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【春になったら】第2話:細かすぎるあらすじ&感想

春になったら
第2話 2024/1/22(月) 22:00~

今期のドラマの中で今のところ1番泣いているドラマ、「春になったら」。
第2話のレポートです。

※ネタバレがありますので気になる方はご注意ください。




●「春になったら」第2話

1-1. カズマルくんとの出会い

1年3か月前の回想シーン。
喫茶店にいる瞳、そこに偶然一馬が来店し、隣の席に座る。気付いた瞳は一馬の様子を伺いながら、タイミングを見て「カズマルくんさんですよね」と声をかける。
ライブを見て感動した、カズマルくんさんのファンですと伝える瞳。
自分のファンだと聞き驚く一馬。

現在、瞳、美奈子、圭吾の3人でもんじゃ焼き屋にて食事をしながら、瞳の結婚前にやりたいことリストについて話し合う。
雅彦の余命についての話になり、結婚を考え直した方がいいんじゃないかと言う圭吾。

雅彦は相変わらず実演販売の仕事をしており、今日も売れ行きが良く好調。
社長の中井とは長年の良いコンビで、中井から「生涯現役でお願いしますよ」と言われ、微妙な表情をする雅彦。
仕事を終えて家の前に着いた頃、腹痛に見舞われ、息を整えてから平然を装って家に入る雅彦。

カズマルくんとの出会いの回想シーン。
1年3か月前、お笑いライブのすぐ後に喫茶店で偶然居合わせたところから、二人の関係が始まったことが明かされました。
前回1話のレビューにて、

>瞳がどこかから地元に1年前に戻って来たとして、
>その戻って来た経緯に何かがあったとして、
>1年前に戻って来た瞳を元気づけるために、
>圭吾と美奈子は瞳をお笑いライブに誘ったのかもしれません。

上記のように書きましたが、その1年前のライブをきっかけに、きっと何か心を打たれて感動した瞳は、カズマルくんのファンになったんですね。
カズマルくんの決め台詞、「ドンマイドンマイ、僕は好きだよ」のフレーズを瞳は気に入っているようなので、この言葉に心を打たれた過去があったのかもしれません。

もんじゃ焼きや実演販売。
日常が描かれるその中に、雅彦の腹痛が訪れる。
変わらないような平凡の日常の中に、しっかりと病の影が訪れていることが表現されています。


1-2. 死ぬまでにやりたいことリスト

帰宅した雅彦。瞳は余命半年を宣告されてから8年元気に過ごしているという人のブログを見つけ、雅彦に見せるが、雅彦は治療を拒否する姿勢を崩さない。頑固な父と話を続けても無駄だと思った瞳は、薬を処方している医師について雅彦に聞き出す。

雅彦は、「死ぬまでにやりたいことリスト」を瞳に見せる。
・伊豆に行く!
・神に謝る!
・遊園地ではしゃぎまくる!
・友だちを呼んでホームパーティー!
・タイムカプセルを開ける!
・英語をマスターする!?

リストを見た瞳は、死ぬまでにやりたいことがこれかと驚く。

-瞳「ねえ、本当に治療受けないの?まあ変わってる人だとは思ってたけど…いいの?私、かずくんと結婚しちゃうよ?反対するんだったら長生きしなきゃね。」

そう言われた雅彦は、「カズマルを瞳から追い払う!!」とリストに書き足す。呆れた表情の瞳。

死ぬ前にやりたいことリスト。
いざ自分が何かを書くとしたら、何を書くだろうか。

雅彦のリストは、どれもたいしたことなさそうに見えるものばかり。
神(じん)に謝りたいということですが、どのような存在なのか、次回以降への伏線ですね。
このリストを叶えていきながら、物語が描かれていくのでしょうか。

伊豆や遊園地は、死別した妻・佳乃との思い出が関わっていそうです。
タイムカプセルについて瞳が聞いた時に雅彦は濁していたので、このタイムカプセルにも、佳乃との思い出が絡んでいるかもしれません。

