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【silent】第4話 こまかすぎるあらすじ&感想

昨年2022年10月期に放送され、社会現象にもなったドラマ「silent」。
ドラマ大好きな私はもちろん当時も見ていましたし、何度も録画も見ましたし、シナリオブックも購入し、ついには円盤も購入してしまいました。
1年が経ち、Blu-rayでディレクターズカット版を観直しているのですが、本当に大好きな作品です。
当記事では「silent」第4話のあらすじ&感想を好きなだけ語っています(笑)


●「silent」概要

公式サイト

放送時期、キャスト、スタッフ

【放送時期】2022年10月期 フジテレビ 木曜22時
【キャスト】青羽紬役…川口春奈さん、佐倉想役…目黒蓮さん(SnowMan)、戸川湊斗役…鈴鹿央士さん、桃野奈々役…夏帆さん、佐倉律子役…篠原涼子さん 他
【脚本】生方美久さん
【プロデュース】村瀬健さん
【演出】風間太樹さん、高野舞さん

●「silent」第4話

4-1. 湊斗くんがよかった

高校時代、カフェで紬の弟について会話をする想と紬。紬と湊斗は中学時代からの友人で、ご近所でもあり光は湊斗に懐いている。
時間が遅くなり、家に一人でいる小学校6年生の光のことを気にかけ、帰ろうと紬に促す想。まだ大丈夫だと嫌がる紬。想に促され、光に連絡を入れようとするがスマホの充電が切れていた紬。渋々応じて帰宅することに。

自宅で一人留守番中の光。紬に電話をかけるが繋がらない。
近所を一人で歩いていた湊斗、一人で歩いている光を偶然見つける。
駆け出した光が、トラックに轢かれそうになり慌てて駆け寄る湊斗。

カフェを出た想と紬。湊斗から想へ着信。

湊斗の自宅を慌てて訪れた紬と想。湊斗と待っていた光に「ごめんね、大丈夫?」と声をかける紬。
母親の帰宅が遅い中、自分の帰宅も遅くなるなら光が不安がらないよう連絡を入れるべきだと、紬に注意する湊斗。謝り、光と帰ろうとする紬だが、光が嫌だと言って応じない。

-想「光くん、ごめん。俺が引き止めちゃって。お姉ちゃん帰ろうとしてたんだけど、俺が引き止めたから遅くなっちゃって。」
-湊斗「…だって。姉ちゃんちゃんと帰ろうとしてたんだって。」
-想「ごめんね。」
-湊斗「想、青羽送ってって。光お腹減ってるって言うから、何か食べさせてから家送ってく。」

帰宅した想と紬。何を食べたいか光に聞く湊斗。「湊斗くん」と答える光に「湊斗くんは食べられません」と笑う湊斗。

-光「湊斗くんが良かった。姉ちゃんの彼氏。」

「それ姉ちゃんに言っちゃだめだよ」と優しく言い、光の頭を撫でる湊斗。

前半の想と紬のシーン。
放課後に二人でこうしてよく会ってデートしていたんでしょうね。
早く帰ろうと促されて嫌がる紬が、佐倉くんともっと一緒にいたいという感情に溢れていて、とても可愛らしかったです。
それを可愛いなぁと思いながらもクールに帰ろうと促す想がイケメン彼氏でした。

母子家庭で、母親が遅くまで働いている環境だった紬の家。
小6とはいえまだまだ子どもな光を、紬は時に母親代わりのように面倒を見ていたのだと思います。
湊斗はご近所さんということもあり、紬とも仲が良いですし、"姉ちゃんの友達"として、光もよく湊斗に懐いていたのでしょう。

想と付き合うようになって、紬が想と放課後デートすることが増えたのかな。
お姉ちゃんの帰りが遅くて、連絡しても繋がらなくて、車に轢かれそうになって怖い思いもした。
そんな光くんにとって想は、"大好きなお姉ちゃんをとられた"という感情を抱く対象になったのだと思います。

お姉ちゃんに対してそんな思いを抱き、拗ねた様子の光を見て、想は咄嗟に、自分がお姉ちゃんを引き止めたと嘘をつきました。
想くんが、こんな風に周りの気持ちを汲み取ることが出来て、人のためであれば嘘もつく性格、そして、いろいろ吞み込んで"俺がかぶればいい"と黙って行動する性格であることの描写ですね。

湊斗は、そんな想の表情を見て、それが嘘だとすぐ気付きました。
紬は、申し訳なさそうにしながらも黙ってしまう。光には申し訳ないことをしたと思っているし、湊斗と想に対しても申し訳なさしかない。一方で、紬だってお姉ちゃんとはいえまだ高3で、やっと大好きな佐倉くんと付き合えた頃。なんで自分ばかり我慢しなければいけないのかという感情もあったと思います。

