火傷の魔女と魔弾の射手

「頼まれたもの、できたよ」
 魔女は注文の品の入った包みを目の前の青年に渡す。青年を尻目に魔女はパイプを咥えたまま呪文を唱え、火を燻らせる。煙を吸い、長く吐いた。
「私だってこの稼業は長いけど、こんな変わった仕事は初めてだったよ」

 魔術は真理へ到達するための道だ、と自負している。
 しかし神様と宗教を心の底から信じているこの世界において魔術は忌み嫌われる。だから私も魔女と呼ばれているしそれを訂正する気にもならない。
 別に顔の半分が焼けただれてるから工房を薄暗くしてるわけでもない。世に関わるのが面倒なだけだ。
 しかしこの時は好奇心によって気分が変わっていた。

 魔女は青年に向かって、
「だからと言っちゃなんだけど、それが何なのか教えてくれない?」
 青年は一瞬沈黙した後、
「武器だ」「どんな?」
「どんなに離れていても鎧を貫いて、一瞬で人を殺せる」

 青年はオートマチックピストルのスライドを引いた。

【続く】

私は金の力で動く。