このリストの話をしながら、みかんを食べるくだりがあるのですが、雅彦が「食べる?」と聞き、「食べる」と答える瞳。
ここの2人のお芝居がリアルな親子そのものでした。
まだ2話ですが、もう完全にこの二人は、長年過ごしてきた親子に見えますね。


1-3. 第5段階

公園で遊ぶ一馬と、息子の龍之介。その様子をベンチから眺める瞳。
治療を受けずに痛みを薬でおさえると決めた雅彦を思い出している。
一馬は、癌を告知された患者がそれを受け入れるまでに5段階で定義したというある精神学者の話を瞳にする。
1.否認 → 2.怒り → 3.取引 → 4.抑鬱 → 5.受容。
雅彦が、昨年の12月に診断されて以来、1ヶ月足らずで第5段階まで進んでいることを不思議に思う一馬だが、瞳は心当たりを思い出す。

12月半ば、癌を告知された頃、ぼーっとしている様子だった雅彦。
料理をしながらやけに苛々していた雅彦。
おばあさんをおんぶして歩道橋を渡り腰を痛めていた雅彦。
テレビが全然面白くないとため息をついていた雅彦。
そして、治療を受けないと決めた雅彦。
雅彦なりに5段階を踏んでいたのかもしれないと思う瞳と一馬。

雅彦は瞳の前では常にあっけらかんとしている。
その様子に戸惑う瞳ですが、雅彦はたったひとりで、第5段階までの変化を踏んできていたのかもしれません。
娘に心配させまいと振舞いながら、自分の命と向き合う。
どんなに辛かったでしょうか。
父親として気丈に振る舞いながら、どん底まで落ちて、最後の過ごし方を決意した雅彦。
その想いが丁寧に描かれていくことを期待します。


1-4. 雅彦の娘

桜鈴会病院の緩和ケア医、阿波野の元を訪れた瞳。
雅彦が治療を受けないと決断したことに、納得出来ず受け止められないと相談する瞳と、真摯に話を聞く阿波野。
気持ちは分かるという阿波野に対して、なぜ父を説得してくれなかったのかと尋ねる瞳。
阿波野も、まだ若い年齢で痛み止めのみの処方を求めた雅彦に驚き、本当に死を受け入れているのか疑問に思うことがあると話す。
阿波野と話をしながら、自分の結婚をどんどん進めていけば、それに反対することが雅彦の生きる理由になるのではないかと思いつく瞳。
マシンガントークを繰り広げる瞳を前にした阿波野は、戸惑い、「椎名さんのお嬢さんだ」とぽつりと呟く。

一馬と挙式場へやってきた瞳。「阿波野先生はいい人だった」と話す。
挙式担当の黒沢がやってきて、打ち合わせを開始する3人。
もともとは親族と親しい友人のみのささやかなパーティーの予定だったが、人数を増やし、新婦から父への手紙や、一馬の仕事関係のゲストの余興など、演出も増やしたいと、父にプレッシャーをかけるために急にプランを変更しようとする瞳。

阿波野先生の前でものすごい勢いで話し出す瞳。
挙式の準備で急に浮かんだアイディアを実行しようとする瞳。
雅彦と対立しながらも、やはり娘、雅彦と似たような突っ走るクセや、止まらないお喋り、行動力など、親子だなと思わせる表現が続いたシーンでした。

瞳にとって、治療を受けないという雅彦の選択は、生きることを諦めるのと同じこと。
それが理解出来ず、なんとか生きる理由を与えてやりたいと奔走する瞳です。
でも、やはり親子。似たようなところも、共感できるところもあるでしょうから、雅彦がその選択をした想いを、時間をかけて瞳は理解していくのだろうと思います。
おそらく雅彦にとって、治療を受けないという選択は、残された時間を生き抜くための選択でしょうから。


