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ストローマン論法の具体例と対策

ストローマン論法の具体例について、非常に分かりやすい事例が起きたので具体的に書いていきます。また、Twitterにおける構造的な対策も提示します。

ストローマン論法(藁人形論法)の定義

ストローマン論法(藁人形論法)とは【相手の主張を歪めて引用し、その歪められた主張に対して反論するという誤った論法】という定義が一般的です。

明確な語源は不明ですが、軍事訓練用ダミーや案山子(かかし)が、本物の人間よりも打ち倒しやすいことから、論理の文脈でもそれを示唆する対象として用いられている、と考えられています。

英語Wikiのソースとされているのは"T. Edward Damer, Attacking Faulty Reasoning: A Practical Guide to Fallacy-Free Arguments (Third Edition) (Wadsworth, 1995), pp. 157-159."なのですが、WEBではそれを引用しているhttp://www.fallacyfiles.org/strawman.htmlを見ると良いでしょう。

「主張を歪める」には、正しく引用しなかったり、主張の一部だけを取り出す=チェリー・ピッキングも含まれています。

ストローマン論法(藁人形論法)の用語法

例えば、ある人が「一部のPはQである」と主張していたとしましょう。

この時に反論者が「あなたはすべてのPはQと言っているが、それは間違いだ、なぜならQでないPがあるからだ」みたいな主張をしている人に対してストローマン論法(藁人形論法)と評価するのが用語法です。

・すべてのPはQです。
・ほとんどのPはQです。
・多くのPはQです。
・一部のPはQです。
・一部のPはQではありません。
・多くのPはQではありません。
・ほとんどのPはQではありません。
・QであるPはありません。

「すべてのPはQです」と「QであるPはありません」は、最も論破しやすい主張です。上記の真ん中に行けばいくほど、その主張が誤りであることの指摘が難しくなります。

ストローマン論法は、「論破のしやすい架空の主張・相手」を創り上げ、それを攻撃することで第三者に対して相手の主張が誤っているような雰囲気・印象を与えることが目的で実行されます。

ストローマン論法の具体例をわかりやすく

上記でも紹介していますが、こっちにも改めて整理します。

ストローマン論法

画像出典:http://archive.is/J34v0

上記画像の記事が批判対象としているのはNHKの桜を見る会の記事が印象操作のお手本過ぎるので読んで欲しい - 事実を整えるという私のはてなブログで書いた記事です。

私の元記事の内容は、『NHKの当該記事による報道が「ホテルニューオータニがHP上で公開している「パーティープラン」では1人あたり1万1000円が下限なのに、桜を見る会では1人あたり5000円という低額で提供しているのは利益供与ではないか」と仄めかしている。それは、調べれば簡単に分かる内容を敢えて無視しており、印象操作のお手本だ』、という事を指摘しているものです。

で、私に対する批判者の論理は、上記画像のように『料理の部分は人数に比例して価格が増加しているから、ケータリングプランの料金表を根拠に「1人当たりの単価が5000円というのは有り得る」というのは無理がある』、ということでした。

画像中の表で「お料理」の代金の所だけを映しているのが分かりますが、もちろんこれは全体の一部しか見せていないストローマン(藁人形)論法が絡んでいます。

チェリー・ピッキングとただの意味不明な言及

私の記事の中で「50名と100名とでは一人当たりの価格が1000円も異なります」とあるのは以下の料金表の事を指します。正確には1130円。

ストローマン論法2

画像:ホテルニューオータニ ケータリングプラン(当時)

一目瞭然ですが、見積もりの内容は「お料理」項目だけではありません。

総合計を見れば当然、客単価の通りになっているわけですし。

そもそも料理代金だけでプランが成り立っているというわけでは無いのですから、私を批判する記事がなぜお料理代金だけ比較したのか、最初から意味不明な事を言っていたということなのですが。

さらに、批判記事は「NHK以外のマスコミも同様に報じている」などと書いているのですが、私の記事では既に他の報道でホテルニューオータニ側から「5000円でできるかについては宴会の形式による」「お客様の要望を伺って判断している」と証言している画像を添付し、NHKの当該記事が情報不足だということも裏付けていますから、この点を無視したチェリー・ピッキングを行っていると言うこともできます。

ストローマン論法3

反論を想定してそれを潰す証拠を示していても、それを無視して第三者に向けて記事が書かれているということになります。

さて、つぎはTwitterにおけるストローマンの具体例です。

勝手に絡んできて旗色が悪くなったらブロック

魚拓1:http://archive.is/idoMM

海外出羽守さんが日本に関する歪んだ情報(日本の十代は性教育があまりなされていないからAVから学んでいる)をドイツで伝えているというツイートに対して、私が国際基督教大学のアンケート結果の画像を添付してリプライしました。