そこで優しくフォローにまわる湊斗。「姉ちゃんの彼氏は湊斗が良かった」なんて無邪気に言われても、寂しそうに笑って優しく光に接する湊斗でした。切ない。

光にとって想は、大人になったこの時点でも、"なんかちょっと嫌な人"という感じがしますよね。
きっと、光にとって想は、姉ちゃんと付き合い始めた頃に姉ちゃんを自分から奪った人。そして、その後一方的に姉ちゃんを振って傷つけた人。そして、今は姉ちゃんと湊斗の仲をかき回すかもしれない存在。
一方、光にとって湊斗は、いつも優しかったお兄ちゃんで、紬が想に振られて傷ついた時も、仕事でボロボロだった時も、姉ちゃんを支えてくれた人。
光にとって一番は、姉ちゃんが幸せであることですが、想に対する印象がどうしても今の時点ではこうだから、紬と再会して突然毎日の中に入ってきた想に対して、不安を抱いているのだということが分かります。
冒頭の何気ない回想シーンですが、とても重要なシーンでした。


4-2. 自分でちゃんと伝えた方がいい

現在。第3話ラストシーンの続き。紬の自宅にて、家を飛び出した湊斗と、湊斗を追いかけていった紬。自宅に二人きりで残されてしまった想と光。
帰ろうと立ち上がる想に気付き、「だめ」と声をかける光。
-光「だめ。佐倉くんジャマだから。ジャマしないで。」

路上にて、紬と湊斗。泣いて蹲っていた湊斗が立ち上がる。
-湊斗「ごめん。想に謝っといて。色々勝手に喋って、多分なんも伝わってないから、別に怒ってないし大丈夫だからって、適当に説明しといて。」
-紬「自分で話した方がいい。自分でちゃんと伝えた方がいい。
-湊斗「俺話せないし…紬の方が…」
-紬「私が話したんじゃ意味ない。伝わんない。

光は、外に出た想が紬と湊斗と遭遇してしまうことを避けようとして引き止めたのでしょう。心の中には少し、紬と湊斗の関係が想のせいでこじれていってしまうことを危惧しているようにも感じられました。

湊斗と紬のシーン。「私が話したんじゃ意味ない。伝わんない。」の台詞は結構心に残りました。
想が難聴だから、手話が必要だから、ということではなく、相手が誰であろうと、本当に大切なことは自分の言葉で伝えなければ相手に届かない。
心を通じ合わせるためには、言葉や手段ではなく、心で向き合うことが必要だから。
今は、想と湊斗は、話すべきとき。
純粋に、親友だった佐倉くんと戸川くんに、またもとに戻ってほしいと願っていた紬からの、大切なメッセージでした。


4-3. ちゃんと話せば大丈夫

湊斗を連れて自宅に戻った紬。気まずい4人の空気。
想と湊斗をおいてファミレスにごはんを食べに行こうと光を誘う紬。
「あとはよろしく」と湊斗に伝えて、出ていく紬と光。残された想と湊斗。
「青羽なんて?」と、湊斗にLINEを送る想。「二人で話せって」と返信する湊斗。そのままLINEで会話を続けようとする湊斗に、音声変換アプリを差し出す想。話始める湊斗。想はLINEで返事をする。

-湊斗「ごめん、紬、機嫌悪くて」
-想「なんか食べ行ったなら大丈夫」
-湊斗「そう、お腹減ってるとね、余計に」

笑い合う二人。

ファミレスで食事をする紬と光。紬はハンバーグを食べている。
-光「帰って死体あったらどうするよ?成人男性二人もどこ埋めるよ?」
-紬「なんでどっちも死んでんの。今頃私の悪口で盛り上がってるよ。」
-光「(笑いながら)元親友同士で?今カノと元カノの悪口で盛り上がってんの?ウケる。(真顔の紬を見て急に真顔で) 全然ウケない、なんも面白くない。」
-紬「あの二人はちゃんと話せば大丈夫。大丈夫。」
-光「だよね。仲いいもんね、元々は。わかってるよ佐倉くん、普通にいい人だって。ただ俺は湊斗派ってだけ。湊斗推しってだけ。」
-紬「うん、わかってる。」

紬がお腹が減っていると機嫌が悪くなること、なんか食べるってことは元気だってこと、想も湊斗もわかっていて笑い合うところが、微笑ましいけれどちょっと切ないですね。紬の事、二人ともよく見て、よく知ってる。

紬は、想と湊斗に対して、あの二人なら大丈夫と信頼している。
自分は二人にとって確かに"今カノ"であり"元カノ"ですが、あの二人なら、それは別として、二人の友情はちゃんと話せば再構築できると確信しているのでしょう。
ただ、二人が友人として元の関係に戻れば戻るほど、紬は自分の立場のことも考えてしまうようになりますよね。今後の展開に注目です。

光くんは光くんで、小6の時以来、佐倉くんに対してやや否定的な雰囲気を出してしまっていることを少し悪く思っているのでしょう。
でも、光が湊斗派だといつも言いきってくれることってこの物語の中ではちょっとした救いですよね。
紬と想のラブストーリーが主軸になる中で、湊斗は三角関係の悲しみを全背負いする役回りだけれど、湊斗を応援した視聴者は多いはず。
はぁ。展開を知りながら見ても、やっぱり切ない。


4-4. "湊斗"

二人で話す想と湊斗。ビールを飲みながらフットサルの話。以前のように笑い合っている。次のビールを冷蔵庫に取りに行った湊斗。そのまま声で話し続けるが、アプリが反応せず、想には何を言っているかわからない。
気付かず話し続ける湊斗の背中を見つめる想。勇気を出して、「湊斗」と呼びかける。その声にハッとして振り向く湊斗。アプリを見せる想。慌てて想のもとへ駆け寄る湊斗。