1-5. 結婚式の司会

職場の葬儀場にて、通夜の進行を担当している圭吾。
瞳からのメッセージ通知にスマホを開くと、「岸くん、結婚式の司会やってくれない?」と一言。

美奈子と合流し、店の順番待ちをしながら、司会を受けたくないと話す圭吾。
-美奈子「まだ瞳のこと諦めてないの?告白しなかった自分が悪いんでしょ。ぐずぐずしてたから取られちゃったんじゃない?」
-圭吾「やめといた方がいいって言ったのは美奈子だろ?フラれたら友達関係もなくなっちゃうからって。」
-美奈子「それは言ったかも。でも実際今でも3人仲良しじゃん。」
-圭吾「瞳はカズマルと結婚するんだぞ。なんで俺が結婚式の司会やんなきゃいけないんだよ。式に出るつもりもなかったのに。」

まきの元を訪れた瞳は、まきにある作戦への協力を頼む。
帰宅し、風呂に入っている雅彦に、ドア越しに話しかける瞳。
雅彦は、リストに書いた伊豆へ瞳と一緒に行きたいと話す。
瞳はそれを承諾する代わりに、その前にカズくんに会ってほしいと頼む。
のぞむところだ、諦めさせてやる、と答える雅彦。

圭吾くん、通夜中にスマホを見てはいけません!(笑)
日中に連絡が来ることがあまりなく、お父さんのこともあり何事かと驚いて確認したのかもしれませんね。
好きな人の結婚式の司会をするなんて、なんとも切ない立場です。

圭吾は美奈子を気軽に呼び出して、食事をしたり愚痴を言ったりするのでしょうが、美奈子はおそらく圭吾のことが好きですから、美奈子は美奈子で辛い立場ですね。
その想いにはまったく気づいていなそうな圭吾くん。ずるいなあ。
いつかこの2人の関係も変化するのでしょうか。

美奈子が圭吾のことを好きだということは、直接的に言葉で描かれているわけではありませんが、表情や視線から感じられます。
美奈子が想いを寄せる相手が瞳という説もありますかね?
瞳にとっては圭吾はただの友達ですから、この二人が結ばれることはないように思いますが、今後どうなっていくのか注目です。


1-6. 作戦決行

一馬との顔合わせにやってきた雅彦。会場にはまきもいる。
緊張した様子の一馬と、一馬を威嚇する雅彦。
自分の経歴について話す一馬。
子どもの頃からお笑いが好きで、将来の夢はお笑い芸人だった一馬。
一方で一馬は、「八王子の神童」と呼ばれるほど頭が良く、なぜだか勉強が出来て、先生に勧められるがままに東大に入ったとのこと。
夢を追うため、在学中からお笑いライブに出演していた一馬だが、2年生の時に相方が辞めると言い出したことを機に、ピン芸人になり大学を中退。
20代半ば頃まではウケていたが、東大中退だけが売りではうまくいかなくなってしまった。そこから芸風を変えつつ今に至るという。

話を聞き、「君には毒がない」と、カズマルの決め台詞を持ち出し、お前は売れないと否定する雅彦。
-瞳「お笑いには毒がなきゃいけないの?ほのぼのして笑っちゃうお笑いだってあっていいでしょ?」
-雅彦「そりゃいいさ。お前と何の関係もねえやつだったらな。でもそいつと結婚したいって言い出したら話は別だよ。東大中退した時点で勘違いしてんのに、自分の芸が面白いと思ってることも勘違い。実際売れてもいないのに人の大事な娘と結婚したいって言い出すのももっと勘違い。」
-一馬「僕も…瞳さんからプロポーズされた時はもうびっくりしました。」

