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名文today_99/『ウィリアム・モリス ラディカル・デザインの思想』

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生原稿を活字本に仕上げる作業に従事したことのある人なら誰でも知っていることに、ウィリアム・モリスの法則というのがある。それは、本の1ページの紙面のうちで、印刷面の刷り位置をどうすべきかということに関するものだ。印刷面(ふつう版面と言い習わしているが)とは、活字の組体裁で決まる面であって、つまり字間・1行の字数(すなわち行長)・行間・行数などで構成されるわけだが、それを紙面全体のうちにおく時、天・地・内側(のど)・外側(小口)に余白(マージン)を当然とる。そのマージンを、内側でもっとも狭くし、天はそれよりやや広く、外側はさらに広くし、地はもっとも広くしなければならないというのがモリスの法則といわれるものである。

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小野二郎/『ウィリアム・モリス ラディカル・デザインの思想』/1992/中公文庫

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