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ハーブティーのお話 その11 不思議なご縁の3

2017年初頭に行われたそのイベントは

「那須の大きな食卓」と題し

那須の豊かな食材を東京の一流レストランが

その良さを表現するというコンセプトで

地元の生産者を応援し地域を活性化する意味合いも含まれていた。

私は地元農家の珍しいお野菜をレストラン側に紹介する

役割を担っていて

イベントに先駆けて料理を指揮する広瀬シェフと

試作の段階から連絡を取り合うようになる。

今、振り返ると

お野菜の種類や量、農園の状態、葉っぱ一枚のサイズ感、

食材と香りのとり合わせなど様々な情報のやり取りが残されている。


当日は生産者枠ということで

一般のお客様とは別にご招待頂いた。

主催のChusさんやレフェルヴェソンスさんからの思わぬプレゼントに

恐縮しながらも期待を膨らませながら会場に向かう。

やり取りを重ねたお野菜やハーブはどんなお料理になるのか・・

レストランフタッフはどんな方たちなんだろう・・

そして、生江シェフは私のことを覚えてくれているだろうか・・・


会場が近づくにつれ緊張感が増してくる。


受付では見慣れた地元の方々が見られ

ご挨拶や雑談をしながら会場に通される。

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キャンドルやドライフラワーで彩られ楽しそうな会話が聞こえてくる。

生産者の席は中二階になるロフト部分に有った。

自分たちが作った食材が料理として登場する度に

生産者同士の会話が盛り上がる。

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数人分を取り分けるスタイルで供された分

かしこまらず和気あいあいと時間が過ぎていく。

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私のハーブはイチゴに添えられたレモンティートゥリーの

泡として登場した。

口に運ぶと

フレッシュのそれよりもインパクト有る香りに衝撃を受け、

その取り合わせに驚いた。

おぅっっ。イチゴとレモンティートゥリーかぁー

今まで考えたことさえない使い方だった。

楽しく、美味しいのはもちろん

どのお皿も地元食材だけで構成され

生産者が気づかない新たな価値が提示されていたと思う。


食事も終りにさしかかりソワソワしてくる。

忙しそうに各テーブルにサービスをしている

生江シェフに話しかけられるだろうか。

いや、折角の機会。話しかけないとっ


「あのーあのー今日はありがとうございました。

那須のハーブ屋です。その節は大変お世話になっておりましたー

覚えていらっしゃいますか?」


返事は、とても意外だった。


「もちろん!よく覚えていますよーボクお店に行きましたもの」

「ええーっ覚えていてくださったんですか?ありがとうございます。

あの真っ白いBMWの方とお越しになりましたよねー」

その後ハーブティーを中断した経緯、

ようやく収穫量も多くなってきたこと、そしてできれば

またお取り扱い頂きたい旨をお話する。

ずっと片思いだった人に会えた、そんな気分だった。

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イベント後数日経って

レストランからカモミールとレモンヴァーベナの

ハーブティーご注文のご連絡を頂く。

再会と再開。2017年の始まりだった。




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