一馬の発言を聞き、瞳からプロポーズしたことを知り、驚く雅彦とまき。
前妻には浮気されたことも知り、ますます一馬との結婚に反対する雅彦。
カズくんとどうしても結婚したい、人として尊敬していると宣言する瞳。
今からでもまっとうな職につけるはずだという雅彦に、お笑い芸人は辞めないと強い口調で話す一馬。
3か月後にいないあんたには止められないわと話すまき。
話にならないと席を立ち、その場を去っていく雅彦。
雅彦を見送り、「上手く言ったかな?」とまき。
作戦は成功しただろうと話す3人。
結婚を許さないということをモチベーションに、なんとか治療を受けてほしいと願う、3人の作戦だった。

一馬がただ頭がいい人だったというオチには笑いました(笑)
一馬にとっては、ステータスよりも、自分の夢であるお笑いをすることが人生において大切だったんですね。
自分自身の生活や、息子の事、瞳の事を考えると、収入や将来を考えたら、普通の職についた方が良いかもしれない。
それでも、信念を持ってお笑いを貫いている一馬が、この物語の中では瞳や雅彦に影響を与えていくキーパーソンになると思います。
命と笑いがテーマの軸にある脚本。"笑って泣ける"の定番ですね。

雅彦は、一馬の収入や生活力が心配なのだということも改めて描かれました。
自分の大切な娘と今後生きていく存在。
自分が居なくなった後に、大切な一人娘のそばにいる存在。
だからこそ、瞳には苦労をかけたくない、辛い思いをさせたくないという親心で、せめてまともな職についてほしいという父親らしい願いが見えました。
母親を幼いころに亡くし、自分も余命わずかとなり、これ以上瞳には苦労をかけたくない。そんな思いがあるのだと思います。


1-7. 伊豆の海

助産院で、若い妊婦の診察をする瞳。まだ結婚や出産を頭の固い父親に反対されていると話す彼女に、うちと一緒だと話す瞳。
帰宅すると、リビングのテーブルに雅彦からの書き置きが。
「瞳へ!今度の火曜日伊豆に行こう!!カメラを忘れずに」と書かれており、瞳は自分の部屋の奥にしまい込んだ一眼レフを久しぶりに取り出す。

火曜日になり、伊豆の海にやってきた雅彦と瞳。
雅彦が大学3年生の頃にアルバイトをしていた海の家があったのがこの場所で、その時に隣の海の家でアルバイトをしていた佳乃と出会ったと話す雅彦。佳乃には雅彦の一目ぼれだった。
-雅彦「とにかく毎日挨拶してさ、時々ちょっとだけお話し出来て。ま、それだけ。夏の終わりのアルバイトが終わるって時に電話番号を聞いたんだよね。」
-瞳「それで付き合い始めたんだ?」
-雅彦「いやいやいやいや、時々会ったりすることはあったんだけど、完全に俺の片想い。好きな人がいるとか言って相談受けちゃったりするから、頑張れとかさ、応援したりして。」
-瞳「えーなにそれ。」
-雅彦「切ないだろ?そん時切なかったんだよ。」
-瞳「え、お父さんとお母さん結婚したのいつだっけ?」
-雅彦「俺が31で、お母さん29歳。付き合い始めてすぐ。」
-瞳「うん、そうだよね?…え、それまで10年かかったの?」
-雅彦「10年間ずっと片想い。」
-瞳「はー。1回も告白しなかったの?」
-雅彦「いやいやいや、出来なかったんだよね。でもさ、お母さんいつからかな、なんか気付いてたんだって。で、俺の誕生日の日に言ってくれたんだよね。もう友達じゃなくていいよって。あなたは私の大事な人だからって。信じられなかったよ。なんか天にも昇る思いっていうか、心地って言うの?」
-瞳「初めて聞いた。お父さん凄いじゃん。10年片想いしててそれを実らせるなんて。」
-雅彦「まあ友達からはさ、途中いい加減諦めろよとかさ、目覚ませとか散々言われたんだけど、ほんと、ほんと諦めなくてよかったよ。」

