春になったら
第9話 2024/3/11(月) 22:00~
今期のドラマの中で今のところ1番泣いているドラマ、「春になったら」。
第9話のレポートです。
※ネタバレがありますので気になる方はご注意ください。
目次
●「春になったら」第9話
9-1. 式の準備
学生時代の岸くんの衣装、時代感が出ていて笑ってしまいました。
こういう時代あったし、こういう学生いたよな~と、懐かしくて。
髪を染めたりオシャレをしたり、今は葬儀屋でスーツ姿が多い岸くんですが、やっぱり写真部に入るだけあってそういった美的感覚やこだわりは多いのですね。細かなキャラ設定が岸くんを立体的にイメージさせます。
この物語でずっと描かれている、対にあるもの。
結婚式と葬儀。
新しい命の誕生と命の終わり。
ついに進んでいく葬儀の準備と遺影の手配です。
試食会場での一馬と瞳の、カタカナが並ぶメニューがいまいちよくわかっていないのだけれどとりあえず美味しいね、という、ぎこちないあの感じが、とても可愛らしかったです。バリソワーズ(笑)
9-2. タイムカプセル
もう残り少なくなってきたやりたいことリスト。
今回はタイムカプセルの回ですね。何が飛び出してくるのでしょうか。
ところで、冒頭からますます体調の悪そうな様子の雅彦。
疲れたように横になっていたり、咳込んだり、声が小さかったり。
そう、声。
これまでどんな時もとにかく声が大きかったお父さん。
あんなに声が大きかったお父さんの声が、どんどん小さく、か細くなっていく。
仕事も辞めて、体調も悪くなって、そうした声の変化で、弱っていく雅彦の様子をありありと伝える描写が見事です。
いつもそばに、家中に響いていたお父さんの大きな声が、だんだんと聞こえなくなっていくのは、寂しいものです。
9-3. 遺影と記念写真
遺影の撮影。明るいピンク色の背景に、スーツで決めて笑顔の雅彦。
雅彦らしくて、とても良い写真が撮れました。
瞳と雅彦の2ショットをさりげなく撮ってあげる圭吾と美奈子の優しさもあり。
圭吾と美奈子、この2人がいてくれたから、遺影の撮影現場にも涙はなく、明るく柔らかく穏やかな雰囲気が漂っていました。
そんな圭吾、美奈子、瞳の、仲良さそうに協力しあってくれている様子を、本当に嬉しそうに眺めていた雅彦。
前みたいに大きな声は出ないけど、にこにこして、目尻を下げて、嬉しそうに眺めるその顔は、やっぱりどこまでもお父さんで。
なんだか泣けてきてしまいました。
自分がいなくなった後も、瞳のそばにはこの2人がいてくれる。
この2人がいれば、瞳は笑顔になれる。
そんな風に思っているようで。
自分がいなくなった後、瞳と一馬と龍之介がこの家に住んで、たまにマキや圭吾や美奈子が遊びに来て。瞳は笑顔で。
わいわいと賑わうその家の真ん中のリビングに、自分と佳乃が、きっといる。
そんな風に、自分がいなくなった後のことを想像出来ることが、今の雅彦にとっては希望なのだろうと思います。
瞳も、父親の葬儀の準備や遺影の撮影だなんて、悲しく苦しくないはずがなくて。
でももう、現実に目を背けている時間はない。
残された時間を、大切に、上手に、噛みしめながら、お父さんと過ごすために、出来ることを全部しよう。
そんな瞳の前を向いた覚悟が、最近は強く感じられます。
9-4. 結婚式まで
カズくんが少し有名になってきている!!!!!