それに対して、「どこのアンケートかもわからない」などとリプライが来ました(間に複数ツイートが挟まってますがここで論じることと関係が薄いので省略します。魚拓にアクセスすれば全部見れます。)

で、私はリンクも付けたものを再度リプライしました。

アンケートの一部はこれです。

性教育・性情報2

画像出典:国際基督教大学 大学生の性行動と性意識についてのアンケート 「社会学特別研究Ⅰ」 調査プロジェクトチーム

結局、旗色が悪くなったのでブロックしたようです。

別のアカウントからもストローマン論法がありました。

魚拓2:http://archive.is/wip/9lC9M

「AV無罪」など誰も主張していないというのが明白ですが、このアカウントは「そういう主張をしている人物」を相手に論破した風のツイートがしたかったのでしょう。

しかも、元ツイートは男女の別には言及していないアンケートの回答者は男性に限ったものではない、ということをこのアカウントは敢えて無視しているのか見過ごしているのか。

知識クレクレ系シーライオニング

ブロックされた後に気づいたのですが、以下のようなツイートをしていたようです。

魚拓3:http://archive.is/Bi6q0

既にアンケートのURLも示していて、その1ページ目に2005年の調査だということは明記されているのにこういう「質問」をしているのですから、およそ「誠実な質問」ではないですね。

魚拓4:http://archive.is/JW7AU

ということで、知識クレクレ系のシーライオニング、そしてストローマン論法と、誤った議論方法を駆使してリプライをしている様子が分かります。

シーライオニング概念図2

アンケート結果の情報源の最上位は「パソコンサイト」で、「女性誌」「少年少女漫画」が続いているのが画像から明らかです。

シーライオニングの対処法で書いたように、反応しても知識を与えるだけなので(この場合はそもそもブロックされてるので相手に伝えるのは無理なんですけどね)、無視するのがいいかなと。

元ツイートの方に対しては、国際基督教大学の調査は大学生が相手なので「学校」をソースとするアンケート項目がなかったのと、元ツイートが「10代は~」と言っていたのでより適切なソースを提示しました。

日本性教育協会2013年7月15日
前回2005年調査と比較すると、男子では「ポルノ雑誌」「アダルトビデオ」が、女子では「付き合っている人」や「マンガ」「一般雑誌」の比率が下がっています
中略
男子では「インターネット」「友人・先輩」、女子では「学校」を情報源とする者が多くインターネットはポルノ情報であると同時に、正確な知識を得るリソースともなっていると考えられます
中略
避妊の情報源についてはどうでしょうか。避妊についても、「友人・先輩」は多いのですが、それを上回って「学校」を情報源とする者が多かったです。

ストローマン論法への対策・対処方法

特にTwitter特有の不誠実な議論の兆候として以下があります。

1:肢を複数(1つのツイートに対するリプライを複数)にして議論経過をスレッドで一覧できないようにする
2:その上で元々の議論から外れた内容の肢の方にツイートを連続させて、そちらの方が優先表示されるように仕向ける
3:相手の主張が完全に間違いだという指摘をしたツイートに対して、いいねやリプライや引用リツイートなどの反応が無い
4:それまで一連のスレッド(リプライ欄)で会話をしていたのに、急に引用リツイートをして議論の流れを遮断する

ストローマン論法に限らず、詭弁を行う者はこういう傾向があります。

荒らしの対処法

結局は「荒らし」なので無視するのが一番ですが、相手をするという選択をした場合について考えます。

ストローマン論法を行っている者は、確信犯的に第三者に対して印象操作をしているので、こちらも相手に対して主張するのではなく、「第三者からの見え方」を意識して対応していく必要があります。

その方法の一つとして、相手のツイートが表示されない工夫をいくつかすればいいと思います。

1:自分が元ツイート主なら「返信を非表示」機能を使う
2:リプライされた自分のツイートに、自分が別途リプライして、別肢で主張されている内容を否定するソースを貼ったり説明したりする
3:突然の引用リツイートをされても引用リツイート+元のスレッドへのリプライで一覧表示が保たれるようにする(相手が新たに建てたスレッドに「遠征」しないこと。それは相手の土俵)
4:相手が反応しない、不都合だと思っているであろう自分のツイートのリプライ下で議論が進むように、別肢の相手のリプライを引用リツイートしながらリプライを続ける。

2番は例えば以下のように、自分のツイートだけが一覧表示されるようにすることです。上から2つ目のツイートに返信が6個ついてますが、先ほどのストローマンのリプライはこれによって埋もれるか表示対象から外れやすくなります。

ストローマン論法5

このような構造的な対処方法を実行した上で、ツイートの実質面においていろいろと工夫するといいでしょう。

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