死ぬ前にこの場所に絶対に来ておきたかった、瞳にも教えてあげたかったと話す雅彦。雅彦は瞳に、二人でこの場所で撮った写真を見せる。佳乃のお腹の中には瞳がいる。
リストをひとつ叶えられてよかったねと話す瞳。

-瞳「お父さんは、お母さんのどこ好きになったの?最初に好きになった理由。」
-雅彦「最初にってさ、まあ一目ぼれだからさ。理由なんかないよ。」
-瞳「私は覚えてる。カズくんを好きになった瞬間。"ドンマイドンマイ、僕は好きだよ"。お父さんはつまんないって言うけど、私はあれに救われたの。あの頃、まだ病院で助産師やってた時、うちに通ってた妊婦さんが急にお腹が痛いって運ばれてきたの。切迫流産。ドクターすぐに処置してくれたけど、結局赤ちゃんはダメだった。その人ね、私と同い年で赤ちゃんが出来たことすごく喜んでて。私にいろんなこと話してくれてたの。だから思わず言っちゃったの。「気付いてあげられなくてごめんなさい」って。そしたら、旦那さんがそれ聞いてて、病院にミスがあったんじゃないかって。訴えるって言い始めて。ドクターや先輩達からは、「どうしてそんな軽はずみなこと言うんだよ」「いちいち同情してどうすんの」。結局訴えは取り下げてもらえたんだけど、でも、院長先生にも病院に迷惑がかかるような言動は二度としないようにって言われて、なんか私、もう病院に行くのが辛くなっちゃって。全然知らなかったでしょ?お父さん。」
-雅彦「なんで言わなかったんだよ。」
-瞳「だって、相談したって心配かけるだけだと思ったし。でもね、その時にドン底にいた私を救ってくれたのがカズくんだった。」

当時、美奈子と圭吾と見に来たお笑いライブに出演していたカズマル。
フリップ芸をしながら「ドンマイドンマイ 僕は好きだよ」のネタをするカズマル。それを見て、思わずくすっと笑った瞳。笑いながら、涙がこぼれて止まらない。笑い泣きをしながら、カズマルのネタを見る瞳。

-瞳「優しい人だなって思ったの。私のこと慰めてくれてるように思ったの。私、やっと笑えたの。あの時。それがきっかけで、私は病院を辞めて、助産院に移った。カズくんのドンマイドンマイ聞いてたら、私はまだこの仕事を続けられるって、そう思えたから。カズくんといるとほっとするの。自分まで優しい気持ちになれるの。今はまだ経済力もないしバツイチ子持ちだけど、でも、大好きなの。お父さんがお母さんのことをずっと好きなように、希望がなくてもずっと片想いし続けたみたいに、私もこの気持ちは変わらない。」

静かに話を聞いていた雅彦。「写真撮ろう」と言って立ち上がる。

伊豆の海、やはり佳乃との思い出の場所でした。
自分がいなくなる前に、瞳には母親の佳乃の話を出来るだけしてあげて、思い出の場所を増やしてあげたい。
何かあったら、拠り所となるように。
そんな父親らしい雅彦の思いが感じられました。

雅彦は一途にずっと片想いをして、やっと佳乃との恋を実らせた。
どんなに雅彦に反対されても一馬への思いは変わらないという瞳にも通じますし、瞳に長年片想いをしている圭吾や、おそらく圭吾へ片想いをしている美奈子にも繋がります。
この物語、いつも誰かが片想いをしていますね。
誰かを想い続けること。誰かに想われ続けること。その想いが実ること。
どれも素敵なことで、いかに幸せなことか、考えさせられます。

瞳がこの街に戻って来た経緯についてもここで明かされました。
やはり瞳は、1年3か月前に見たカズマルくんのネタに救われていましたね。
人って、弱ってしまった時に差し出された手の優しや、光の温かさを、忘れられないものです。
周りから見たらたいしたことなくても、理解されなくても、"あの時救われた"という記憶は、ずっと支えになる大切なもの。
それさえあれば生きていけるくらい、時に本当に強いもの。

