見出し画像

日本人、呼び捨て問題。 「さん」は美しい。

何年も英語を勉強して、色んな国の人と仕事もしたが、英語だと「呼び捨てにされてしまう」のがなんだかスッキリしない。慣れてはいるが、やっぱりどこか面白くない。

小さい頃から名前だけで呼ばれることはほとんどなかった。「さん」「ちゃん」が付けられることがほとんどで、それらを付けない行為は「呼び捨て」と呼ばれた。

ところが、中学校に入って初めて英語を勉強した時に、「英語では姓・名ではなく名前を先に呼びます」「下の名前だけで呼びます」と指導された。その時の英語の先生は、さすがに呼び辛かったのか、生徒全員に英語名を付けて、それをもって「呼び捨て」にしていた。

英語ネイティブは、Mr/Msと同じだと思うのだろう、「さん」を付けることは「堅苦しい」ことであり「親しみに欠ける」と思うらしい。否、そうではなくて、この日本の習慣は、我々は相手が誰であっても自然に「さん」を付ける、つまり他人に対して、誰に言われなくとも等しく「敬意を表す」美しい習慣だと思う。

個人名はもとより、パン屋さん、消防士さん、お医者さん、などの職業にも付けるし、アリさん、ネコさん(ちゃん)、おかいさん(お粥。方言か?)、おいなりさん、なんていうのもある。

その辺りは、英語ネイティブは理解しにくいのか、というよりも、それを説明してあげる日本人がいないのだろう・・日本だと「さん」を付けないのはあなたを「呼んで」「捨てる」ことになるのだよ、と。

(かく言う私もネイティブスピーカーにそんなこと説明したことがない、説明が面倒なのだ。大方の日本人がそうなのではないか。)

今は小学校でも「あだ名禁止」「男女問わず姓に「さん」付けで呼ぶ」が奨励されているようなので、英語だと突然「名」を「呼び捨て」にされてみんなどう感じるのか気になるが、今は小さい頃から英語を学ぶ機会があるようだから、心配無用のようだ。

が、しかし、世界には「姓・名」の順で名乗り、英語を話す時もそれを通す国も多い。日本人もそれで良いではないか?と英語を学ぶことで逆により日本語や日本の文化の美しさを感じるようになった私は思う。

2019年、「公文書等における日本人の姓名のローマ字表記に関する関係府省庁連絡会議」において、今後はローマ字表記であっても名前は「姓・名」の順に記載することが決まった。(「日本の伝統に即した表記」)これが今後公文書だけでなく、一般にも広まったらいいなあ、と思っている。

ただ、問題なのは、仮に英語ネイティブに「姓」で呼んでもらうとしても、今度はそれが「姓の呼び捨て」になるだろうから、これはこれでまた面白くない。 

画像1



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?