龍之介のニヤっとした顔が気になりますね。
マキと雅彦、2人の会話。
保険のこととか、相続のこととか、そういうことを、瞳にではなくマキに伝えるのが、雅彦の父親らしさですよね。
自分の体調の変化から、もしかしたら瞳の結婚式にも参加出来ないかもしれないとどこかでは考えている雅彦。
自分のためにいろいろと準備してくれている瞳に、そんなもしもの話なんて、出来ない。
それに、さらに娘に、保険や相続のことを話すなんて、酷だ。
そんな父親らしい思いがあるように思いますし、きっと親代わりのように一緒に瞳の面倒も見てもらってきたマキに、実の姉であるマキに、大人同士での伝言はきちんと託す。
そんな雅彦の姿が、とてもお父さんです。
春までは。
結婚式までは。
年明けから、そんな風に思っていたひとつの目標が、もうすぐそこまで迫ってきている。
そんな、"もうすぐそこ"が、不確実で、無理かもしれなくて、遠く感じてしまう。
春。それでも春は、希望であってほしいです。
9-5. ここで死にたくない
雅彦の容態を聞いて、真っ先に相当苦しいだろうと父を想った瞳。
いちばん近くで苦しそうにする姿を見ていましたもんね。
そして、父が望むように家に帰してあげられないのかと不安に思いながらも、父の前では強く冷静にいた瞳。
最初の頃は、受け入れられず不安定な瞳を雅彦が支えて。
そして今は、これからは、雅彦を瞳が支えるのかもしれません。
よく似ていて、正反対で、支え合って、やってきた2人。
それは今に始まったことじゃない。病気になったからじゃない。
ずっとそうやって、佳乃がいなくなってから二人三脚でやってきたんですよね。
どうかもう一度、家に帰れますように。
9-6. 校庭侵入
校庭でタイムカプセルを掘り起こすくだり、コントでしたよね。
爆笑でした。
フェンスを登れない一馬からもう面白くて(笑)
こう、切なくなってきたタイミングで笑いを挟んでくれるのがこの作品らしくて大好きですし、奈緒さんと濱田さんのこの可愛らしい夫婦漫才が大好きです。
瞳を逃がそうとドンマイドンマイポーズを無言でする一馬のかっこいいこと(笑)
世界を救うヒーローばりのかっこよさでした!(笑)
普段一馬って変わり者みたいなキャラだったりするけれど、瞳ちゃんが猪突猛進モードになる時の一馬って、すごい冷静だったり、大人だったり、瞳をちゃんとフォローしてたりして。
その相性の良さがとてもナチュラルで好きです。
そして、雅彦。
病室で浮かべたのは、佳乃と瞳との幸せな記憶。
やっぱり雅彦にとって、佳乃と瞳と3人で過ごした家族の時間は、どんなに時が経っても色褪せない、大切な大切な幸せな記憶なのでしょう。
椎名家のお正月の決まりを作って、きっとすぐ、佳乃はいなくなってしまって。
それでも瞳と2人で、心には佳乃もいて3人で、毎年恒例の着物でのお正月を何度も過ごしてきた。
雅彦がいなくなった後も、瞳たちはそれを続けるんじゃないかな。
タイムカプセル、見つかりました。
何が入っているのでしょう。
9-7. 春になったら
涙なしには、ですね。泣きました。
小学生の頃に埋めたタイムカプセル。
出てきたものが本当にどれも子供らしいものばかりで、リアルでよかったです。
なんだかよくわからない石ころとか、田町のゴードンとか(笑)
当時はきっと、未来に向けてわくわくした気持ちで、その時のとびきりの想いをタイムカプセルに詰めたのでしょう。
未来はきらきらしていて、もっとずっと未来で、当たり前にその未来を自分は生きている。きっと幸せに生きている。
子供の頃は誰もがそんな風に思っているはずです。
現実は、当時思い描いていたものと同じこともあるけれど、違うものの方がきっと多くて。
そして、その当時大切にしていたものの中に、今も変わらず大切なものもあるけれど、なんだったかすら覚えていないようなものもあって。
そんなものです。そんなもの。
でも、そんなものだからって、くだらないなんてことはちっともなくて。
想像とは違ったけれど、生きてきた人生は宝物で、今の現実は幸せで。
そんな風に思える「今」まで、生きてこれたことを、幸せだったなって笑って言える。
それだけで、人生には価値がある。
いや、それこそが、人生の価値になる。
100歳までは、生きられなかった。
100歳は無理でも、もう少しは生きていられると思った。
でも、佳乃がいて、瞳がいて、今の、ここまでの人生は、幸せだった。
そう言えた雅彦。
佳乃を亡くして、瞳を残して自分も逝かなければならなくて。
それでも、失ったものよりも、手にしたもの、あるものを、幸せだと言えること。
もうそう言うしかないのだけれど、それでも、そう言えるって、幸せなことだと私は思います。
その尊さを噛みしめるように泣きながら笑った雅彦が、儚くて消えてしまいそうで、でも、強くて、かっこよかったです。
手紙を読みながら、涙が溢れてきて声がうわずる瞳。
溢れてくる涙を布団で拭う雅彦。
木梨さんと奈緒さん、お二人のお芝居が本当に自然で、胸を打ちました。
そして、台詞ではここで初めて登場した、「春になったら」。
春。それはやっぱり、今のこの2人には、希望です。
もう今は、願って、信じて、約束するしかない。
でもきっと、想いの強さが叶えるものは、あるはずだと、信じたいです。
最後の最後に出てきた、「ケイト」。
次回予告で、葬儀の招待者リストに名前がありました。
やりたいことリストに書いていた英語の勉強に絡む何かが雅彦によって準備されているのだと思いますが、なんなのでしょう。
昔からの友人だとしたら田町のゴードンに絡むかな?(笑)
田町のゴードンが回収されてほしいと願っています(笑)
または単純に英会話の先生でしょうか。
自分の葬儀を意識し始めた時からきっと、みんなが笑ってくれる葬儀にしたいと考えていた雅彦ですから、葬儀で流す英語のスピーチを準備しているとか?
どんな展開になるのか楽しみです。
最終話まで、あと2話ですね。
もう私達も覚悟して、泣くだけ泣いて、見守りたいと思います!