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猫と一緒に暮らす楽しさ:犬派の私が見つけた新しい世界

元々犬派だった私が、猫との生活で感じた犬とは違う距離感や、新しい幸せについての話。

私はもともと犬派だった。
小学生の頃、兄弟が飼いたいと言い始めたのがきっかけで、ペットショップで箱で叩き売られていた雑種の女の子を家に迎えた。この子がとても賢く、鼻の上にオヤツを乗せて待たせる芸は、しつけにかかった期間は1週間くらいだった。

結婚して実家を出るときは少し寂しくなった。家に帰るといつも出迎えてくれる犬がいないのは、15年以上続いた犬との暮らしが当たり前だったからだ。新しい家ではペットを飼っていないので、帰宅して玄関を開けても誰もいない。

ある日、夫とホームセンターへ買い物へ行ったとき、ペットコーナーで売れ残ったミックスの猫がぽつんと座っていた。目が合った。「ちょっと抱っこしてみたいな」と私がつぶやくと、夫が店員に頼んでくれて抱っこさせてくれた。抱っこされた猫は、すごく嫌がっていた。ショーケースへ戻される猫。広い室内でぽつんと真ん中に座り、またこちらを見つめていた。

1週間後、ペットショップへその子を迎えに行っていた。どうしてもあの目が忘れられなかったから。

その子は今も抱っこが嫌いで、遊ぶのは大好きだ。あごの下以外を撫でられるのは嫌いだけど、ブラッシングは大好き。甘えたくてスリスリしてくるときも、実は体に触れていない『エアースリスリ』をする。かまってほしくないときは、ずぅ~~~っっと寝ていて、最近はスマホのバイブレーションぐらいの音量でいびきをかく。その可愛さについ撫でると嫌そうに睨まれ、撫で続けると怒る。肉球をこっそり触っても怒る。

犬との暮らしとは違い、猫との生活は独自の距離感があると思う。私は『盗み食いをする観葉植物』のように猫と接している。SNSで見るような抱っこが大好きで~添い寝して~ニャアと喋って、「あらまぁ、可愛い!」みたいな甘えん坊とは、うちはぜんぜん違う。猫が好きなときに「遊んでくれ」といい、私が気の向いたときに遊ぶ。お互いの自分勝手が許される関係で、お互いが依存しあっているようで依存していない、でもとても居心地が良い。

猫との暮らしには独自のマナーやルールがあり、互いに思いやりを持ちながら生活している。挨拶も必要だし、私が猫の機嫌を伺うし、猫も私のペースに合わせてくれる。そう考えると人の社会に似たようなところがあるな、と思う。

私もそろそろ猫みたいに、自分勝手になってきたのかな。
でも、それもまた新しい幸せの形だと感じている。

(追記)
猫も犬も人も個々で性格がぜんぜん違う。日々で機嫌も違う。
でもそれも全部愛おしいよね。

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