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春の西旅・九州へ③

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路面電車に乗り込み、終点の東山電停を目指す。
東山電停に着くと、この街での一番の「目的」の姿が既にあった。

東武日光軌道線100形…まずはその名前で呼ばせてほしい。
岡山電軌3000形は日光軌道で使用されていた100形電車を譲渡した形式で、置換が進んだ現在は2両のみが現役となっている。うち1両は「KURO」という観光仕様に改造されているが、もう1両の3005号はほぼ原形で、ご覧の通り塗装も日光時代にリバイバルされている。
東武は自社の広大な路線網の中で経年車両を使い果たす傾向があるため、他社への譲渡車両自体珍しい。その中でも日光軌道は、自分からすれば東武博物館や各種資料の中にだけある、いわば「歴史の中の存在」という認識だ。だからこそ岡山電軌の車両は前からずっと見てみたかったのだった。いざ現役車両を目の当たりにすると、過去が蘇ったかのような、幻にも近い感覚さえ覚えた。
走るのは毎月第一土曜のみ、それも非冷房のため夏季(6~10月)は除くという年に7回しか走らないレアな存在だが、今回は幸運にも行程に合わせられ、しかも好天にも恵まれて喜ばしい限りだ。

日光市内日光街道にも似たようなアーケードがあったことを思い出しながら撮ったカット。

待ちに待った乗車。車内も往年の面影を強く感じるレトロな様子だ。
貴重かつレアな車両のため沿線にはカメラを構えたオタクが大勢居たが、乗車する人はそれほど多くはなかった。乗るのを目的に来た身としてはありがたい。

ドア近くには日光軌道の路線案内図がしれっと掲げられていた。こういう細かい演出がにくい。

岡山駅前からの一回目の折り返しは、岡山城・後楽園へ向かう観光客でいっぱいになった。紅葉シーズンの日光軌道もこういう光景が繰り広げられていたのだろうか、と思いをはせる。

事前にアタリを付けていた中納言電停。きびだんご屋さんの和風建築が日光街道沿いの羊羹屋さんと重なる。

乗車動画。日光の山を登っていたツリカケ駆動電動機の力強く甲高い唸りが往年の様子を思い起こさせる。

この後の行程があるので入庫までは見送らず、岡山駅前で別れを告げた。日光軌道車は東武ファンとして長年の履修課題だったので、訪問することが出来て本当によかった。

岡山駅前電停から新幹線発時刻まで8分とせわしない乗換をこなし(実際には新幹線が5分以上遅れていたので余裕があったが)、ここからは新幹線でさらに西を目指す。

④へつづく


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