-湊斗「ごめん。独り言。気にしないで。」
-想「(声で)…喋った方がいい?」
-湊斗「(首を振り) 全然変わんない…。なんか、久しぶりでびっくりしただけ。名前呼ばれるの。喋りたくなかったから喋んなかったんでしょ。だったらいいよ。想が好きな方で。だってほら、俺はこうやって機械に頼って喋ってんだから、想も自分が好きなように話せばいいよ。
-想「(笑顔で頷く)」
-湊斗「想、ほんと全然変わんないね。」
-想「(LINEで) 湊斗も変わんないね」
-湊斗「何が?」
-想「(LINEで) 病気のこと、黙っててごめん。心配かけたくなかった。」
-湊斗「(泣きながら笑って頷き) 大丈夫。大丈夫。わかってる。」
-想「(LINEで)青羽にもちゃんと謝りたくて」
-湊斗「紬、大丈夫だよ。この3年、ずっと一緒にいたけど、全然大丈夫。ずっと元気。想の心配なんかいらない。付き合いだした頃、サッカー部のみんなから"なんでお前なんだよ"って。"釣り合わねぇよ"って言われたけど、でもなんか、周りがどう思ってても、俺も紬も、好きで一緒にいるから、任しとけ。…とまでは言えないけど、でも今の紬もちゃんと楽しそうだから。心配しないで。」
笑って頷く想。ほっとした表情と、複雑な表情が入り混じる。

想が初めて声を出した相手が、紬ではなく湊斗だったのが、本当に素敵でした(号泣)
すきな人、大切な人の名前を呼ぶって、こんなにも愛おしいことなんだね。
声を出すのをずっと躊躇っていた想。「湊斗」と呼びかける前も、かなり迷って勇気を出そうとしていましたが、そうやってでも呼びたかったほど、湊斗はやっぱり想にとっては大切な友達で、自分をさらけだせる数少ない友人だったのでしょう。

なぜ耳の事を自分にすら話してくれなかったのかとか、一方的に振って紬のことを傷つけて、とか、いろいろな感情が想に対してあったけれど、すべてここで浄化されたような表情の湊斗。
"ただ名前を呼んでほしかっただけ"だった湊斗。過去がどうとかじゃなくて、今、こうやって再会出来た想と、ただ前みたいに話したかっただけだったんだよね。それが、声でも、手話でも、LINEでも、なんでもいい。手段なんてなんでもよかった。ただ話したかっただけだった。よかった。話せて。号泣。

湊斗が紬のことを想に話したのは、想が一方的に紬を傷つけて姿を消したことに対して抱いている後悔を、"紬は大丈夫だよ"とそばで紬を見てきた身として伝えてあげたかったんだろうな。
そこにプラスして、今は俺がいるってことを伝えたかったようにも思うけど、それはなんだかどこか自分自身に言い聞かせているような気もする。
このシーンでは単純に、紬は大丈夫だし、みんな、紬も俺もみんな、前と変わっていないからねということを想に伝えたかったのだろうと解釈しておきます。

最後の想くんの表情は複雑でしたね。"青羽のこと紬って呼ぶんだなぁ"って思っただろうし、"自分の知らない3年間があるんだなぁ" "紬はもう湊斗の物なんだよなぁ" いろんなことを思っていそうで切ない表情でした。
紬を振って消えたのは自分なんですけどね。(小声)
再会しないつもりだったから、再会してしまって、想も自分の中で封印していた気持ちが膨らみだしていることに気付き始めたんだろうな。


4-5. 変わってなくてよかった

帰宅した紬と光。家に想の姿が無い。
-紬「…佐倉くんは?」
-光「(ふざけて) どこに埋めたの?」
-湊斗「(微笑んで) 東京湾に沈めたの。」
真顔でフリーズする紬と光。冗談だよと笑う湊斗。
想と何を話したのか聞く紬に、内緒と答える湊斗。コンビニに出かける光。

-湊斗「紬と付き合ってる以上、無理だと思ってた。想とまたああやって話すの。考えすぎだった。なんか気にしてるこっちが恥ずかしい感じだった。」
-紬「(笑いながら) 紬は任せとけ!くらいのこと言った?」
-湊斗「言った言った」
-紬「えー、ダサ、はず」
-湊斗「想、高校の時から全然変わってなかった。そのまんまだった。」
-紬「わかる。なんかさ、話してみると、あ、佐倉くんだってなるよね。」
-湊斗「変わってなくてよかった。想があんな感じならこっちも気遣わなくていいっていうか。紬の事一番に考えられるっていうか。」
笑い合う二人。

コンビニで想と偶然会ってしまった光。買った缶ビール4本を光に渡す想。
「1本負けてあげる」と想に1缶を無理やり渡す光。
「車に気を付けて」と言い残して去っていく光、笑顔で背中を見送る想。

紬と湊斗の間で少しぎこちなかった空気感が、ここでほどけた感じでほっこりするシーンでした。
冒頭の、東京湾に埋めたと言った湊斗にフリーズする紬と光が可愛かったです(笑)

