追いつけない片想い
恋人に会えているときの幸福感は大きいのだけれど、会わない夜も嫌いというわけではない。練習したり、映画を観たり、走ったり、大切なリセット時間だ。ちょうど、睡眠中に人は脳をリセットすると言われているように。そうか。恋人と会わない夜はわたしにとって睡眠中なのかもしれない。
2017年8月31日
眠る前に、恋人のブログをかなり昔まで遡って読むのがマイブームで、ついつい寝不足に。美しくて賢くてあたたかくて、それでいて肩の力の抜けたユーモアに富んだ彼の文章のファン。趣味で綴る小説の連載めいたものもあるので愉しい。彼のせいでますます既存の小説離れをしてしまう最近。
けれど、なんとも追いつけないような切なさを、僅かに感じる。わたしなど隣にいなくても、すごくキラキラして充実していた恋人の過去。彼はわたしと付き合ったこの2ヶ月が何年分のように濃くて充実してると言ってくれるけれど、それはわたしのための優しさからだ。
でもそれは、どこまでもお互い様なのだ。恋人が隣にいなくてもすごくキラキラして充実していた過去など、紛れもなくわたしにもある。そして恋人は、わたしの過去をまったく気にならないわけではないが、それを気に病むことで大切な今と未来を薄めたくないから、あえて詮索しないと、先日宣言していた。
だから、恋人の過去は、追いつけない片想いで良いと思う。無邪気で純粋で、或いは無茶や失敗をし、それも含め一瞬一瞬が輝いていた彼の過去。若くて美しい容姿と、弾ける笑顔。そんな恋人にはもう会えないけれど、彼の過去に永遠の恋をし、そして彼の現在と未来をわたしは愛する。隣で、手を握りながら。
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