カズくんは、売れない芸人、バツイチ、子持ち。
こんなワードだけ並べたら、確かに結婚相手としてはふがいない。
そんなことは瞳もわかっている。
でも、"あの時救われた"という事実がすべてに勝る。
自分にとって大切な人と、生きていきたい。そばにいたい。
「幸せになりたい」「結婚したい」という表面上の思いではない、ただ一緒にいたいというシンプルな愛が感じられます。
静かに瞳の話を聞いていた雅彦。雅彦も、そんな瞳の気持ちは理解しているのでしょう。
だからといってはいOKですと、経済力や現実的なことを考えるととてもすぐに言えないのが父親だと思いますが、こうして伊豆にやってきて、ゆっくり話を出来た二人に、またひとつ進展がありそうですね。

瞳が病院での出来事を雅彦に話さなかったのは、心配をかけたくなかったから。
余命宣告を受けてから受け入れるまでの間、雅彦が瞳に相談せずに治療を受けないことを決めたのも、瞳に心配をかけたくなかったからですよね。
この親子も、ずっと片想いのようで、ずっと両想いですね。


1-8. お前の父親でいたい

カメラのファインダーを覗きセッティングする瞳に、雅彦が話しかける。

-雅彦「信じるよ。お前に辛い時があったことも、あいつの芸に救われたってことも信じる。でも、わかってんだぞ俺は。お前は俺に治療を受けてほしいんだろ。だから姉ちゃんと一緒になって俺を脅かしたんだろ。私の結婚相手はこんなダメ人間ですって。でもさ瞳、治療受け始めたら、俺はもう癌と闘うだけの人になっちゃうんだ。それでさ、1年は2年生きたってなんの意味があるんだろ。それだったら残り3か月俺は仕事をしていたい。やり残したことを思いっきりやりたい。お前の父親でいたい。俺だって告知されてショック受けて、なんで俺がって腹立って、癌が消えるならさ、なんでもするって神様にお願いして。でもさ、やっぱりどうにもならないって落ち込んでさ。ああ、最後は受け入れたんだ。わかってくれよ、瞳。わかってくれよ。ああ、ごめん。ごめんごめん!瞳、撮ろう!こっち来い!撮るよ!」

涙を浮かべながら雅彦の元に走り、2ショットを撮る二人。
シャッターが切れると同時に、襲ってきた腹痛に倒れてしまう雅彦。

伊豆の海が素直にさせて、雅彦も本音を話しました。
相変わらずあっけらかんとした姿勢を貫いて話す雅彦ですが、瞳はその言葉を受けて、ファインダーを覗きながら、涙をこらえることが出来ませんでした。
お父さんが、思った以上にいつも、お父さんなんですよね。
自由に生きているようで、頑固なようで、愛情深くて、瞳を愛してる。
瞳はまだ、5段階を踏むには時間がかかるけれど、治療は受けないという雅彦の意思がとても固く、いい加減に決めたものでも、頑固で引き下がれないわけでもない、死に方ではなく生き方の決心なのだということが伝わりました。

最後、痛みに苦しむ様子で第2話は終わりましたが、今後病状の進行に応じて瞳の前でも苦しむであろう雅彦、親子でどう生きていくのか、見守っていきたいです。

こういう海辺でのシーンって、恋人同士でよくありますが、親子での海のシーンもとても美しかったですね。
カメラのファインダーというひとつのフィルターを通して、いつも以上に深く伝え合えた二人という演出も見事でした。
瞳が取り出した一眼レフで、残り3か月、たくさんの思い出を残していくのだと思います。
第1話で写真展を訪れた際、圭吾くんが瞳の写真好きだったと話していました。
美奈子も、瞳が一番上手いって先輩達も話していた、と言っていました。
カメラや写真が物語の中でどう活かされていくのかも見どころです。

あっという間に終わってしまった第2話でした。
来週も楽しみです。


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