湊斗はここで1回、想と再会して話せたことで、自分の中にあった"想と紬"の二人に対するモヤっとした思いが払しょくされたのでしょうか。
想とは友達としてまた元通りに。そして紬とは恋人としていつも通りに。
そうやって過ごしていけそうだと、心から思ったのかなと思います。
そんな湊斗を見て、紬もほっとした様子でよかったです。

光くんも、思ったよりこじれず、みんなそれぞれモヤっとしていたものを解消できた様子の3人を見て、嬉しかったんだと思います。
大切な姉ちゃんと、大好きな湊斗くんと、その二人の大切な人の佐倉くん。
この3人がまた仲良くなって姉ちゃんが笑ってる。嬉しかったね。
佐倉くんにビール1缶を渡す光くんの、ちょっと素直になれない感じが可愛くて。
想くんは、光が小6の時の出来事以降、自分はあまり光くんに好かれていないと思っていたから、ビールを1缶渡してくれた光くんを見送る目が、とても嬉しそうで優しくて、ほっとした気持ちが伝わってきました。


4-6. 始めちゃうと終わっちゃう

別日、手を繋いでデート中の紬と湊斗。すれ違った犬に駆け寄り嬉しそうに撫でる紬。湊斗がふと向けた視線の先に、奈々と並んで歩く想を見つける。
湊斗に気付いた想だが、「ねぇ湊斗見て」と、想に気付かない紬は湊斗の手をとり湊斗を犬の横にしゃがませる。そんな二人を見て、少し切なく微笑んで歩き出す想。紬に彼氏がいること、その彼氏が想の友達であることをここで知った奈々。

その後、引き続きデート中の紬と湊斗。ペットを飼いたいと話す紬に、「いつか死んじゃうよ、悲しいよ」と渋る湊斗。

-紬「湊斗、付き合い始めた頃も言ってた。始めちゃうと終わっちゃうって話。いつか別れること考えちゃうから女の子と付き合うの勇気いるって。付き合い始めた彼女に言うなよって思ったけど。」
-湊斗「なんかぬるっと付き合い始めちゃったから。…もし別れても、別れたとしても、別れるまでに楽しいことがいっぱいあったら、それでいいのにね。
-紬「うん。別れないのが一番いいけどね。」
-湊斗「そうだね。」

もう想くん完全に紬好きじゃんか。苦しそう。
はぁ…。想くんか湊斗かなんて、私、選べないよ…(お前じゃない)

"始めちゃうと終わっちゃう"の会話中、湊斗は何か思っているような、特に思っていないような、なんとも言えない穏やかな表情で淡々と話していました。
紬は、一瞬何かを感じ取った様子を見せつつも、別れないのが一番いいねと話して、二人は手を繋いで歩いていきました。

湊斗は、想と再会出来て、自分と紬との関係がこのまま続いていけると自信をもったのは事実だと思います。
でも、想と会ったり、こうして何かきっかけがある度に、少し揺らいでしまうところもあるんだろうな。
そんな簡単に人の気持ちって変われないし決まらない。そのリアルさが感じられます。
そもそも、付き合い始めたら別れる前提っていうのも、自己肯定感の低い湊斗すぎて…。


4-7. 友達

想の自宅。湊斗から「なんか無視したみたいでごめん」とLINE。「こっちこそ」と返す想。「一緒にいたの彼女?」と聞かれ、「友達」と返す想。
「一緒にいたの彼女?笑」と湊斗に冗談を送ったが、切なくなる想。

紬の家にて、紬・湊斗・光の3人。湊斗が明日想と二人でごはんに行くと伝える。嬉しそうにする紬と、他の高校時代の友人とも会わせたいと相談する湊斗。サッカーの方が気軽に会えるのではないかと提案する紬。
二人の会話を聞きながら、何か心配そうな表情の光。

別日。友人と二人で歩く奈々。想と付き合っていないのかと聞かれ、「都合よく会ってくれる友達としか思われていない」と笑う奈々。
「しょうがないよ、私たちと違うもん。つい最近まで聞こえてたんでしょ?理解し合えないことあって当たり前だよ。」と友人。

もう想くん完全に紬好きじゃんか。苦しそう。(また言う)
光は、湊斗の自己肯定感の低さもわかっていますから、想との仲がまた深まるほど、湊斗が自分から去ってしまうのではという予感が既にしているのかもしれないですね。
奈々と想の関係も、これからどう変化していくか注目です。


4-8. もとに戻れる

別日、カフェにて、想と湊斗。なんとなく気恥ずかしい二人。
古賀先生が運営する施設でフットサルをしようと想を誘う湊斗だが、あまり乗り気ではない想。

-湊斗「俺がこうやって想と会って、話して、なんて言うのかな…大丈夫だなって。みんなもとに戻れるなって。戻れたら俺は嬉しいなって。俺はね。」
-想「みんなに気遣わせるから」
-湊斗「俺は気遣ってないよ。」

