て。待ってる。」

時間が来て、別れる二人。「行ってらっしゃい。帰ってきてね。」とゆくえ。「行ってきます。」と美鳥。

二人組が好きだという美鳥と、少し驚くゆくえ。
美鳥と自分は似ていると思っていたゆくえは、美鳥も二人組って苦手だと思っていたんじゃないかな。
似ているようで、違うところも当然あって、でもお互い否定もせず、尊重する。

美鳥の言う、「自分のためだけに相手がいる感じ」というのは、美鳥がその生い立ちからきっとずっと求めていたものなんだろうな。
それが手に入ると思えて結婚したんだろうけれど、うまくいかなった時、相当辛かっただろうな。
でも、美鳥にとって、その安心する二人組の相手が、椿であり、ゆくえであり、夜々であり、紅葉であったこと。
その四人が、今出会って四人組になっていること。
不思議な縁ですよね。
ドラマチックだけど、こういうことって、自分が知っている範囲内でも知らない世界線でも、意外とあるかもしれないですよね。

本当に、鳥のように、椿、ゆくえ、夜々、紅葉、それぞれの場所を訪れて、出会って、また飛び立って、また戻って来た美鳥ちゃん。
どうかこのまままたどこか知らない場所へ飛び立ってしまわずに、自分の居たい場所を選んでほしいな。

ゆくえと別れて歩き出した美鳥の表情は、何かを決意しているようにも見えました。

五人の時の、四人と一人だった違和感を、しっかり口に出して伝えた美鳥。
これ結構リアルでよかったなぁ。
四人のことは尊重していて、でも私はそこに加わって五人組にならなくていいと言える美鳥。
単純に気まずいからということではなくて、四人は四人でいればよくて、自分は、美鳥は、これまで通りそれぞれの一人と二人組をつくってまた会えたら嬉しい。それが居心地が良い。
下手に五人で仲良くウェーイとかにならなくてよかった。
いやこの脚本はそうはならないとは信じていたけど、よかった。

このお見送り、ゆくえはあえて一人で来たんだろうな。
「行ってらっしゃい。帰ってきてね。」で送り出したゆくえ。
ゆくえも椿と同じように、美鳥が椿宅に戻りたいのなら、戻ってほしくて、自分たち四人組がそれを躊躇わせる理由にはなりたくないって思っているんでしょう。
夜々と紅葉もそうだとは思うけど、二人はどこかまだちょっと少し無邪気だから。
年上組の椿とゆくえが、同じ気持ちで美鳥を思っているのが、嬉しいです。


さてさてもう次回10話ですよ…なんてこった…終わってしまう…
この家が、美鳥が、四人が、どうなるのか。
どんな答えでもいいけれど、全員想い合って幸せでいてほしい。
来週も楽しみです。

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