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「任命拒否は想定せず」平成16年 政府内部文書のからくり

こんな報道が。

NHK 学術会議「任命拒否は想定せず」平成16年 政府が内部文書作成 10月27日 18時06分

ツイートで指摘している通り、これは過去に総務省の所管だった日本学術会議について、総務省から内閣法制局に説明する際の資料であって、法案成立前の話。現在は内閣府が所管なので、まったく関係の無い話です。

日本学術会議の所管は①総理府⇒②総務省⇒③内閣府という変遷を辿っているのでややこしい。

総務省から内閣府に変更されたのは平成17年4月、つまりは日本学術会議法の平成16年改正法の当該規定の施行日からなので、当時の総務省がそのように考えていたこと以上を意味しません。

報道は「政府が」という一括りで報じることが多いですが、実態はそういうことです。

任命拒否は想定されていない1

報道では赤線部分だけが紹介されていますが、第一パラグラフの真ん中部分を見るとこのような記述があるのが分かります。

また、科学に関する知識・意見の集約を幅広く行うため、産業人や若手研究者、女性研究者、地方在住者など多様な会員が業績、能力に応じて適切に選出されるようにすべきである。

という、総合科学技術会議の意見具申があるのが分かります。

菅総理は「出身大学に偏りがある」という指摘をしましたが、これは平成16年改正時の附帯決議に沿った判断であり、その背景にはこのような意見具申があったのだということがわかります。

朝日・毎日新聞などのメディアは、この部分は都合が悪いので一切報じていないということが改めて浮き彫りになりました。

なお、「想定していない」としていることについては、当時の総務省がそのように有権解釈をしていただけであって、司法判断が出ているものではなく、国会で解釈が示されたわけでもありません。

内閣府の有権解釈は2018年に示した通り「推薦の通りに任命すべき義務があるとまでは言えない」というものであり、内閣府として解釈に「変遷があった」という話ではありません。

以上

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