見出し画像

笑い流したセクハラの行き先

セクハラ、パワハラ、アルハラ。
いろいろなハラスメントのボーダーは、受取側の感じ方で若干の差が出る。

ただ、明らかなハラスメントには、NGを出していかなければいけない。
自分が受けた被害や言葉が、自分をすり抜け、流れていって、別の人を傷つけているかもしれないから。

私はよく笑う。
楽しいときはもちろん、困ったときや悲しいときも、へへっと笑ってしまうことがある。意識しているわけではなくて、反射的に顔が笑顔のカタチになるのだ。

それは、友達にも、職場の先輩にも注意されるくらい。
「遅刻しても笑いながら謝ってて、みんなもそれで許しちゃうからずるい。」
「大事な話を笑いながらしないように。」
この2人のおかげで意識するようになり、へらへらと笑わないようになった。

だけど、まだまだ笑いに逃げることがある。
飲み会で下ネタの話が出たとき。ちょっと微妙なセクハラのような発言をされたとき。笑って、困ったような顔をして、逃げてしまう。

前に見た海外ドラマの中で、こんな話があった。

雑誌の編集長をする50代の女性。彼女が20代の頃、新聞社の先輩に身体の関係を求められた。女性が働くことがまだまだ受け入れられていなかった時代。断れば、仕事を外される。受け入れざるをえなかった。

そして現在、女性が活躍する時代になった。彼女がインタビューを受けた際に、この話を公にする。そこから現代のMetoo運動のように、様々な業界で活躍する女性がTVやSNSで過去の経験を口にしはじめるのだった。

ここまではいい。彼女も、世間も、明るい方向へ動いていた。

しかし、この運動のなかで、1人の女性が現れる。
この女性は、過去に彼女と同じ新聞社に勤めており、まったく同じ状況で、同じ人に、同じ被害にあっていたのだった。

「もし、当時彼女がきちんと拒絶していたら?」
「もし、当時彼女が加害者を告発していたら?」
ーーー女性が受けた第二の被害を、防ぐことができたのかもしれない。

一番悪いのは、いつだって加害者だ。それは間違いない。

だからこそ、悔しい。
被害者が、こんな気持ちにさせられることが悲しくて、悔しい。

このエッセイを公開することも少し怖い。
過去に被害にあった人、いま被害にあっている人が傷つかないか?追い込んでしまわないか?

もし今なんらかのハラスメントを受けている人がいるのであれば、すぐに逃げてほしい。とにかく自分を守ることを第一に考えて。自分を守ることができるのは、自分だけだから。

ただ、自責の念に駆られて書いている。
「それ、面白いと思ってるんですか?」
「はい、それセクハラですよ。」
「アルハラは止めてください。」

笑って流さないように。ネタにしないように。
はっきり、真顔で、真剣に。
言葉を受け取らない。しっかり弾く。

後ろに続く人へ、流れていきませんように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?