異世界難民

 地球で一日あたりに死ぬ人間の数は15万人と言われている。

 天界とは全世界の上のステージに君臨するフィールドであり、人の生き死にや運命すらも定める神の領域だ。

「転生回廊が一日中開かれていただと!?」

 天地創造以来の混迷を極めていた。叫び声が響く。天使が右往左往をし、神秘的は羽根ではなく事務手続きの書類の山が舞い散っている。髭面の大神ですら頭を抱えて俯き、女神たちは泣き叫んでいる。阿鼻叫喚の天国だった。

「こんなこと……あってはならない!」

 神の一人は憤りながらその『惨状』を見下ろす。
 見下ろす世界は魔法世界『イゼルヘイム』今もなお魔法と神秘が存在するファンタジー世界だ。そこには人々がいる。色とりどりの現代風の衣服を身に着けた人物たちが所狭しと並んで歩いている。

 転生回廊が24時間開かれたせいで、その日の地球の死者15万人全てが異世界転生者となった。
 異世界難民の誕生であった。

【続く】

私は金の力で動く。