その後、一人帰り道の想。紬から「湊斗にフットサル誘われた?湊斗すごい楽しみにしてるよ!」とLINE。考える様子の想。


少し気恥ずかしさはまだあるものの、少しずつ以前のように想と笑い合えるようになってきた湊斗。
何も変わらない想の様子を知り、自分自身安心した湊斗は、素直な気持ちでまた他の友人達とも再会して想が仲良くできると確信しているのでしょう。
一方で想は、自分から関係を一方的に断ったこともあり、なかなか気まずい。
湊斗は、自分の事を「何も変わらない」と言ってくれるけれど、それは嬉しいけれど、やっぱり想にとっては、聴力を失ったという自分のこの確かな変化はあまりにも大きい出来事で。
変わってしまった自分で、何も変わらないみんなの前に再び現れること。
相手に気を遣わせるという心配ももちろんですが、その自分の変化の大きさを実感してしまうような気もして、怖さもあるのだと思います。
変わったことと、変わらないこと。その描かれ方も注目です。


4-9. 分かり合えない

手話教室にて、春尾。ろう学校の同窓会に行ったという同僚との会話。
春尾くん手話も出来てモテそうだから今度友人を紹介しようかと話す同僚。

-春尾「いくら手話できても嫌でしょ、一人だけ聴者がいたら。」
-同僚「別に嫌じゃないよ。世の中ほとんど聴者なんだから。」
-春尾「そっか。確かに。」
-同僚「ずっと気になってたけど、春尾くん僕たちにちょっと壁つくるよね。こうやって手話でコミュニケーションが取れるのに、どうしていつも一歩引いてるんだろうって気になる時がある。」
-春尾「特別扱いはもちろん違うし、ただ平等に接することが正解だとも思わないんです。手話ができるってだけで、わかった気になりたくないんです。どうしたって僕には聞こえるので、ろう者同士みたいに分かり合えないです。」
-同僚「昨日の同窓会、嫌いな奴が来ててすごい嫌だった。お互いろう者なのに、どうしてもそいつとは分かり合えないんだよね。春尾くんには嫌いな聴者はいないの?聴者どうしでも分かり合えない相手っているでしょ?」

「ちょっとね」と笑う春尾。

春尾の考えも、同僚の方の言っていることも、わかりますね。
同じ言葉を話せる=相手を理解できるではない。
それが手話でも、日本語でも、英語でも、言葉はあくまでもコミュニケーションのツールであって、本質ではない。
ろう者と聴者を描くことで伝えたいテーマに紐づくシーンでした。
「silent」円盤を購入したので、想が高校時代に読み上げた「言葉」というタイトルの作文全文も私は読んだのですが、そこに書かれた内容にも繋がっていく大切なテーマだと思います。


4-10. お人好し

居酒屋にて、拓実と湊斗。紬の手話教室の教師・春尾と湊斗が知り合いであると聞き、「お前マジお人好し甚だしいな」と驚く拓実。
フットサルに想を誘ったと話す湊斗。

-拓実「正直さ、みんな想に会ってもどうしていいかわかんないと思うよ。」
-湊斗「みんなも会いたいかなって思ったんだけど。」
-拓実「状況が違うだろ、高校の時と。想だって俺らに気遣われんの嫌だろうし。」
-湊斗「でも全然変わってないよ想。会えば分かると思う。まぁ最初は気遣うかもだけど、だんだん、あぁ想なんだなって分かると思う。」

紬の自宅にて、飲みながら話す真子と紬。
-真子「戸川くんもお人好しだよね。友達とはいえ佐倉くんじゃん。紬の事心配じゃないんかアイツ。」
-紬「心配って?」
-真子「え?寝取られないかなぁとか。」
-紬「寝取られません。」
-真子「紬さぁ、意外と本気で、戸川くんのこと好きだよね。」
-紬「うん。好き。」
-真子「好きな人居なくなったから、居る人好きになったのかと思ってた。ちょっとだけ。」
-紬「だとしたらフラれてすぐ付き合ってるよ。」
-真子「湊斗ー。アイツまじなんであんなに自信ないの?佐倉くんと一緒にいすぎたせい?
-紬「ほんとねぇ。それがいいんだけどね。」
笑い合う二人。

拓実の反応や言葉って、いつもとてもリアルですよね。
全然嫌なやつとかではなくて、想のことも湊斗のこともわかってるし想ってる。だからこそのリアルな反応が、物語に現実味を帯びさせるスパイスのようにいつもなっていますよね。

そして私が大好きな真子ちゃん。みんな湊斗のことよくわかってる。
佐倉くんと一緒にいすぎて自信ないのかなっていう言葉もリアル。
そりゃあんな完璧ボーイ佐倉くんと高校時代ずっと一緒にいましたからね。
人って自分が持っているものより、持っていないものの方がわかるから。
自己肯定感の低さゆえの優しさが魅力のひとつの湊斗だけど、もっと自信もってちゃんと紬のこと捕まえておいてほしいなぁ。湊斗頑張れ!!
あぁでも。頑張らなきゃいけない恋愛は、苦しいよねぇ…。


4-11. なんでそんなこと言うの?

後日、フットサル日程を調整し、いつものメンバーを集めたと拓実から湊斗のもとへ電話。
-拓実「想来なかったら普通にいつもの感じで。想来たら、まぁなんか、いつもの感じで。

湊斗の家にて、湊斗と紬。フットサルに紬も来るよねと聞く湊斗。
想の安心材料として、通訳代わりで来てと頼む湊斗。「じゃぁ湊斗の応援って目的で行くわ」と紬。真子にもLINEで声をかけながら、「なんかほんとやっと同窓会だね。ちゃんとみんな集まる同窓会。」と話す紬に、どこか切なげに笑う湊斗。

紬が寝た後、実家の群馬に帰省中の光からの電話を受ける湊斗。
週末のフットサルに「紬はちょっと借りるんだけど」と話す湊斗。紬に通訳をお願いすると聞き、何か思う光。
「光も手話覚えれば?紬に教えてもらってさ。」と言う湊斗に、嫌だよと答える光。

-光「なんでそんなこと言うの?なんで手話覚えろとか言うの?

