ラズベリー色のロゼ

婦人科検診によると、わたしは男性ホルモン数値がすごく高いのだそうだ。だから、恋人を守りたいっていう男前な気持ちが強いのか。しかし気持ちだけではダメだ。もちろんホルモンだけでもダメだ。

とても残念だとは思うけれど、喜びよりも悲しみのそばにいる時の方が、物事への感覚や感性が鋭い。これは嬉いことではないけれど、ひとつのわたしの特徴なんだと思う(その証拠に明るい曲より暗い曲を作る方が得意だ)。

◆       ◆       ◆

今日は日帰りで名古屋で歌ってきて最終新幹線でわたしの街に帰り、部屋に鞄を置くや否やすぐに恋人の顔を見に、彼の店でワイン飲む。明日人生が幕を閉じても良いと思えるほどに幸福で満たされる。ラズベリー色をしたスペインのロゼワインのグラスを、恋人がわたしの目の前でくるくるして出してくれて、わたしはそのくるくるの波が鎮まらないうちに急いで口に運ぶ。

そして恋人は、お店ではわたしに対して敬語を使う。わたしは客なのだから当たり前なのかも知れない。でもセックスの最中に汚ない言葉でわたしを罵倒する(わたしのリクエストにより)恋人とのギャップがまた、好もしい。店を後にしてからは恋人がうちに来るまでの時間を少しでも短くするための「わざと遠回り」がマイブーム。だらだらと飲んでほろ酔いになりながら、アルコールが入ってるゆえになかなかイカないエンドレスな長いセックスを恋人としたい。

2017年8月18日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?