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孤独を投げ捨てないようにしよう

永遠に続きそうなあの夏休みの夜にサンダルを投げ捨てた、公園の大きな池の水面を見ている。今夜、部屋に恋人は来るのか来ないのか、ある種の賭けを込めて。わたしの好きな橋のイルミネーションは相変わらず慎ましく美しい(というかそもそもただの通行用の灯りでありイルミネーションではないのだが)。
水面に映っている光は、本当は存在しないのに、いじらしく精一杯輝いている。

漆黒の墨を用いた水墨画のようなこの風景が好き。恋人から連絡が入る。彼は、来てくれるらしいよ。ありがとう。

「わたしとあなたの関係には、何も入る余地はないと思っているし2人がずっと幸福で在れることをバカみたいに信じているから頑張りすぎないで。」と伝えられて、しかも受け取ってもらえて、本当に良かった。そのあとは抱き合いながらぐっすり眠った。

2017年9月14日

恋人に出会い、愛されたり護られたりしてることで以前より強いと思う部分と、あまりに失いたくないものができてしまったことで弱いと思う部分とが、両方色濃くお腹の中にあるのだけどなかなか混ざり合ってくれないので、消化不良。守りたいものがあることの強さと弱さ。守るものなんてないことの強さと弱さ。本当に物事には二面性がある。

孤独を投げ捨てないようにしよう。あるいは、どっかに置き去りにしないように。いつも悲しいくらい独りじゃないし、その一方で、笑っちゃうくらい独りなのだから。

部屋は清潔で片付いているに越したことはないけれど、無造作に脱ぎ捨てられた下着だとか丸まったティッシュだとかが散乱する床を見下ろして幸せな余韻に浸るのも、悪くはない。これもまた、二面性。


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