愛知県選管のリコール署名簿の縦覧の運用方針の変更

愛知県知事のリコール署名運動に関連して、愛知県選挙管理委員会は署名審査後の署名簿の「縦覧」の運用について、「有権者が申し出ることができるが、自分の名前が勝手に使われていないかを見たいという人に対しては、職員が氏名の存否を確認してその結果を伝えるだけで、署名簿全体を渡して見れるようにすることにはしない」という方針でした。

それが、最近になって方針転換をして「希望者には署名簿全体を必要な範囲で見ることを拒否しない」という方針になり、決定事項であると言うようになりました。

私が改めて確認したところ以下の運用

1:有権者が縦覧を申出た場合には職員が氏名住所の有無を確認する
2:該当者が居た場合にはその署名が有効であるかを確認するためにその部分だけ見せる
3:該当者が居ない場合には職員からその旨伝えるだけが基本だが、それでも自分の名前が勝手に使われていないか確かめたいと希望する者には署名簿全体を見ることを拒否しない

私がさらに聞いたのは「憲法上の投票の秘密との関係について検討したのか?」というものですが、そういう形跡はなかったようです。

この観点は、昭和の地方自治法改正時にも議論がありました。

私の見解は「縦覧の運用方法として冒用の有無を確認する者に署名簿全体を見せたとしても違憲ではないし、申出た者の氏名が該当しない場合には職員からその旨伝えるだけで全体を見せることはしないとしても違憲ではない」というものです。

比較法的にも直接請求における署名簿の閲覧制度を敷いている地域は韓国以外は確認できません。

なお、現行法上、個人情報保護法や個人情報保護条例は縦覧制度には適用されないので、法律上定義される「個人情報」の観点から論難するのは的外れです。

(だからこそ憲法上の権利から論じた)

ただ、法的にカバーされない日常的な意味での「個人情報」の保護や、プライバシーの保護の観点から論じることは可能です。

以上

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