眠っている紬を見つめる湊斗。

み!な!と!!!!!!!
光くんってほんとに敏感ですよね。もう全部察してる。
そして拓実いいやつ。こういうとこ好き。(知り合いか)

今まで恋人の紬と出かける時に「借りる」なんて言わなかったであろう湊斗。紬が自分以外の誰かの物のような言い方に、ザワっとする光。
「光も手話覚えれば」の言葉に、確信する光。
光がこれから想と話すようになるだろうから、という湊斗の思いですよね。
え、湊斗くん…?

想と再会した後の湊斗は、1回ちゃんと、自分はこのまま紬と今まで通り付き合っていける、いこうと思ったはず。
でも、自分と紬が二人でいる様子を見つめる想の表情とか、いろんなことをきっかけに、その気持ちが揺らいだりしていたのはわかる。
この光と電話する時点では、もう別れようって決めていたのか…?
私は、まだ確信には至っていないけど迷っている状態かなと解釈しておきます。
迷っているけど、ほぼ決まりつつある。だから言葉の端々や表情の端々に、それが顔を出してしまうのかな。
はぁ…湊斗よ……。

紬の同窓会の話を、何とも言えない表情で聞いていた湊斗。
やっぱり、私たち、いやすみません、間違えました、紬や湊斗の青春には、佐倉くんがいて。佐倉くんっていう絶対的なピースが、8年の間失われていて、完成しないパズルみたいに、いつもずっとそれが欠けていた。
当たり前のように欠けているから、慣れたつもりになっていたけど、どうしたってそのパズルは完成しないままで。
そのピースが、やっとはまろうとしているっていう感覚かな。
湊斗も、そのピースをずっと待ってた。完成は、嬉しいこと。懐かしくて、嬉しくて、だけど、切ない。だって、完成する時、紬の横には想がいるべきだと、思ってしまうから。
はぁ…湊斗よ……。


4-12. 言葉っていらないもんなんだね

フットサル場近くまでやってきた想。通訳としてグラウンドの外で待っていた紬を見つけて「なんでいるの?」と声をかける。紬が通訳と聞き不安な顔をする想。「青羽ならいてもいなくても一緒だと思う」と笑って手話で伝えるが、伝わらない。少し気持ちがほぐれ、グラウンドに向かう想。

集まっている友人たちを眺め、やはり帰ると躊躇う想。
想と紬を見つけた元担任教師の古賀が歩いてくる。
「佐倉、久しぶりー!お、背、伸びたか?俺が縮んだかな。」と和ませる古賀。想の両肩に手を置き、「ごめん。なんもしてやれなくて。ごめん。」と詫びる古賀。首を横に振る想。笑って、友人達と合流するよう促す古賀。

ウェアに着替えてやってきた想を見つけた湊斗。他愛ない会話を手話でしながら笑っている想と紬の姿を見つめる。そんな時、友人たちも想に気付き、「想!」と呼びかける。「いってらっしゃい」と送り出す紬。
友人たちを前に緊張しながら近づく想。すぐに友人達が笑顔で想を囲み、笑顔になる想。その様子を眺める紬のもとへやってきた真子。

-真子「なんか、全然佐倉くんだね。
-紬「佐倉くんだよ。
-真子「高校の時のまんま。全然変わってない。呼んだら振り向きそう。」
-紬「それね。」

佐倉くーん!!久しぶり!!頑張って!!!!と大声で呼びかける真子と、笑って手を振り応じる想。
拓実が想とハイタッチをする。湊斗、他の友人たちも次々と想とハイタッチをして、みんなで笑い合う。

その様子を見ながら、嬉しそうな切なそうな表情の紬。
言葉っていらないもんなんだね。やばい。泣きそう泣きそう。古賀セン呼んで和もう。」と真子。振り返ったら既に号泣している古賀。
「うわ、あっちもうダメだわ、おじさんの涙腺ナメてた。」と真子。

この想のみんなとの再会シーン、大好きです。涙涙涙。よかったねぇ。
男の子同士の部活感ならではというか。お互いちょっと気まずくて緊張していたけど、会えば一瞬で笑顔になれて、うぇーい!ってみんな受け入れ合えること。いいなぁ。

友人達だって、8年前に想に一方的に関係を断たれて、なんだアイツって傷ついたはず。想だって、傷つけたことがずっと苦しかったはず。
その時間や気持ちは、決してなかったことにはならないけど、それでも、それだけが関係性のすべてではないから。
高校時代なんてたった3年間だったけれど、その時間の中で築いた大切な関係や思い出がたくさんあるもんね。
一緒にいた時間のそういう思い出は、未来の自分たちを支えるものにもなる。素敵な関係性だな。
そしてこの再会を目撃した私たちの気持ちを、真子ちゃんが代弁してくれた気がして、とても好きなシーンでした。

