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情報技術とルールの変化について

 昨日は雨だったので、自宅で子供とドラえもんの映画を見ました。

 ドラえもんの道具があれほど強力なのに、なぜピンチになるのかなと見ていると、四次元ポケットがなくなったり、秘密道具が壊れたりするようです。どこでもドアやタケコプターといった便利な道具があると、ほとんどのことが問題なく解決できてしまって、ドラマが生まれないんだろうなと思います。制約(ルール)がドラマを生むのだと思います。

 でも、最近は本当にドラえもんの世界に近づいていて、技術的に何でもできてしまう世の中になってきました。しかも制約(ルール)ができるよりも技術や新領域ができるスピードの方が早くなっています。GAFAはその典型で、一気に大きくなったため、かなり遅れて最近ようやく規制の議論が始まっています。

 日本でも最近「デジタル庁」ができましたが、どこでもドアが開発される前に使用規制の法律を作っておかないと大変なことになるかもしれません。 そんな技術や制約(ルール)について、考えてみました。

■技術とルールの変化

 冒頭のドラえもんのように制約(ルール)があるから、ドラマが生まれるのですが、現代においては新技術によってルール自体がどんどん変わっていきます。

 少し唐突ですが、サッカーの場合、試合の中でのボール支配率やパスの傾向、どのエリアでの支配率が高い、低いなどの情報はリアルタイムに得られるようになりました。各選手の動きがカメラを通じて解析されて、すぐにデータとして見ることができます。

 FIFAは2018年からベンチに通信機能を持つ機器の持ち込みを許可しています。それだけでは、大した変化ではないように見えますが、この変化に適切に対応できるチームは良い成績を残せると思いますし、今後、WorldCupでも技術的、経済的に恵まれた国の勝率が上がっていく可能性があると思います。

 少し前なら、深い戦術ビジョンを持ったコーチや監督だけが、劣勢になる原因を言語化されない感覚としてつかんで、選手を交代させたり、各選手にポジションの修正を指示するという対応をしていました。

 だから、サッカーの歴史が長く、理論や戦術に秀でた海外出身の監督が多くのサッカーチームで徴用されるのだと思います。でも、今後は監督よりもデータ解析技術者が試合結果を左右する要素になるかもしれません。

 このような環境の中では、監督や選手の役割も変わるかもしれません。メッシやC・ロナウドのような別格の選手は除いて、全体が個の力ではなく、より統制された組織的戦術によって試合を組み立てることを求められるかもしれません。

 エンターテイメント性の追求や興行的な利益の観点で言えば、このデータをもとに、世界中のサポーターが戦術の変更を投票で決定するような仕組みもできるかもしれません。楽天とかDeNAとかIT系オーナーのチームならあり得る気がします。

 スポーツ自体が単なる娯楽や企業広告の意味だけでなく、ビジネス上の大きなセグメントになっていて、ITを導入した商業的な変化がどんどん起こってくる気がします。

■膨大な情報をどう活用するか

 現代はあらゆる情報が溢れています。誰もが情報発信者になる時代であり、カメラやセンサーが情報を作り出す時代なので、今後も更に情報量は増えていきます。

 我々が扱うデータはその膨大なデータの極々一部ですが、今後は「情報資源すべてをターゲットに捉える」視点に変えられるかが重要だと思います。情報と物理的事象、物質を分けて考えられる思考が必要です。

 また、これまではどちらかといえば情報を「貯める」、「渡す」という部分がITの仕事でしたが、今後「活用する」という比重がより大きくなっていきます。

 情報という有用な資源をゴミにするか、宝の山にするかは、ITの実力と利用者の考え方次第だろうと思います。