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維新の会「ファクトチェック」と非党派性

細かいことは触れませんが、この話について少し。

「ファクトチェック」と党派性

ファクトチェックというと、国際ファクトチェックネットワーク(International Fact-Checking Network、IFCN)が掲げる"Code of Principles"に準拠した内容で行われるものである、と言われます。

日本語に直されたものはFIJの以下が簡便。

1. 非党派性と公正性
2. 情報源の透明性
3. 財源・組織の透明性
4. 方法論の透明性
5. 明確で誠実な訂正

今回、大阪維新の会のファクトチェッカーに関して、上記の様々な局面において「雑さ」が指摘されていますが、本質的なのは「非党派性」だと思います。

「ファクトチェックは第三者がやるもの」=外形的公正性

ファクトチェックは第三者がやるものである、と言われます。

たとえ公正性を確保=全てのファクトチェックにおいて同じ基準を用いて同じ手続を経て行われていても、それが自分自身で自分に関する事柄をチェックしていれば、それは「自己正当化」と言われてしまいます。

いくら内容が事実に基づき妥当性があるものでも、外部からはそうみられてしまいます。「外観」の問題。

ファクトチェックからは話がそれるが、「外観」の問題が起こらないように、元大阪維新の会代表で現法律顧問の橋下徹 氏は「外形的公正性」という概念を何度も発信してきました。ツイートだと以下あたり。

その外形的公正性の確保の手段の一つ、というより中核的な要素が「第三者性」であり、今回、「それが確保されていないのにファクトチェックと言うな」と言われているわけです。

しかし…ここには落とし穴があります。

ファクトチェックと党派性不存在の証明問題:チェックする話題を選定するのは何を基準にしているのか?

チェックする「話題を選定」する際は、何を基準にしてるのか?

当のファクトチェック団体も、この点については何も語ってません。

確かに、「世の中に影響を与える言説や情報」という観点はあります。

しかし、その中でも一部の情報については無視されているのではないか?という事案が、あまりにも多い(毎日新聞の「ファクトチェック」を見よ)。

【どの話題を取り上げるか】の時点で一定の恣意性が介在している。

つまり、この段階で、既に党派性の問題が生じている

というより、そうならざるを得ない。

世の中のすべての事象(報道されたりSNSで拡散されたものだけでも)を掬い上げてチェックするだけのリソースなんて、存在しないのだから。

「ファクトチェック」の既得権化

さて、大阪維新の会としては朝日新聞による「ファクトチェッカー」批判に対して、以下のように思ってるだろう。

ありがたいことに大阪維新の会のファクトチェッカーの党派性は、君達メディアとFIJが保証してくれるというわけだ よろしい ならばよろしい 
ならば私も問おう 君らがファクトチェック対象とする話題の選定が党派性に基づいていないことは、一体どこの誰が保障してくれるのだね?

こうなると、いったい誰が維新の会(或いは大阪府市に関して)に関する「ファクトチェック」をするのか?と言えば、自分達でやるしかない、ということに。
なお、大阪都構想に関する「218億円」騒動に関してはFIJパートナーのInfactにおいて楊井氏がファクトチェックをしていた

ファクトチェックをする者が限られている中で、このファクトチェックする話題の選定が偏っていれば、それはファクトチェックの既得権化に繋がるという懸念がある。

「地方」のファクトチェック

特に、全国的な話題では無く、「地方の話題」については、この問題は顕在化する。その地方に関する情報は、他の地域の者は興味がなく、アクセスが見込めないので、ファクトチェックが蔑ろにされがち。

ファクトチェックのリソースは、もっぱら全国的な話題、東京の話題に集中する。これは現在の東京一極集中の政治体制が長年継続していることが招いている状態だが、「地方」からすればたまったものではない。

地域政党である大阪維新の会が、大阪に関する事柄について自らファクトチェックを始めたのも、こうした事情を考えればやむを得ないと言えるだろう。

「ファクトチェック」の多義性

大阪維新の会の「ファクトチェッカー」に対する批判は、「ファクトチェック」という言葉が、単なる字面上の意味を超えて「信頼のおける事実検証の仕組み」という意味を持ち始めたために起こった議論でしょう。

そのような意味で用いることが常識化・一般化しているだろうか?

或いは、そもそも「ファクトチェック」という言葉は、そういうものとして流通してきたのではないか?という話かもしれない。

もちろん「IFCNやFIJが言うところのファクトチェックでなければファクトチェックではない」とまでは彼らは言っていない。

ただ、【ファクトチェックという言葉をどのような用法で使うのが第一義的なものにするか】という次元で、既に党派性の争いが生じている、と見ることができやしないか。

↓↓↓ Twitter最古の「ファクトチェック」

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