想と再会して教師らしい顔を見せる古賀先生も、賑やかなみんなの様子を見て号泣する古賀先生も好き。
元担任教師として大きな気がかりだったであろう想が、元気そうにまた友人たちと関係を作れそうなこと、心から嬉しかっただろうな。

ただここで、想と紬を見つめる湊斗の表情が切なくて苦しかったですね。
もうここで、湊斗の気持ちは決まったのかなぁ。
なんだろう、ここで話している想と紬って、圧倒的お似合いカップル!って感じがすごくて
誰が見てもお似合いな二人。そんな二人ってきっと、湊斗が高校時代にずっと見ていた二人の姿ですよね。

あぁ、やっぱりなんも変わんないな。想も紬も、変わらない。この二人は、やっぱり、二人でいるのが似合うな。

そんな風に実感してしまったのかな。湊斗よ……。
私には第3話の湊斗のモノローグ「すごく仲の良い友達と、すごく好きな人だったから、嬉しかった。すごく切なくて、ちょっとだけ嬉しかった。」が、聞こえてきてしまったよ…。湊斗よ……。


4-13. 別れてほしい

試合の合間、飲み物を買いに行こうと想を誘い連れ出す湊斗。

その後しばらくして、プレーを再開した後、交代で下がった湊斗が、ベンチで見守る紬の元へ。気を利かせて席を外す真子。
さっき間違えて買っちゃったからと少し冷めたコンポタを紬に渡す湊斗。
想のプレーを見ながら会話する二人。

-紬「やっぱ上手だねぇ。聴こえてるみたい。デフサッカーっていうね、聴覚障害の人でやるサッカーあって、そういうのも考えたんだって。サッカー上手だし、やっぱり好きで続けたかったと思うし。でも、認めるみたいで苦しかったんだって。耳聴こえないこと。認めるもなにもって思っちゃうけど、健康に呑気にヘラヘラ生きてきたからそう思っちゃうけどさ、当たり前にあったものなくなって、そんな簡単に受け入れらんないよね。3年前くらいにもうほとんど聞こえなくなったんだって。イヤフォン付けても音流れてこないのかとか、字幕がない映画見れないのかとか、人と声で話せないんだとか。卒業してから、特にこの3年、どんな風に生きてたんだろうって。どんな思いで、この3年…。なんてね、私がなんか勝手に感傷的になってしまったりなんかして。」

そう言って少し笑う紬。紬の話を静かに黙って聞きながら、想を見つめて、少し目を伏せて、再び想を見て、何かを思う湊斗。

-湊斗「紬。お願いがあって。別れてほしい。別れてほしい。」
-紬「…え?」
-湊斗「別れよう。」
-紬「なんで?」
-湊斗「好きな人がいるから。

みーーーなーーーーーとーーーーーーーーーーーーーーーー(涙)
やっぱそうですね。ずっと揺れつつ固まりつつあった気持ちが、想と紬の2ショットを目の当たりにてもうほぼ固まり、想のことを語る紬の話を聞いて、決定的になり、迷いがなくなり、ここで伝えたんですね(涙)

紬が想を見ながら、淡々と語る姿。
紬は、湊斗よりは少し多く想と会っているから直接色々と話も聞いたのだと思います。
前と全然変わらない佐倉くん。でも、確かに大きな物を失って、大きく変わった佐倉くん。その変化を一人きりで受け入れて今に至っている彼が、今までどんな想いで過ごしてきたのか。それは、どんなに想像しても、自分には100%分からないし、分かったような気になってはいけない。
その変化をさらに思い知って傷つくかもしれなかったこのフットサルに、勇気を出してやってきた佐倉くん。友人と笑い合い、昔のように変わらないプレーをする佐倉くん。よかった。でも、聞こえていない佐倉くん。

紬は想が失ったもの、変わったところの大きさもちゃんと見つめていて、思いを馳せて寄り添おうとしていた。
それはきっと、佐倉くんのためにとか、だから私が何をしてあげるとかではなくて、今一緒にいる佐倉くんのことを、まっすぐに見つめていた紬だからこそ。

その話を聞く湊斗の表情には、紬が想のことを思うことに対する嫉妬心なんて1ミリもないような表情で。
湊斗は、想と再会してから、想の変わらないところを見つけて安心して、変わったところなんて耳が聞こえなくなっただけだからって、"あの頃と変わらない想"と、前みたいにこれからも仲良くしていけると心から嬉しくて安心した。そう思った湊斗は、どこも間違ってなんかない。
けれど、紬はそれだけじゃなくて、"あの頃の佐倉くん"ではなくて、"今の佐倉くん"をちゃんと見ている

紬自身は、この時点では湊斗と別れる気なんてないし、好きなのは、湊斗。
でも、想のことを一番よく見てよくわかろうとしているのは、紬。
湊斗にとって、自分のすごく仲の良い友達のことを、一番わかっているのは、思っているのは、自分のすごく好きな人である、紬。
そして自分が好きな紬は、やっぱり、想の隣にいる紬。
二人は、やっぱり、前みたいに、一緒にいるのがいい。
二人が、前みたいに一緒にいてくれたら、嬉しい。

湊斗のそんな思いが、ここで固まったんだろうな。

別れるのは、「好きな人がいるから」。
湊斗は、紬が好きだから。
想の隣にいる、紬が好きだから。

湊斗…………………。


4-14. 呼んであげて、紬って。

自販機で飲み物を買おうとする湊斗。後ろからやってきた想が勝手にコーンポタージュのボタンを押す。「ねー、あぁ思い出してきたこういう感じ」と笑う湊斗。二人分の水を買って一つ湊斗に渡す想。「ちょっと話そう」と湊斗。二人でベンチに座る。

-湊斗「久しぶりに会ってどう?みんなと。大丈夫? (笑顔で頷く想を見て) そっか。だよね。紬も大丈夫?俺のせいで会うの気まずい?紬、ちゃんと食べて寝てるかだけ、それだけは気に掛けてね。この3年、本当は楽しくなかったと思う。行きたいとこ、食べたいもの、欲しいもの、俺全部、なんでもいいよって。紬の好きでいいよって言うから、つまんなかったと思う。紬が教えてくれた音楽とか映画とか…。」

涙で言葉に詰まる湊斗。湊斗の様子に戸惑いながら湊斗を見つめる想。

-湊斗「いいねって感想しか言えなくて、俺ほんとつまんないから。想は違うからいいんだけど、大丈夫なんだけど。」

湊斗の言葉を遮って何か言おうとスマホを取り出そうとする想。その手を制して続ける湊斗。

-湊斗「紬、想の横にいる時がいちばん可愛いんだよね。知らなかったでしょ?いつでも自分が見てきたあの紬だと思ってるでしょ。」
-想「(泣きながら、声で) …耳、聞こえないんだよ?」
-湊斗「耳聴こえないだけでしょ。他に何にも変わってないから。すっごい性格歪んでないかなとかちょっと期待したのに。別に想のためとかじゃなくて、どっちかというと紬のためで、ほんとに本音を言えば、自分のため。俺がしんどいだけ。二人見てて、二人がどう思ってるか、何考えてるか、分かるから。言ったじゃん。みんな戻れると思うって。戻れたら俺は嬉しいって。
-想「(泣きながら、声で)…湊斗…」
-湊斗「呼んであげて。紬も、紬って。喜ぶから。」
そう笑う湊斗と、首を振りながら泣いている想。

その後、ベンチで別れ話をする湊斗と紬の姿をコートから見つける想。
動揺する紬を残して、コートに戻ろうとする湊斗。
想と目が合い、少しだけ口角を上げる湊斗。

湊斗は、先に想とこの会話をした後で、ひとつ前のベンチのシーンで紬に別れを伝えたんですね。
最初の何気ない笑いあっている自販機のシーンですが、コンポタって、いつもこうやって想がふざけて後ろからボタンを押して買ってたんだね。
そうやってひとつ余ったコンポタを湊斗がいつも紬にあげてたのか、同じようなことを想と紬が付き合っていた時に二人でやって笑い合っていたのか、わかんないけど、紬が好きな"コンポタ"には、想も関わっていたんですね。どんな思いでいつも紬にコンポタ渡してたのよ湊斗…(涙)

想に何も言わせず、一方的に紬を託した湊斗。
「紬と別れる」とは言葉に出せなかった湊斗ですが、ここで話した言葉が、湊斗の本音の全部なんだろうな。

紬はきっと湊斗が思う以上にちゃんと湊斗のことを好き。
だけど湊斗は、いつも自分に自信が無かった。高校の時も、紬と付き合い出してからも。
想と自分を比べたこともあったでしょうし、想は関係なく、紬に自分は釣り合わないと思ったこともあったでしょう。
だって湊斗が好きだった紬は、想のことを好きな紬だったんだよね。
想の隣にいる紬は、いつも楽しそうで、可愛かった。
自分と一緒にいる紬は、何かどこか違うように、どうしても思ってしまう。
自分が、どうしても、いつもどこかでそんな風に思ってしまって、苦しい。
湊斗は、自分を犠牲にして二人の幸せを優先するというような自己犠牲の意識すらもはやなかったんじゃないかな。
湊斗にとっては圧倒的に、どうしてもやっぱり、"俺じゃない"感がずっとあったんだよね。もうこれ以上紬の隣にいる自分が苦しかったんじゃないかな。湊斗のとても苦しくて切ない本音ですね。

たらればなんて言っても仕方ないけど、想と再会しなかったらどうだったのか。
紬とうまく長く付き合って、例えば結婚したりしても、湊斗はきっと、想の隣にいる紬の姿をいつもどこか頭の片隅において、想と再会しないか、自分はふさわしくないんじゃないかって、きっとずっと思ったんじゃないかな。
3年間、紬と一緒にいた時間は楽しかったけど、湊斗にとっては苦しみでもあったんだね。
紬のことは好きだけど、紬のそばにいる自分の事は、好きになれなかった。
そんな自分の隣にいる紬よりも、やっぱり想の隣にいる紬が、しっくりくる。その方が、自分は、苦しくない。

思い知っちゃったんだろうね。
わかるよ、わかるけど…苦しすぎる……………
湊斗……君の幸せはどこにあるの………
私が湊斗を幸せにしてあげ隊……。

第5話に続きます…。













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